2019年度倫理審査委員会|国立病院機構熊本医療センター
2019年度倫理審査委員会
第22回迅速審査(2020年1月28日)
No.978 | |
申請者 | 糖尿病・内分泌内科部長 西川武志 |
課題名 | 電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究(J-DREAMS) |
研究 概要 | この研究の目的は、電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用して臨床情報を大規模収集し、その情報を研究に利用するための基盤的検討を行うことである。 |
判定 | 承認 |
No.977 | |
申請者 | 診療部長 藤本和輝 |
課題名 | 非弁膜症性心房細動を有する後期高齢患者を対象とした前向き観察研究 |
研究 概要 | 本研究は、非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する後期高齢患者(75歳以上)における抗凝固療法の実態及びその予後を明らかにするとともに、脳卒中/全身性塞栓症及び頭蓋内出血のリスク因子を特定し、直接経口抗凝固薬(DOAC)に最適な治療対象集団及びその使用法を明確にすることを主目的とする。また、副次的にNVAFに関連する種々のクリニカルクエスチョンについて検討する。 |
判定 | 承認 |
第21回迅速審査(2020年1月14日)
No.976 | |
申請者 | 臨床研究部長 富田正郎 |
課題名 | lgA腎症と菲薄基底膜病の鑑別に血清IgA値や血清IgA/C3比が有用であるかに関する後ろ向き研究 |
研究 概要 | 成人で無症候性血尿および軽微の蛋白尿を呈する病気としてIgA腎症、非薄基底膜病であることが多いが、その鑑別診断には腎生検を要する。IgA腎症ガイドラインには、鑑別に血清IgA値や血清IgA/C3比が有用である旨の記載があるが、実際は偽陽性や偽陰性のことも多く、最終的に腎生検をしなければ診断に至らない。 我々は、腎生検をして確定診断がついたIgA腎症と非薄基底膜病の患者のデータを後ろ向きに検討して、これらの検査が診断に有用ではないことを2018年11月9日に開催された第72回国立病院総合医学会若手フォーラムで発表した。 今回、その発表内容を英語論文にまとめ、英語雑誌に投稿することが目的である。 |
判定 | 承認 |
No.975 | |
申請者 | 脳神経外科部長 中川隆志 |
課題名 | レセプト等情報を用いた脳卒中、脳神経外科医療疫学調査J-ASPECTstudy |
研究 概要 | J-ASPECTstudy参加施設から提供されるDPCデータ若しくは匿名化処理した医科レセプトデータにより、脳卒中、脳神経外科関連の傷病名等に基づいて対象症例を絞り込んだ全国規模の大規模データベースを構築し、今後の脳卒中関連の研究等に活用すると共に、医療施設の負荷を抑えた方法で脳卒中、脳神経外科医療に関する症例データベース構築を継続していくことを目的とする。 |
判定 | 承認 |
No.974 | |
申請者 | 臨床研究部長 富田正郎 |
課題名 | 著明な白血球数増多症例に関する後ろ向き研究 |
研究 概要 | 国立病院機構熊本医療センターは熊本県下唯一の日本骨髄パンクおよび日本腑帯血バンクの認定施設であり血液内科診療が充実している。また当院は「全職員をあげて24時間365H体制で断らない救命救急医療」をモットーとする県下有数の救急病院である。このため著明な白血球数増多を伴った患者の緊急御紹介を受けることがある。血液疾患も念頭に紹介される場合であっても、重症感染症その他が原因の白血球数上昇のこともあり、血液内科以外の診療科が担当することもある。 今回我々は白血球増多症例を後ろ向きに解析することにより、血液増殖性疾患以外で上昇しうる白血球数の上限の閾値や、その特徴などを研究して日本内科学会等で発表したり、医学論文として報告すること等を目的とする。 |
判定 | 承認 |
No.973 | |
申請者 | 小児科副部長 緒方美佳 |
課題名 | 食物アレルギーの児をもつ家族の災害時の備えの実態 |
研究 概要 | 食物アレルギーを持つ児の保護者に自助の現状についてアンケート調査を行い、食物アレルギーの児と家族の災害時に備えた自助の実態をこの研究にて明らかにする。 |
判定 | 承認 |
第20回迅速審査(2020年1月6日)
No.972 | |
申請者 | 救命救急センター長 原田正公 |
課題名 | 高齢者救急集中治療に対してフレイルが及ぼす影響についての多施設共同研究 |
研究 概要 | 本研究の目的は我が国の高齢者の救急集中治療後の予後とQOLを明らかにし、また予後• QOL、OLに対するフレイルの影響を検証することである。 |
判定 | 承認 |
第17回迅速審査(2019年12月3日)
No.968 | |
申請者 | 救命救急センター看護師長 沖田典子 |
課題名 | 熊本地震時の救命救急活動と対応について -災害がてんかん患者に及ぼす影響- |
研究 概要 | 熊本地震では、2016年4月14日21時26分に前震(マグニチュード6.5、最大深度7)、16日1時25分に本震(マグニチュード7.3、最大深度7) に続き、多くの余震を認めるという未曽有の歴史に残る地震であった。 熊本地震では、余震が多かったことも特徴で、長期の対応が強いられた。災害サイクルにおける地震発生直後の「超急性期」、地震発生から1週間の「急性期」、発生から3週間までの「亜急性期」、そして「慢性期」と震災後の救急医療が長期に及ぶことを念頭に検討が必要と考えられた。 救急外来受診患者は、発災後2ヶ月間が多く、3ケ月程度で通常の患者数となった。発災時から3ヶ月間自施設を受診した患者数は、5524名であった。そのうち意識障害や痙攣発作で受診した患者は100名、そのうちてんかんの既往のある患者さんは24名であった。発症直後に多いということではなく、亜急性期以降に多くなっており、被災や環境変化によるストレスの関与がけいれん発作を引き起こすことにつながったのではないかと考えられた。 今回、自施設に搬送された24名のてんかん患者の実態を調査することで、てんかん患者の災害時の問題点や支援のありかたを考える。 |
