国立病院機構熊本医療センター
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2018年度倫理審査委員会|国立病院機構熊本医療センター

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2018年度倫理審査委員会

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45回迅速審査(2019年3月29日)
No.919 申請者:血液内科医師 平野太一
課題名 当院における急性前骨髄性白血病の予後
研究概要 急性前骨髄性白血病(APL)の治療成績はATRAの登場により飛躍的に向上しました。しかし、APLでは他の急性骨髄性白血病より出血イベトが多いことが知られており、重大な問題のひとつです。日本成人白血病研究会(JALSG)での臨床治験での出血イベントのデータはありますが、本邦における実臨床での予後や出血イベントのデータは乏しいのが現状です。当院でのAPL症例の予後と出血イベントを検討し、治療成績の改善を検討します。
判定 承認
44回迅速審査(2019年3月12日)
No.919 申請者:泌尿器科部長 菊川浩明
課題名 小径腎癌(4cm以下)に対する凍結治療(クライオセラピー)
研究概要 小径腎臓癌の標準治療は腎臓部分切除術であるが、脳血管障害、心臓機能障害等で手術を希望されてもリスクが高く合併症が危惧されたり、単腎や多発腫瘍で摘出が困難であったり、あるいは手術自体を希望されない患者尾少なからず存在する。そのような症例に対して手術療法に変わる一つの治療オプションとして凍結治療(クライオセラピー)があり、局所麻酔下に施行できるため低侵襲治療としても注目されている。今回、当院でも全国で26施設目に導入する運びとなった。泌尿器科では2019年4月より本治療の開始を予定しているため、新たな医療技術として申請する。
判定 承認
43回迅速審査(2019年3月5日)
No.918 申請者:消化器内科部長 杉和洋
課題名 当院における患者に対する肝炎検査の説明に関する意識調査
研究概要 平成23年5月16日に定められた肝炎対策の推進に関する基本的な指針の中に、国は肝炎対策の推進に資することを目的として、医療機関において手術前等に行われる肝炎ウイルス検査の結果の説明状況等について実態を把握するための研究をおこなう、ということが明記されている。
平成24年度厚生労働科学研究費補助金(難病・がん等の疾患分野平成28年6月30日肝炎対策基本法が改正されました。医療機関は具体的な取り組みを行い、肝炎ウイルス検査結果について確実に説明を行い、受診に繋げるように取り組む旨が明記された。
平成30年4月の診療報酬改定で『手術前医学管理料』として、肝炎ウイルス関連検査を行った場合には、当該検査の結果が陰性である場合を含め、当該検査の結果について患者に適切な説明を行い、文書により提供することが追記された。
アンケート調査結果は、集計をおこなった上で、医局会で公開する予定である。また、院内外での勉強会や講演会で使用する予定である。
判定 承認
No.917 申請者:循環器内科部長 藤本和輝
課題名 OPTIVUS-ComplexPCI:Optimal Intravascular Ultrasound Guided Complex Percutaneous Coronary Intervention study(至適な血管内超音波ガイド経皮的冠動脈インターベンションの複雑性病変における臨床経過を評価する前向き観察研究)
研究概要 重症冠動脈疾患(左主幹部疾患及び左前下行枝を含む多枝疾患)に対して経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)を行う際の血管内超音波所見について達成すべき基準を予め設定し、その基準を遵守して治療を行うことで過去の治療成績と比較して改善が得られるかどうかを評価する。
判定 承認
42回迅速審査(2019年2月26日)
