血管造影|診療放射線科|国立病院機構熊本医療センター
血管造影
血管造影とは?
血管にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、カテーテルから造影剤という薬を血管に注入して目的部位の血管を描出する検査です。カテーテルを挿入する部位は大腿部または上肢の血管であり、カテーテルを目的の血管や病巣まで到達させることで、腫瘍の血管の状態や血液の流れを確認することができます。
適応となる検査部位は、頭頚部、心臓、腹部、四肢など、ほぼすべての血管が適応となります。また、検査だけではなく、狭くなった血管を広げたり(血管拡張術)、腫瘍を栄養する血管を詰めたり、臓器の出血を止める(動脈塞栓術)などの治療にも応用されています。このことをIVR( Interventional Radiology )といい、皮膚を大きく切開する外科的手術に比べ、身体への負担が少なくて済みます。
当院では3台の血管造影装置を用いて、24時間365日体制で緊急検査も含め対応しています。第1,2血管造影室の装置は、X線管球とフラットパネル検出器が2セット搭載されているバイプレーンの装置で、1回の造影剤注入で2方向から同時に撮影することで、造影剤減量と被ばく低減が可能となり、患者負担の軽減につながります。また、目的部位に合わせ撮影するパラメータを変更することで、被ばくの低減と高画質の両立を図っています
第1血管造影室
第2血管造影室
第3血管造影室
主な検査内容
脳血管造影検査
くも膜下出血・脳動脈瘤・脳梗塞などの脳血管病変や脳腫瘍病変の状態把握、質的診断および手術前の精査などを行う検査です。必要に応じて、血栓除去術やコイル塞栓術、ステント留置術などを行います。
心血管造影検査(心臓カテーテル検査)
心筋梗塞や狭心症などの原因となる心臓を栄養する血管(冠動脈)の状態把握や心臓の形態、弁の動きの観察などを行う検査です。必要に応じて、ステント・バルーンカテーテルなどを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や、体内式・体外式ペースメーカー移植術などを行います。
腹部血管造影検査
腹部の血液の流れを観察し、肝臓、腎臓、膵臓などの腫瘍の状態把握や血管損傷による出血の確認などを行う検査です。必要に応じて、肝動脈化学塞栓療法(TACE)や経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)などを行います。
四肢血管造影検査
四肢血管や血液透析を行うためのシャントなどの状態把握や狭窄、塞栓などの確認を行う検査です。必要に応じて、経皮的血管形成術(PTA)を行います。
検査画像
腹部血管造影
脳血管造影
心血管造影
四肢血管造影
検査時間
検査の所要時間は1時間程度、治療度行う場合は2時間以上かかることもあります。
注意事項
・一部の検査を除き、入院して検査や治療を行います。
・検査前(当日)は、絶食する場合があります。
・検査時は、局部麻酔下で行います。
・カテーテルを挿入する際に圧迫感を感じる場合があります。
・造影剤の注入時に熱く感じる場合があります。
・心臓カテーテル検査時に、カテーテルによる刺激で動悸を感じる場合があります。
・検査中は体を動かすと非常に危険ですので、異常時には周りのスタッフまで口頭でお伝えください。
・針を刺した場所によって異なりますが、検査(治療)後は数時間の安静が必要になります。
診療放射線技師の役割
血管造影検査における診療放射線技師は、血管造影装置や周辺機器の操作および安全管理を行い、医師がスムーズに検査や治療が出来るように、手技に必要な画像情報の提供全般を担っています。また、患者様および医療従事者(医師、看護師など)の放射線被ばくが最小限になるように、被ばく低減にも心がけています。
血管造影室では、血管造影検査が円滑に行われるように、医師、看護師と密に連携を図りながら、質の高い安全な医療の提供に努めています。
ご不明な点がありましたら、スタッフにお気軽にお声掛けください。