判定 | 承認 |
No.967 | |
申請者 | 7階東病棟看護師 岩﨑天弓子 |
課題名 | 頭頸部癌患者が放射線療法・化学療法により口腔粘膜障害出現に対する看護師の口腔ケアにおける実態調査 |
研究 概要 | スタッフの口腔ケアに対する実態調査を、アンケートを実施し評価する。 カルテから過去の記録を振り返り、アンケート結果の要因となるものを明らかにする。 |
判定 | 承認 |
第16回迅速審査(2019年11月21日)
No.968 | |
申請者 | 救命急センター長 原田正公 |
課題名 | 重症敗血症性ショック患者の背景や治療実態、予後を観察する登録研究 |
研究 概要 | 日本における敗血症性ショック患者に対する様々な治療実態を明らかにし、同時に患者背景や予後を評価することで、敗血症性ショック患者の有効な治療を探索すること |
判定 | 承認 |
第15回迅速審査(2019年10月24日)
No.965 | |
申請者 | 主任栄養士 北向由佳 |
課題名 | がん緩和ケアの栄蓑サポート |
研究 概要 | 近年の我が国において、かんの栄養療法は、かん診療の遂行支援として重要視されつつあ 。その中で、がん緩和ケアにおける栄養療法は、病態や症状の緩和のみではなく、患者家族の意向を尊重した個別性に沿ったサポートを必要とするため、ケア選択やタイミングの判析が難しく、管理栄養士の活動内容やその効果についての報告は少ないのが現状である。本研究は、がん緩和ケア対象患者の状況と管理栄養士の関わりについて実態調査を実施し、がん緩和ケアにおける栄養管理の課題を抽出することで、より質の高い栄養管理につなげることを目的とする。 |
判定 | 承認 |
No.964 | |
申請者 | 精神科副部長 橋本聡 |
課題名 | 一般救急-精神科救急連携による地域連携パス構築に関する実務者アンケ 一トの実施 |
研究 概要 | 申請者は、厚生労働科学研究( 障害者政策総合研究事業) における「精神科救急医療における質向上と医療提供体制の最適化に資する研究( 研究代表 杉山直也) 」に参加し、分担研究として、「精神科救急と一般救急の医療連携体制強化による医療の質向上と医療提供体制の最適化」に関する調査研究を実施している。その目的は、精神科救急と一般救急の医療連携体制強化であり、その一環として、今年度は「一般救急ー精神科救急連携による地域連携パス」の素案構築を目指している。 従来、精神科領域においても統合失調症や気分障害(うつ病他)など、疾患別に地域連携パスを構築する試みはあった。これらは退院支援の一環として実施されることが多く、患者を中心として、医療や在宅支援サービスなどとの間で実施されることが多い。このほか、認知症については専門施設である精神科と、かかりつけを担う一般科との間で、循環的な連携促進のためパスが導入されることもある。その一方、身体合併症を有する精神科患者の地域連携については、自殺危機介入に関する試案の提示はあるが実務報告はほとんどない。このように、身体合併精神科症例に関する実効的なパス構築はなされていない。 また、全国的に身体合併精神科症例の対応は、一般救急側、精神科救急側の双方で困難を抱えやすいといわれる。 ひとつには、一般救急医療と精神科救急医療とのコミュニケーションのむずかしさ、相互の不安があると指摘されており、今回構築を目指す地域連携パスの中では、平成29~30年度厚生労働科学研究障害者政策総合研究事業分担研究「精神科救急及び急性期医療における一般救急医療との連携の構築に関する研究」成果物であるJapan Emergency Psychiatry Scale - Expert opinion version (JEPS-Ex) を用いることで、精神心理的な側面に関する情報を簡便に伝達出来るように考えており、この点にも今回研究の新規性がある。 これらの背景をもとに、分担班では地域連携パスの構成要素を精査した(別添アンケート有り) 。本パスは、身体合併精神科症例の治療において、円滑な地域連携が可能になることを目的としている。このため、入院中に活用される疾患別のクリテイカノレパスとは異なり、身体合併精神科症例が施設から施設へと移動する際、標準的に網羅されるべき項目を並べる構造をとる。また、かかりつけ精神科を持つ症例の身体合併症対応を怨l定するため、救急病院他の治療施設を経てUターンする流れにおける連携円滑化に資する構造を狙う。 これらの構成項目が妥当なものであるか、パスを実際に利用して患者の治療・ケアにあたる実務者からの意見聴取は必須である。このため、今回、実務者に対するアンケート調査の実施を計画する。 |
判定 | 承認 |
N0.963 | |
申請者 | 救命救急センター看護師 野々原みつ子 |
課題名 | 人工呼吸器管理を行つ重症患者の鎮痛に関する看護師の認識 |
研究 概要 | 重症患者の鎮痛は、苦痛の緩和やせん妄の予防、鎮静薬の弊害の低減という、QOLの改善には欠かせない面がある。このような背景をもとに、日本版・集中治療室 に対する痛み・不穏・せん妄管理のための離床ガイドライン(J- PAD ガイドライン) では、鎮痛を主体とした鎮痛・鎮静管理を推奨している。一方で、Roseによる先行研究では、疼痛の自己申告ができない患者に対する看護師の疹痛評価ツールの使用頻度が優位に低いととを明らかにしている。つまり、気管挿管された重症患者のよ うに、自己申告が困難な状況での疹痛評価は、十分に行われていない可能性が高い と考えられる。このことに関しては、気管挿管され、疼痛の自己申告ができない患者が多く入院する当院の救命救急センターでも同様の課題が存在する可能性がある。実際に、非言語的に疼痛評価ができるツーノレの導入を試みたが浸透せず、疼痛評価の方法については、各々の看護師に委れられている状況である。 このような課題を解決するには、疼痛を自己申告できない患者を受け持つ看護師が、どのような思考過程をもち疼痛の評価を行っているかを明らかにすることが必要と感じた。しかし、医中誌を用い“ 看放" “鎮痛" “意識"というキーワードで検索を行ったが、気管挿管された重症患者の鎮痛に関する看護師の思いや意識を記載した論文は少なかった。つまり、疼痛の自己申告ができない気管挿管された患者の鎮痛に関する看護師の思考過程は明らかにされていないという事である。そこで 当病棟看護師の鎮痛管理に関する認識を調査し、考察することで、看護師が疼痛 の自己申告ができない気管挿管患者に対して、どのような思考過程を持ち看護を行 っているのかを明らかにすることができると考えた。また、そのことが、疼痛評価 スケールの導入及び定着の一助になると考えた。 |