No.916 申請者:看護学校教員 高木佳寿美
課題名 HFMEAの思考プロセスを用いた実習指導者に対する医療安全教育の効果
研究概要 HFMEA(Healthcare Failure Modeand Effects Analysis)とは、事故が発生する前にあらかじめ発生する可能性のあるリスクを、予測して対策を実施する、医療事故防止対策の分析方法の一つである。リリスクアセスメントトレーニングとして活用され、このトレーニングによる成果は、学習者がリスクを予測することで回避できる事例があることに気づく、リスクの見える化、予測したリスクの防止対策を検討することで学習者の不安を軽減するとされている。また、教授者側の成果としても、リスクアセスメント力の現状評価、課題、教育すべき内容の明確化が期待できる(石川,2016)。
医療安全は医療の質にかかわる重要な課題であり、医療の高度化、専門化により、看護師の医療安全に関する責務も高まっている。看護基礎教育においても医療安全教育の充実が求められ、看護学生の段階から患者の安全を保障する責務を十分に理解し、行動するための教育が必要である。
看護基礎教育における臨地実習は、看護の場に学生が身を置き、看護師の指導のもと実際のケアを行うことができる。その一方、知識、技術が未熟な学生にとって臨床の場は複雑な状況であり、即時にその場で判断を迫られ、行動せざるを得ない状況も作り得る。よって、患者と学生双方にとって安全を確保するためには、臨床の実習指導者と教育との協働が重要である。
看護基礎教育の医療安全に関する先行研究では、学生のインシデント体験の分析や、看護学生のリスク感性についての調査等は報告されているが、実習指導者を対象とした医療安全教育に関する報告はほとんどない。
本研究は、HFMEAを用いた実習指導者への医療安全教育の効果を考察し、今後の教育への示唆を得ることを目的とする。
判定 承認
No.915 申請者:看護師長 川邑佳春
課題名 熊本医療センターの看護部の仕事に関する意欲・ストレスの実態調査
研究
概要
熊本医療センターは、基幹施設として地域救急医療体制支援病院、地域がん診療連携拠点病院としての役割を担っている。その中で、医療の高度化により、看護師は絶えず高度な医療知識や技術を会得し、複雑化するシステムに対応していかなければならない。その一方で高齢患者や慢性疾患患者の増加は、複数の疾病や複雑な社会背景をもつ患者への対応など、看護師には、より専門的な能力が必要となっている。看護職員のワーク・ライフ・バランスなど働きやすい環境作りを目指し、子育て支援として男女関係なく利用できる制度や院内保育園、病児・病後児保育室の設置、有給休暇の取得等について取り組んできたが、4年~7年目の看護職員の辞職率が高かった。3~4年目の看護師がチームリーダーや後輩指導、病院・病棟での係や委員会活動などを任せられるようになり、職務に関する意欲やストレスの負担が大きいことが原因の一つであると考えている。先行研究では、看護師の仕事意欲に関する調査や看護師の職業継続意思に関する要因を検討した報告がある。働き続けられる職場環境を構築するための基礎的デタを得るため、熊本医療センターの看護職員の仕事に関する意欲とストレスについて明らかにすることを目的に本研究を行う。
判定 承認
No.914 申請者:消化器内科部長 杉和洋
課題名 多施設内視鏡データベース(JED)の構築プロジェクト
研究概要 日本全国の内視鏡関連手技・治療情報を登録し、集計・分析することで、医療の質の向上に役立て、患者に最善の医療を提供することを目指す。
判定 承認
第11回倫理審査委員会(2019年2月19日)
No.913 申請者:主任診療放射線技師 深松昌博
課題名 3.0TMRIを用いたFusinT2WITSEにおける呼吸性アーチファクト低減および病変検出能評価