判定 | 承認 |
N0.962 | |
申請者 | 血液内科医師 窪田晃 |
課題名 | 慢性骨髄性白血病に対する同種移植の後方視的検討 |
研究 概要 | 慢性骨髄性白血病(CML)は特効薬であるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI) が奏功す るが、急性転化発症例やTKI無効例では同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療であ る。TKI出現後に当院で施行した慢性骨髄性白血病に対する同種移植の後方視的解析 を計画した。 |
判定 | 承認 |
第14回迅速審査(2019年10月8日)
No.960 | |
申請者 | 主任診療放射線技師 岩元優樹 |
課題名 | Dual Energy CT撮影による胆石の検出能の評価 |
研究 概要 | 単純CT撮影においてX線陰性胆石は検出が困難である。しかし、Dual Energy CT撮影し、仮想単色X線画像を取得することにより検出が可能と報告がある。本検討では、検出された胆石症例を後向きに描出能を評価することが目的である。 |
判定 | 承認 |
No.959 | |
申請者 | 看護部教育研修係長 榊原チハル |
課題名 | 中期キャリアにある看護師のキャリア発達に対する認識の実態調査 |
研究 概要 | 当院看護部の看護職員の構成は、25歳~45歳の中期キャリアにある看護職員が80%以上を占めており、その中でも「25歳~33歳は、一度立ち止まって自分のキャリアについてじっくり考える必要がある移行期である」と言われている。 看護管理者は、看護ケアの質を担保しつつ、働きやすい環境を作り看護のやりがいを見出し、キャリア発達の支援を行うことが重要な役割の一つである。また、先行研究では、「中堅看護師への支援に関しては求められる役割が増加していく一方で、サポートが少なく、中堅看護師の役割認識に関する葛藤が退職の一因となっている」と指摘されている。看護管理者として、看護職員とは面談などを通し関わっているつもりだが、支援は十分ではないのでないかと感じることがある。また、多様な価値観を持ち、多様な働き方をしている看護職員のキャリア発達に関する思いはそれぞれ違い、その支援方法も様々であるのではないかと考える。今回、多様な働き方をしている看護職員をグループごとにインタビューすることで、グループごとに不安や悩み、特徴など共通するものや、違いを見出し、看護管理者が行うキャリア発達の支援方法について示唆を得たいと考えたため、研究に取り組むこととした。 |
判定 | 承認 |
N0.958 | |
申請者 | 7北病棟看護師 宮﨑麻美 |
課題名 | 7階北病棟での慢性硬膜下血腫患者のせん妄発症状況と関連因子の実態 |
研究 概要 | 慢性硬膜下血腫とは、頭蓋骨の内側で脳を包む硬膜と脳表面間にある静脈が破綻し、ゆっくりと硬膜下に血腫が溜まる状態である。治療は手術療法であり、術後はドレーンが留置される。手術翌日の頭部CTにて血腫の除去を確認しドレーンは抜去となる。 平成30年度、7階北病棟における慢性硬膜下血腫の穿頭血腫除去術患者は41名であった。ICD-10によるせん妄の診断基準には、意識・注意障害、認知機能の障害、精神運動性障害、睡眠覚醒リズムの障害、感情障害があり、せん妄を発症した高齢患者にみられる臨床症状として、行動に落ち着きがなく、入院治療を受けている事への理解が困難であり、説明を受けてもすぐに忘れるという症状がある。その結果、高齢者が治療上の安静を保てず、点滴やモリタリングなどの身体に装着中の器具を抜去するというような治療継続が困難な状況が生じていた。せん妄ケアには、多くの看護師が困難を感じていたが、効果的な介入方法を見いだせずにいた。せん妄は、身体的・心理・環境的要因などの幅広い因子により起こるため、効果的なケアのあり方の探究が続いている現状がある。そこで、7階北病棟における慢性硬膜下血腫のせん妄発症状況と関連する因子の実態を明らかにしたいと考えた。 |
判定 | 承認 |
第13回迅速審査(2019年10月1日)
No.957 | |
申請者 | 薬剤部調剤主任 横田千明 |
課題名 | オキサリプラチン製剤の後発医薬品メーカー変更に伴うアレルギー発現状況調査 |
研究 概要 | 医療費削減や患者負担軽減の観点から後発医薬品の使用が推奨されている。後発医薬品は承認申請の際には、製造方法、安定性、薬理試験、生物学的同等性等については審査が行われるものの臨床試験が行われていないため、後発医薬品のメーカー間で安全性に違いがでる可能性がある。2018年12月、当院では機構病院が行っている共同購入に基づきオキサリプラチン(以下、L-OHP)後発医薬品の採用にてA社からB社へ製造メーカーが変更になった。L-OHPは大腸癌、胃癌、膵臓癌などの化学療法におけるキードラッグであるが、末梢神経障害、アレルギー症状、血管痛などの特徴的な副作用がある。中でもアレルギー症状は気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下等の重篤な症状を引き起こすことがあり、治療継続の上で最も問題となる副作用である。L-OHP後発医薬品のメーカー間でのアレルギーの発現状況を調査することで、メーカー間での安全性の違いが確認でき、患者に対してもL-OHPによる安全な治療の提供ができ、治療効果の向上につながると期待できる。かつ共同購入品目選定の上でも安全かつ適切な治療を提供する上でも重要なデータとなり、国立病院機構全体に活かされることが期待される。 |
判定 | 承認 |
第12回迅速審査(2019年9月25日)
No.956 | |
申請者 | 糖尿病・内分泌内科部長 西川武志 |
課題名 | 電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究(J-DREAMS) |