研究概要 上腹部のMRI検査では他の領域と異なり、息止めまたは呼吸同期による撮像が必須である。しかし1.5TMRIに比べ3.0TMRIでは、SNRが約2倍となるため脂肪信号が高く、その影響による呼吸性アーチファクトがより多く発生する。当院ではこの対策として、T2強調画像(T2WI)は時間分解能が高く、モーションアーチファクト対策に有効な呼吸同期singleshotTurboSpinEcho(ssh_TSE)法で撮像している。しかし、ssh_TSE特有のブラーリングの影響により、ボケの多い画像となり、診断に影響を及ぼしてしていることが考えられる。そこで我々は、上腹部撮像において、脂肪抑制T2TSE法(FST2TSE)と水抑制ssh_TSE法をfusionすることで、呼吸性アーチファクトが低減したT2WIを得ることが可能であるかを検討した。
基礎実験として、肝臓のT1、T2値に近似するようGd-DTPAを生理食塩水で希釈した自作ファントムを用い、脂肪抑制T2TSE法(FST2TSE)と水抑制ssh_TSE法をfusionしたT2WI(FusionT2TSE)と従来のT2TSE法(T2TSE)とのコントラストを評価した。その結果、TEを最適化することで従来のT2TSE法と同等のコントラストが得られた。また、同意の得られた健常ボランティアにおいて肝臓の撮像を行った。視覚評価の結果、コントラストおよびモーションアーチファクトの低減効果においてFusionT2TSE画像が最もスコアが高く、全ての画像において有意差が認められた。これまでの研究からFusionT2TSEはT2コントラストを担保し、モーションアーチファクトの低減が可能となり、明瞭な画像が得られた。
本研究の目的は、臨床適応判断への有用性である。同意の得られた患者において肝臓の撮像をを行い、呼吸生アーチファクト低減および病変検出能の評価を行う。
判定 承認
第41回迅速審査(2019年2月14日)
No.912 申請者:循環器内科部長 藤本和輝
課題名 非弁膜症性心房細動を有する後期高齢患者を対象とした前向き観察研究
研究概要 本研究は、非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する後期高齢患者(75歳以上)における抗凝固療法の実態及びその予後を明らかにするとともに、脳卒中/全身性塞栓症及び頭蓋内出血のリスク因子を特定し、直接経口抗凝固薬(DOAC)に最適な治療対象集団及びその使用法を明確にすることを主目的とする。また、副次的にNVAFに関連する種々のクリニカルクエスチョンについて検討する。
判定 承認
40回迅速審査(2019年1月31日)
No.911 申請者:救命救急センター副看護師長 冨永啓史
課題名 看護安全対策委員会における危険予知トレーニング導入の効果について
研究概要 平成30年度看護安全対策委員会では、昨年度までの委員会とはスタイルを変更し、各委員のリスク感性やスタッフへの教育指導力の向上と、委員がやりがいを持ち意欲的に委員会活動をできることを目的に、毎月1回開催される委員会に、参加学習型の危険予知トレーニング(以下KYT)を導入した。このKYTは机上で議論するのではなく、臨床現場を想起できるよう病室を使用したり、会議室に病室を再現して行った。事例は各部署で共有できるインシデントから選択し、学習した内容を自部署で伝達講習できることを意図して実践した。結果として、今までの委員会に比べ活発な意見交換が行え、現場で感じていた疑問点や各病棟の実情を委員会の場で議論することができた。また、各委員の殆どが自部署の事例でKYTを実践し、その成果を委員会で報告することができた。一方で委員会スタイルの変更に伴う精神的ストレスやKYTの実施に対する負担の増加など、マイナス要因も考えられた。
このことから今年度の委員会で取り組んだKYTが委員の活動意欲へどのように影響したかを明らかにするために本研究を行う。
判定 承認
No.910 申請者:5西病棟看護師 藤島愛華
課題名 「わたしの記録」を用いた苦痛のスクリーニングシステムに関するアンケート調査
研究
概要