研究 概要 | 【研究の背景】 本邦の糖尿病実態調査であるJDCP study やJDSC は、デンマークやスウェーデンのNational Diabetes Registry と異なり、糖尿病専門施設での一部の患者カルテデータの手作業収集に基づき、日本全体での実態を必ずしも反映しない。また、本邦では電子カルテの普及が進み、医療・介護情報の電子化、標準化が進行中である。しかし、現行の段階では、血圧や体重を含めた記事情報を抽出するためには手作業の再入力が依然必要である。以上の問題点を克服して、多数症例の情報を効率的効果的に集約するシステムを構築し、これを多施設に広げ、日本人を代表するデータベースを効率的に構築することは喫緊の課題である。 【これまでの進捗】 これまでに、電子カルテに記載する診療情報から抽出する項目の選定を進めた。また、SS-MIX2からMCDRSのサーバにデータを呼び出すシステムの開発を行った。研究開始当初は診療データを匿名化・暗号化した上でニフティクラウド(商業用クラウドサーバ)に格納する予定であったが、セキュリティを更に高めるために当センターにサーバを設置することとした。また、日本糖尿病学会と連携して事業を進められることが確認され、2015年5月の日本糖尿病学会の評議員会においても本研究事業を当センターと日本糖尿病学会が連携して進めていくことが確認された。 こうした流れの中で、2015年6月に日本医療研究開発機構からの予算(調整費)が追加で交付されることが決まり、システム開発の加速と施設参加数・症例登録数の増加を行う方針となった。 【研究の目的】 この研究の目的は、電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用して臨床情報を大規模収集し、その情報を研究に利用するための基盤的検討を行うことである。 |
判定 | 承認 |
No.955 | |
申請者 | 5階南病棟看護師 石井美里 |
課題名 | 人工膝関節全置換術後の患者の転倒に関する因子について |
研究 概要 | 5南病棟は整形外科であり、術前術後ともにADL低下がみられる患者が多く、転倒転落のインシデントが多く発生している。転倒転落のインシデントの中でも人工膝関節置換術(以下TKA、また人工膝単顆置換術UKA含む)術後の患者の転倒が多い傾向にある。認知症を呈する大腿骨骨接合術、人工骨頭置換術後の患者より、TKA術後患者の転倒件数が多い傾向にあり、TKA後、患者が転倒する影響因子はなにかという疑問を持った。TKA術後の患者を対象に、アンケートを用いて転倒転落につながるリスク因子を明確にし、看護介入へつなげたいと思い、この研究へ取り組むこととした。H30年度は倫理委員会承認後実施したが、10例のみであったため、継続研究し、より明確なデータを収集し今後の示唆を得たいと考えた。 |
判定 | 承認 |
第11回迅速審査(2019年9月10日)
No.953 | |
申請者 | 6階西病棟看護師 狩野翠 |
課題名 | 高齢糖尿病患者におけるインスリン自己注射手技の現状調査 |
研究 概要 | 当病棟で血糖コントロール目的にて入院する65歳以上の高齢糖尿病患者は平成29年4月~平成30年3月までで141名であり、その中で75名はインスリン療法が導入されている。当病棟では2週間の入院期間中に自己注射の指導を行っており、平均6~10日の期間で自己注射手技を獲得している。しかし、一旦できるようになった手技も翌日にはできなくなっていたり、消毒や空打ちなどを失念してしまうなど指導基準との違い(エラー)により繰り返し指導が必要となった事例がある。そのため今回、当病棟ではインスリン自己注射手技の場面のどこでエラーを起こしやすいのか現状を調査し、今後の当病棟内での手 |
判定 | 承認 |
第10回迅速審査(2019年8月20日)
No.951 | |
申請者 | 医療安全管理室副看護師長 田渕宏 |
課題名 | 回腸導管の粘膜に発生したびまん性大細胞型Bリンパ腫の一例 |
研究 概要 | 膀胱癌の直腸浸潤により膀胱全摘出術、回腸導管、S状結腸ストーマを造設した術後約3年後に回腸導管の粘膜に異常を認め、ストーマ外来を受診し検査の結果、腹壁浸潤のびまん性大細胞型Bリンパ腫(以下DLBCL)の診断となった症例を経験した。本症例は、稀な症例でありストーマに病変が出現したことにより早期発見、治療開始に至った。ストーマケアを行ううえでストーマ合併症や他の病変との判断に必要な情報として貢献できるため報告する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.950 | |
申請者 | 消化器内科医師 久木山直貴 |
課題名 | 当院における成人胃軸捻転症17例の検討 |
研究 概要 | 胃軸捻転症は胃が生理的範疇を超えて回転、捻転することによって生じる比較的稀な疾患である。軸捻転が高度であれば胃の虚血や壊死、穿孔など重症化するため早期の治療が必要となる。治療法としては一般的に、胃管挿入にて減圧を行った後に内視鏡による捻転解除を試みる。内視鏡的な解除が困難な場合や不可逆的な胃の血流異常を呈している場合は外科手術の適応となる。当院における11年間に経験した成人胃軸捻転症の治療法、転帰について後ろ向きに検討した。 |
判定 | 条件付承認 |
第9回迅速審査(2019年7月31日)
No.948 | |
申請者 | 薬剤師 尾関あゆみ |
課題名 | フェンタニル製剤を使用中に重篤な副作用が生じた2症例 |
研究 概要 | フェンタニル貼付剤や口腔粘膜吸収剤はがん患者の疼痛治療において有用である。しかしながら、呼吸抑制などの重篤な副作用も報告されている。フェンタニルは、動物実験において、他のオピオイドより呼吸抑制が起こしやすいことが示唆されているが、臨床での報告は少なく、フェンタニル製剤の副作用を集積し、検討する必要がある。今回、フェンタニル製剤を使用中に重篤な副作用が生じた2症例を経験したので報告し、フェンタニル製剤による副作用を防止するための方策について検討する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.947 | |