平成29年3月から緩和ケアの対象者に対して「わたしの記録」を用いた苦痛のスクリーニングシステムが導入された。1年9か月経過し、実際に活用した看護師から苦痛のスクリーニングシステムの認知度、実施状況、有効性など現状の把握と今後の問題点をアンケートをもとに明らかにしたい。
判定 承認
No.909 申請者:5西病棟看護師 松野順
課題名 透析室における透析開始前のタイムアウトの有用性
研究概要 当院透析室におけるインシデントを分析し、透析開始前のタイムアウトを導入したため、その有用性を評価する。
【タイムアウト定義】透析開始前にすべての作業を中止し、必要事項の確認をする作業を指す
判定 承認
No.908 申請者:外科医長 美馬浩介
課題名 高齢者急性腹症の臨床的特徴と予後の検討
研究概要 本邦では平均余命の延長と高齢者人口の増加に伴い、高齢者の急性腹症に対する手術症例が増加している。高齢者は併存症や主要臓器機能の低下により、標準治療を受けることが困難な場合があるが、高齢者の急性腹症を対象としたエビデンスや治療指針は少ない。当院外科において急性腹症に対して手術を行った症例において、臨床病理学的因子、手術成績、予後について後ろ向きに検討し、高齢者急性腹症患者の特徴、手術成績、予後について検討を行う。
判定 承認
No.907 申請者:外科医長 美馬浩介
課題名 高齢者消化器腫瘍の臨床病理学的特徴と予後の検討
研究概要 本邦では平均余命の延長と高齢者人口の増加に伴い、高齢者の消化器腫瘍に対する手術症例が増加している。高齢者は併存症や主要臓器機能の低下のため、標準治療を受けることが困難な場合があるが、高齢者の消化器腫瘍を対象としたエビデンスや治療指針は少ない。当院外科において消化管腫瘍および肝胆膵腫瘍に対して手術を行った症例において、臨床病理学的因子、手術成績、予後について後ろ向きに検討し、高齢者消化器腫瘍患者の特徴、再発リスク、予後について検討を行う。
判定 承認
39回迅速審査(2019年1月24日)
No.906 申請者:副薬剤部長 鶴﨑泰史
課題名 がん化学療法に対する制吐剤としてのオランザピンの使用実態調査
研究概要 がん化学療法において制吐薬として使用頻度が増加しつつあるオランザピンの使用状況を全国的に調査することにより、日本人における適正使用の推進に寄与する。計画している具体的な項目は、①オランザピンの使用実態調査、②高齢者や糖尿病合併患者などハイリスク患者における使用実態と忍容性の検討である。
判定 承認
第38回迅速審査(2019年1月17日)
No.905 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 「JCOG1411:未治療低腫瘍量進行期濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ療法早期介入に関するランダム化比較第Ⅲ相試験」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.1
研究
概要
事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG1411)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
第37回迅速審査(2019年1月8日)
No.904 申請者:薬剤師 大橋邦央
課題名 薬剤師外来業務に関するアンケート調査
研究概要 がん対策基本計画にて、化学療法のさらなる充実とチーム医療の推進が謳われ、専門・認定薬剤師等を適正に配置し、患者の副作用や苦痛に対して継続的に対応できる診療体制を整備することが目標として掲げられている。当院では平成29年6月より薬剤師外来を設置し、外来化学療法センターで注射用抗がん剤を投与する患者に対する継続的な介入および外来で経口抗がん剤を導入する腫蕩内科・外科・消化器内科愚者への初回指導を行っている。これまでの薬剤師外来の活動を評価するため、関連する医師、看護師に対するアンケート調査を実施し、業務改善につなげていくことを目的とする。
判定 承認
No.903 申請者:薬剤師 大橋邦央
課題名 薬剤師外来活動状況調査
研究概要 がん対策基本計画にて、化学療法のさらなる充実とチーム医療の推進が謳われ、専門・認定薬剤師等を適正に配置し、患者の副作用や苦痛に対して継続的に対応できる診療体制を整備することが目標として掲げられている。当院では平成29年6月より薬剤師外来を設置し、外来化学療法センターで注射用抗がん剤を投与する患者に対する継続的な介入および外来で経口抗がん剤を導入する腫蕩内科・外科・消化器内科患者への初回指導を行っている。これまでの薬剤師外来の活動を評価する目的で薬剤師外来活動状況の調査を行いたい。
判定 承認
第10回倫理審査委員会(2019年年1月8日)
No.902 申請者:CCU看護師 山口亜弥
課題名 CCUにおけるCNS-FACEⅡを用いた家族ニーズの実態調査
研究
概要
クリティカルケア領域で対象となる患者は急性かつ重症の患者である。生命の危機にさらされた患者はもちろん、その家族も大きな不安や恐怖と闘っている。患者を見守る家族に対し、家族のニードとコーピングをできる限り正確に把握することは、看護介入を行う上で重要なことであると考える。
当院のCCUでは、家族の状態を評価する方法として、ニードとコーピングが同時に評価できるCNS-FACEⅡを用いて評価を行っている。CNS-FACEⅡは、家族の心理面を客観的に捉え、その量的表現を試みた測定ツールである。CNS-FACEⅡの利点として、刻々と状態が変化する患者、様々な非日常的な状況に晒される家族、忙しい勤務条件下でケアする看護師、こうした背景があるクリテイカルでも、家族の心理的アセスメントが過剰な負担を強いることなくできるツールである。
しかし、CNS-FACEⅡの欠点として家族の真のニードやコーピングを数量化したものではないという欠点がある。家族が不安を表出できるよう、日々看護師は短い面会時間内でも家族との信頼関係を築きあげられるよう心掛けている。しかし、家族によっては不安や経済的問題など看護師に直接相談出来ないこともあると考える。そういった際、客観的評価であるCNS-FACEⅡを用いた評価では、家族が本当に必要としているニードをとらえきれていないのではないかと考えた。本当のニードにズレが生じているとすれば、そのことで実際に家族が求めていることに対して適切に対応できていない可能性があるかもしれない。そこで今回、CNS-FACEⅡによる客観的評価と、インタビューによる主観的評価でニードやコーピングの実態を明らかにしたいと考えた。CNS-FACEⅡは様々な研究がなされており、結果として「情報」・「接近」・「保証」のニードが最も高いことが検証されている。当院でのCNS-FACEⅡ使用によるニードとコーピングの変化について把握を行い、CNS-FACEⅡによる客観的評価とインタビューによる主観的評価でのニードとコーピングの関係性を明らかにし、危機的状況にある家族に対し、適切なニードの充足とコ-ピング変化を把握し家族看護介入の充足を図る事を目的とし、今回の研究に取り組むこととした。
判定 承認
第36回迅速審査(2018年12月20日)
No.901 申請者:救命救急センター看護師 知識美幸
課題名 超急性期脳卒中患者の座位訓練開始基準についての実態調査
研究
概要
脳卒中急性期リハビリテーションは充分なリスク管理のもと発症後早期から積極的な介入が勧められている。脳卒中治療ガイドラインにおいても「不動・廃用症候群予防し、早期の日常生活動作(AOL)向上と社会復帰を図るために十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる。」と述べており、超急性期から適切な急性期リハビリテーションを行うことが重要である。
当院の救命救急センターにおける脳卒中患者は重症例が多く、看護スタッフは患者の早期リハビリテーション介入に悩みを抱えている。医師の安静解除後に看護師が独自の判断で座位訓練を行うなど、開始基準がないのが現状である。そのため、当院の救命救急センターの看護師が、座位訓練の開始基準をどこに求めているかを明らかにする。