申請者 | 副薬剤部長 花田聖典 |
課題名 | 感染症に起因したDICに対するアンチトロンビン製剤の使用状況調査 |
研究 概要 | 当院におけるアンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)治療には、血漿由来人アンチトロンビン製剤(ノイアート)が使用されてきたが、近年、遺伝子組み換えアンチトロンビン製剤のアンチトロンピンガンマ(アコアラン)が院内でも使用可能となっている。アコアランは、遺伝子組み換え製剤であるため血漿由来のウイルス等による感染リスクの低減が期待されている他、ノイアートとの比較では、薬物動態試験による生物学的同等性が報告され、第Ⅲ相被盲検比較試験ではDIC離脱率に関する非劣性が報告されている。当院はノイアートおよびアコアランの両薬剤を採用しているが、それらの使用量やDIC離脱の評価など使用状況については調査されていない。今回、当院における感染症に起因したDICに対するノイアートおよびアコアランの使用状況を調査し、有効性と安全性を評価する。 |
判定 | 承認 |
第8回迅速審査(2019年7月24日)
No.945 | |
申請者 | 糖尿病・内分泌内科 西川武志 |
課題名 | 高血糖緊急症の病態を解明するための後ろ向き観察研究 |
研究 概要 | 高血糖緊急症は糖尿病に関連した救急疾患の代表疾患である 。この中には糖尿病性ケトアシドーシス(DKA :Diabetic ketoacidosis) 、高血糖高 浸透圧症候群(HHS:hyperglycemic hyperosmolar syndrome)および両者の混在した病態(mixed DKA/ HHX)が存在している。高血糖緊急症は 、感染症 、血管合併症 、電解質異常などの病態を合併することが多く、その合併は予後と密接に 関係している。しかし、これら病態の解析は海外からの報告がほとんどで 、本邦ではこの疾患に関する大規模な研究はほとんどなく、いまだ高血糖緊急症の臨床的特徴については 不明な点も多い。 今回の研究では2014年1月1日から2019年3月31日に、当院にて入院治療が行われた糖高浸透圧症候群の患者において、その病態を後ろ向きに解析する。 |
判定 | 承認 |
第7回迅速審査(2019年7月17日)
No.944 | |
申請者 | 薬剤師 眞弓健介 |
課題名 | ブスルフェクス1回投与法への変更による精神症状への影響 |
研究 概要 | 同種造血幹細胞移植の前処置には化学療法、放射線照射が併用されるが、静注ブスルファン(ブスルフェクス®)はその中心的な薬剤である。従来は1日4回、各2時間の点滴静注が必要だったが、2018年7月より1日1回の投与が承認され患者、医療スタッフの負担軽減に寄与している。一方で当院ではこれまでに国内では報告がない静注ブスルファン投与時の精神症状の発現率が上昇しており、投与法変更前後の精神症状発現率を検討する。 |
判定 | 承認 |
No.943 | |
申請者 | 救命救急部医長 北田真己 |
課題名 | 熱中症患者の医学情報等に関する疫学調査(2019) |
研究 概要 | 夏季になると熱中症の重症愚者に関する報道が多くみられる。しかしながら、本邦 における重症熱中症の実態については 、ほとんど解明されていないのが現状である。日本救急医学会熱中症に関する委員会は2006年から熱中症の実態に関する全国調査を行い、重症者の多くが日常生活の高齢者であることを明らかにしてきた。今後はその病態や治療方法について、より具体的な対策を講じていかねばならない。 本研究は、重症熱中症の全国規模の実態調査であり、先の調査を基に調査項目を設定して、原因や病態の解明および治療や予後の実情を把握し、発生の予防に向けた地域医療へのアプローチを検討することを目的に行うものである 。 |
判定 | 承認 |
第6回迅速審査(2019年6月26日)
No.942 | |
申請者 | 救命急センター長 原田正公 |
課題名 | 高齢者救急集中治療に対してフレイルが及ぼす影響についての多施設共同研究 |
研究 概要 | 我が国の高齢化率は2017年に27%を超え、今後も上昇を続ける。この傾向は他の先進諸国においても同様であるが、日本の高齢化率は世界でも抜きん出ている。このような高齢化社会の中で欧米諸国においては1980年代から高齢者に対する集中治療の意義について議論が行われているが、我が国においては超高齢者の救急集中治療の予後やQOLを示す報告もあまり行われておらず高齢者集中治療の意義を検討し、予後予測を行うための指標や予測因子が必要と考えられる。高齢者の集中治療の予後を予測する因子に関する研究については、いくつか報告されている。Liorらは年齢を独立したリスク因子として報告したが、年齢のみを予後予測因子として用いるべきではないとの報告も散見され、有用な予後予測因子が定められていないという現状がある。そのような状況の中で、高齢者の脆弱性の指標としてフレイルの重要性が提唱されているが、QOL,ADLや予後との関係性は十分に検証されているとは言い難い。 本研究では国内の救命救急センターもしくは集中治療専門医研修施設の多施設で、救急室からICUに直接入室した65歳以上の患者を対象として前向き観察研究を行う。フレイルの指標として、救急搬送約2週間前の臨床フレイル・スケール(CFS)を聞き取り調査し、CFSと予後、QOL、AOL低下の関係性を示す。 本研究の目的は我が国の高齢者の救急集中治療後の予後とQOLを明らかにし、また予後・QOL、AOLに対するフレイルの影響を検証することである。 |
判定 | 条件付承認 |
第5回迅速審査(2019年6月12日)
No.941 | |
申請者 | 血液内科部長 河北敏郎 |
課題名 | 末梢性T細胞リンパ腫、非特異群及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫に対する移植非適応症例に関する後方視的解析 |
研究 概要 | 末梢性T細胞リンパ腫、非特異群(peripheral T-cell lymphoma,not otherwise specified;PTCL-NOS)及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma;AITL)に対する移植非適応症例に関する成人症例の現状を確認することで新規治療開発における基盤となるデータを構築することを目的とする。 |
判定 | 承認 |
No.940 | |
申請者 | 5階西病棟副看護師長 藤川美和 |
課題名 | 排尿ケアチームが介入した脳卒中患者の特徴 |
研究 概要 | 平成28年診療報酬改定により排尿自立指導料が新設された。当院でも平成30年4月より排尿ケアチームが設置され泌尿器科病棟と脳神経外科・脳神経内科病棟で排尿ケアチームラウンドが開始となった。排尿ケアチームラウンド開始から1年が経過し、脳神経外科・脳神経内科病棟で排尿ケアチームが介入した脳卒中患者について現状分析し特徴を明らかにする。また、下部尿路機能障害の専門病棟である泌尿器科病棟での排尿ケアチームラウンド前後の比較から包括的排尿ケアについて検討する。 |
判定 | 承認 |
第4回迅速審査(2019年6月5日)
No.939 | |
申請者 | 腫瘍内科医長 山本春風 |
課題名 | イホスファミド脳症に対するメチレンブルー点滴 |
研究 概要 | 肉腫等の治療薬として使用されるイホスファミドは、イホスファミド脳症という重篤な副作用が発生することがある。イホスファミド脳症に対する治療薬として、メチレンブルー点滴の有用性が報告されている。 当院においては、院内製剤としてのメチレンブルーがメトヘモグロビン血症の治療薬としてすでに倫理審査委員会で承認を受けている。 今回、承認を受けたメチレンブルーを、イホスファミド脳症に対する治療薬として承認いただきたく、申請する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.938 | |
申請者 | 感染制御部副看護師長 田代里美 |
課題名 | 職員の流行性ウイルス疾患の抗体価管理とワクチン接種に向けた取り組み |
研究 概要 | 2018年から全国的に風疹が流行し、当院でも流行開始以降2名の患者が風疹と診断された。職員が感染を受けた場合、がんや侵襲的治療で免疫抑制状態にある入院患者への影響は大きく、職員が媒介者とならないための対策が重要である。当院職員の流行性ウイルス疾患の抗体保有状況を把握し、職業感染対策として適切な抗体価管理およびワクチン接種プログラムの構築するため、後方視的解析を計画する。 |
判定 | 承認 |
No.937 | |
申請者 | 薬剤師 井上勝光 |
課題名 | Daratumumab投与によるInfusion Reaction発現状況に関する調査 |
研究 概要 | 再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療に用いられるDaratumumabはその重大な副作用の一つとして投与時のInfusion Reaction(以下IR)発現が知られている。IR予防のため前投薬として副腎皮質ホルモン・抗ヒスタミン薬・解熱鎮痛剤が使用される他、呼吸器・消化器症状の発現抑制を目的としてロイコトリエン阻害剤の併用が行われる。臨床試験においてロイコトリエン阻害剤として主にモンテルカストが使用されていたが、当院ではDaratumumab前投薬にプランルカストを併用しIRの発現予防を実施している。そこで、当院におけるDaratumumabによるIR発現状況を把握するために調査を行う。 |
判定 | 承認 |
第3回迅速審査(2019年5月29日)
No.936 | |
申請者 | 救命急センター長 原田正公 |
課題名 | 日本航空医療学会ドクターヘリ・レジストリーへの症例登録事業 |
研究 概要 | 本研究は、本邦におけるドクターヘリに関する診療および運航の状況を全数把握するとともに、地上搬送症例との比較分析を通じてドクターヘリによる診療の効果検証を行うことを目的としている。本研究の意義は、ドクターヘリによる診療が患者の予後や医療の質に与える影響を定量的に示すとともに、救急診療の質の向上に寄与することにある。 |
判定 | 条件付承認 |
No.935 | |
申請者 | 診療部長 藤本和輝 |
課題名 | New Japan Cardiac Device Therapy Registry -New JCDTR |
研究 概要 | 我が国の心臓植込み型デバイスの植込み治療の実態を調査する。それによって、心臓植込みデパイス植込み基準の適性を検討する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.934 | |
申請者 | 救命急センター長 原田正公 |
課題名 | 患者情報システムを用いた集中治療部の機能評価 |
研究 概要 | 我が国の特定集中治療室管理を行うのにふさわしい専用の構造設備及び人員配置の基準が満たされている医療機関数は、670施設であり、特定集中治療室の病床数は、1施設あたり平均8.1床である。医療施設静態調査によると、特定集中治療室の病床が6~7床の医療機関数が最も多く、182施設である。これ以外に特定集中治療室管理料を算定していない自称ICUが1186施設ある。我が国のICUの設置状況を見ると、各ICUの診療成績に大きな差があることが考えられ、この重症患者管理施設の診療体制を放置すると、全体として診療成績が低下し、重症患者の予後の悪化と不要な医療費が増加することが予想される。医療経済ばかりではなく、社会負担の増大にも影響を及ぼす。 このような重症患者管理の診療成績の差は診療プロセスと診療に関係した患者情報が個票として標準化されていないことに加えて、予後から見た診療機能評価が行われていないことが原因である。本研究ではICUでの患者情報管理システム(PDMS)を利用して、ICUの機能評価に関係する情報を収集する。最終的には、他施設とも共同し、結果をベンチマークして機能評価を標準化する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.933 | |
申請者 | 小児科部長 水上智之 |
課題名 | 血液由来黄色ブドウ球菌の病原性解析と臨床応用に関する研究 |
研究 概要 | 1. 全ての血液由来黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性ブドウ球菌を含む)のゲノムシークエンスを取得するとともに病原因子関連遺伝子の保有パターンを明らかにし、臨床情報と併せて疾患に特徴的な黄色ブドウ球菌の特定株(クローン)を同定する。 2. 血液由来黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性ブドウ球菌を含む)に占める市中感染型と医療施設関連型の割合、株の特徴を明らかにする。 3. 病院の規模(ベッド数)、機能、並びに、地理的な違いと分離された黄色ブドウ球菌の性状の違いに関連性があるのかどうかを明らかにする。 本研究は国立感染症研究所薬剤耐性研究センター(AMRRC)との共同研究である。 |
判定 | 承認 |
No.932 | |
申請者 | 副看護師長 安永浩子 |
課題名 | 入院におけるリンパ浮腫複合的治療とセルフケア教育の現状と課題 |
研究 概要 | リンパ浮腫はがん治療後に発症する続発性リンパ浮腫が多く、現在わが国においてがんに関連したリンパ浮腫患者は10万人以上いるとも言われている。適切なケアを継続しなければ、重症化しQOLは著しく低下する。わが国におけるリンパ浮腫に対するケアは、経験的に圧迫療法を主体に行われてきたが、徐々にエビデンスが蓄積され2009年第1版リンパ浮腫診療ガイドラインが作成され、2018年に第3班として改訂されている。2016年にはリンパ浮腫の保存的治療法であるスキンケア・用手的リンパドレナージ・圧迫療法・圧迫下での運動療法・日常生活指導を含む「複合的治療」が「リンパ浮腫複合的治療料」として保険収載されその重要性が認められた。しかし、入院における複合的治療を実施している施設は限られており、九州内でも数施設である。リンパ浮腫はひとたび発症すると完治するのは困難であり、患者はこれらの治療を生涯にわたりセルフケアを継続し、管理していかなければならない。 そこで、当院においても、2017年リンパ浮腫ケアチームを立ち上げ、厚生労働省の助成研究班で策定されたクリニカルパスを参考に入院における複合療的治療及びセルフケア教育のプログラムを構築し、2018年4月から運用・実施している。そこで今回、プログラムの充実に向け、その現状と課題を明確化することを目的とする。 |
判定 | 承認 |
No.931 | |
申請者 | 副看護部長 井上範子 |
課題名 | 看護管理者のコンピテンシー能力開発に向けた、パートナー制度の導入の効果に関する研究 |
研究 概要 | 現在、国立病院機構では、看護管理者にコンピテンシー・モデルを活用して育成を行うよう求めている。これまで当院では3年間、看護師長研究会でコンピテンシーに関する勉強会や、看護師長がまとめた事例を基に副看護部長より個別指導を行ってきたが、副看護部長は看護師長の実際の業務場面に関わることが少なく、タイムリーな指導ができていなかった。 コンピテンシーとは「ある職務や状況において、高い成果・業績を生み出すための特徴的な行動特性」と言われている。また、当院が採用しているコンピテンシー・モデルは6クラスター、16コンピテンシーから構成されている。これらすべてのコンピテンシーに優れている者は少なく、往々にして得意とするコンピテンシーと苦手とするコンピテンシーを感じている管理者が多い。 しかし、自分が苦手とするコンピテンシーを自己開発してくことは難しく、また看護師長は自部署においてはロールモデルがいないことも開発を難しくしていると考える。そこで、今年度は看護管理者にパートナー制度を導入し、お互いの業務の補完を行いながらお互いの得手、不得手を感じているコンピテンシーの開発に影響を与えることを期待し、パートナー制度の試行を行うこととした。 パートナー制度の導入が、看護師長のコンピテンシーの開発に影響を及ぼしたのか、導入前後の事例と導入後のグループディスカッションによるデータより検証を行いたい。 |
判定 | 承認 |
第2回倫理審査委員会(2019年5月21日)
No.929 | |
申請者 | 血液内科部長 河北敏郎 |
課題名 | 同種造血細胞移植後HHV-6再活性化の認知機能とQOLに与える影響に関する前向き観察研究 |
研究 概要 | ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は小児の突発性発疹を来すウイルスであり、同種造血細胞移植を受けた患者の一部で重篤な中枢神経系の合併症(HHV-6脳炎)の原因となり、臍帯血移植でその頻度が高いことが知られている。重症例では記憶障害、意識障害やけいれんなどを来すが、軽症例の病態は不明である。本試験の目的は週2回の血液検査によるHHV-6の再活性の評価と神経心理学的なテストにより、軽症HHV6再活性化例の病像を明らかにすることである。 |
判定 | 条件付承認 |
第2回迅速審査(2019年5月17日)
No.929 | |
申請者 | 糖尿病・内分泌内科部長 西川武志 |
課題名 | 電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究(J-DREAMS) |
研究 概要 | 【研究の背景】 本邦の糖尿病実態調査であるJDCP studyやJDCSは、デンマークやスウェーデンのNational Diabetes Registryと異なり、糖尿病専門施設での一部の患者カルテデータの手作業収集に基づき、日本全体での実態を必ずしも反映しない。また、本邦では電子カルテの普及が進み、医療・介護情報の電子化、標準化が進行中である。しかし、現行の段階では、血圧や体重を含めた記事情報を抽出するためには手作業の再入力が依然必要である。以上の問題点を克服して、多数症例の情報を効率的効果的に集約するシステムを構築し、これを多施設に広げ、日本人を代表するデータベースを効率的に構築することは喫緊の課題である。 【これまでの進捗】 これまでに、電子カルテに記載する診療情報から抽出する項目の選定を進めた。また、SS-MIX2からMCDRSのサーバにデータを呼び出すシステムの開発を行った。研究開始当初は診療データを匿名化・暗号化した上でニフティクラウド(商業用クラウドサーバ)に格納する予定であったが、セキュリティを更に高めるために当センターにサーバを設置することとした。また、日本糖尿病学会と連携して事業を進められることが確認され、2015年5月の日本糖尿病学会の評議員会においても本研究事業を当センターと日本糖尿病学会が連携して進めていくことが確認された。 こうした流れの中で、2015年6月に日本医療研究開発機構からの予算(調整費)が追加で交付されることが決まり、システム開発の加速と施設参加数・症例登録数の増加を行う方針となった。 【研究の目的】 この研究の目的は、電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用して臨床情報を大規模収集し、その情報を研究に利用するための基盤的検討を行うことである。 |
判定 | 承認 |
No.928 | |
申請者 | 糖尿病・内分泌内科部長 西川武志 |
課題名 | 高血糖緊急症の病態を解明するための後ろ向き観察研究 |
研究 概要 | 高血糖緊急症は糖尿病に関連した救急疾患の代表疾患である。この中には糖尿病性ケトアシドーシス(DKA:Diabetic ketoacidosis)、高血糖高浸透圧症候群(HHS:hyperglycemic hyperosmolar syndrome)および両者の混在した病態(mixed DKA/HHX)が存在している。高血糖緊急症は、感染症、血管合併症、電解質異常などの病態を合併することが多く、その合併は予後と密接に関係している。しかし、これら病態の解析は海外からの報告がほとんどで、本邦ではこの疾患に関する大規模な研究はほとんどなく、いまだ高血糖緊急症の臨床的特徴については不明な点も多い。 今回の研究では2014年1月1日から2019年3月31日に、当院にて入院治療が行われた高血糖高浸透圧症候群の患者において、その病態を後ろ向きに解析する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.927 | |
申請者 | 救命救急科医長 山田周 |
課題名 | 病院前における不穏症例対応時の救急隊員に対する身体的・言語的・性的暴力の実態と精神状態およびワーク・エンゲイジメントに与える影響に関する研究 |
研究 概要 | この研究は救急振興財団の研究助成金によって行われるものである(助成金承認済み)。 1) 我が国の救急隊員が経験している患者および家族などによる言語的・身体的・性的暴力の経験の有無、頻度を明らかにする 2) その経験が救急隊員の精神状態(うつ状態、心的外傷を含む)と仕事に対するポジティブな心理状態(ワーク・エンゲイジメント)に与える影響、心的外傷として与える影響を明らかにする 3) 暴力を経験した後に同僚や上司による支援の実態を明らかにする |
判定 | 条件付承認 |
No.925 | |
申請者 | 血液内科部長 河北敏郎 |
課題名 | 当院における悪性リンパ腫に対する同種移植の後方視的解析 |
研究 概要 | 化学療法のみでは根治が期待しにくい悪性リンパ腫に対して、一般に自家造血幹細胞移植が選択される例が多い。しかし、自家移植は移植前の疾患コントロールが十分でなければ再発リスクが高いため、再発難治例に対しては同種移植が選択されることも多い。悪性リンパ腫に対する同種移植の予後因子を解明することを目的として、後方視的解析を計画する。 |
判定 | 条件付承認 |
第1回倫理審査委員会(2019年4月16日)
No.924 | |
申請者 | 薬剤部長 中川義浩 |
課題名 | 院内製剤の再選択と法に基づく体制整備 |
研究 概要 | 院内製剤は医療法の下、医療機関の責任下で院内において調製・使用されている。日本病院薬剤師会より「院内製剤の調製及び使用に関する指針(Ver.1.0)」(別添資料①)が発表され、院内製剤のクラス分類を行うこと、クラス毎に必要な医療機関内の手続きに関する基準及び院内製剤の品質保証の方法等を定められた。当院においてもこれまである一定数の院内製剤を調製し患者への医療提供の目的にて使用してきたが、安全で安心かつ適正な院内製剤の調製及び使用を図ることを目的に当該の指針に従い、現在当院で登録されている院内製剤の調製品目について、エビデンスに基づいた再選定を行い新規申請時の同意書を策定し、体制整備を行うためである。 |
判定 | 条件付承認 |
第1回迅速審査(2019年4月2日)
No.923 | |
申請者 | 医薬品情報管理主任 藤田強記 |
課題名 | アザシチジン皮下注射による注射部位反応に関する調査 |
研究 概要 | アザシチジンは高リスク骨髄異形成症候群の患者において、移植を行わない症例では第一選択薬と位置づけられる薬剤であり、皮下注射や点滴静注で投与されている。皮下注射で投与する際の副作用として注射部位反応が高頻度で発現しているが、好発部位や発現の要因などに関する報告はない。そこで今回、当院におけるアザシチジンを皮下注射で投与した際の注射部位反応の好発部位や発現要因について調査・検討する。 |
判定 | 条件付承認 |
No.922 | |
申請者 | 病理診断科部長 村山寿彦 |
課題名 | LBC(Liquid-Based Cytology)法を用いた細胞診によるリンパ腫の診断 |
研究 概要 | リンパ腫の診断は通常リンパ節あるいはリンパ節外病変から生検を行い、組織学的診断で確定する。しかしながら生検が困難な場合、あるいは体腔液からの標本の場合組織診断ができず、診断・治療が遅れることになる。ところがこのような場合であっても細胞診標本は作製可能で、しかもLBC法を用いることで検索法の多様性が広がり、確定診断も期待できるようになってきた。今回リンパ節生検組織の残余組織を用いてLBC法による細胞診標本を作製し、画像解析を行うことで客観的情報によるリンパ腫の診断の可能性を検討する。本研究により組織でも診断困難な低悪性度リンパ腫を少量でかつ低侵襲の穿刺吸引細胞診検体から確定診断する道が開けることになる。 |
判定 | 条件付承認 |
No.921 | |
申請者 | 血液内科医長 原田奈穂子 |
課題名 | 当院で診断した無症候性多発性骨髄腫の後方視的検討 |
研究 概要 | 当院で診断された無症候性多発性骨髄腫症例において、疾患及び治療の経過について後方視的に解析し、症候性骨髄腫への進行リスクとなる因子を検討する。 |
判定 | 条件付承認 |