判定 承認
第9回倫理審査委員会(2018年12月18日)
No.900 申請者:主任臨床検査技師 小川沙希恵
課題名 高感度インフルエンザ抗原迅速検査システムの有用性の検討
研究
概要
インフルエンザウイルスの検出は、通常、イムノクロマト法(IC法)を用いて行われおり、簡便・迅速に検査を実施できるキット製品が広く普及しているが、検出感度が低いことが欠点であり、そのため、発症より12時間以降での検査が推奨されている。しかし、医療従事者が感染していた場合、院内伝播の危険性が極めて高く迅速な診断が必要とされている。昨年、高感度法が開発され、少ない抗原量からでも高感度に判定可能なった。今回、これまで当院で使用してきたインフルエンザ抗原検査キットと、この新たな検出法の性能を比較し、臨床および感染対策に及ぼす影響を調査する。
判定 承認
No.899 申請者:麻酔科医師 清水和子
課題名 近位閉鎖神経ブロック(吉田法)の経尿道的膀胱腫瘍切除術における安全性・確実性の検討
研究
概要
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)は膀胱腫瘍の診断・治療のために施行されている。TUR-BTは一般的に脊髄くも膜下麻酔下に施行されるが、膀胱腫瘍が膀胱側壁にある場合、電気メスで腫瘍切除中に閉鎖神経を刺激し内転筋が不意に動き、電気メスにより膀胱穿孔等の合併症を起こす危険性がある。これを予防するため、閉鎖神経ブロックが行われる。
閉鎖神経ブロックの方法は一般的にランドマーク法、超音波ガイド下閉鎖神経ブロックが施行されている。閉鎖神経の走行は個人差が大きく分枝が多い。以前から行われているランドマーク法は成功率を上げるために複数回の穿刺を必要とする場合が多く、盲目的な手技で血管損傷や臓器損傷の危険性があった。
超音波を利用した方法が閉鎖神経ブロックの成功率を向上させ、安全に施行できると期待され普及している。現在普及している超音波ガイド下閉鎖神経ブロック(遠位閉鎖神経ブロック)は閉鎖神経が前枝と後枝に分校した遠位レベルで両枝を各々ブロックする方法だが、遠位レベルでは閉鎖神経前・後枝を完全にブロックできないことがある。また、二回の穿刺が必要で時間を要することがある。そこで、閉鎖神経が閉鎖管から骨盤外へ出てすぐの場所(恥骨筋と外閉鎖筋の聞の筋膜)に局所麻酔薬を投与し、局所麻酔薬が閉鎖管に広がることで閉鎖神経本幹をブロックする方法が複数のアプローチで報告されている(近位閉鎖神経ブロック)。近位閉鎖神経ブロックの中で吉田らが考案した方法(以下近医閉鎖神経ブロック(吉田法)または吉田法と略)は局所麻酔薬を注入する位置の同定と超音波でのブロック針の同定が比較的容易であり、閉鎖神経前・後枝を確実にブロックする方法ではないかと考えられている(文献①、②)。閉鎖神経ブロックは一般的に電気刺激を併用して行うが、近位閉鎖神経ブロック(吉田法)ではターゲットの筋膜にブロック針をすすめても電気刺激に反応しない場合がある。
今回我々は、当院の泌尿器科医と協力し近位閉鎖神経ブロック(吉田法)の安全性・確実性を証明することを目的とした。
判定 承認
No.898 申請者:血液内科医長 河北敏郎
課題名 HBV既往感染歴を有する同種造血細胞移植レシピエントに対する、HBワクチンによるHBV再活性化予防法のランダム化検証的試験
研究
概要
同種造血細胞移植を受けたHBs抗原陰性かつHBc抗体陽性のB型肝炎ウイルス既往感染症例では、移植後の免疫不全に伴ってウイルスが再活性化し致死的な劇症肝炎に至る可能性がある。本試験では、移植後140±14日時点でHBワクチン接種群と非接種群にランダムに割付し、HBワクチン接種による移植後HBV再活性化の予防効果を多施設共同前方視的研究にて検証する。
判定 承認
第35回迅速審査(2018年12月13日)
No.897 申請者:救命救急科医長 櫻井聖大
課題名 当院における乾燥濃縮人プロトロンピン複合体製剤(ケイセントラ®)の使用状況
研究
概要
ビタミンK桔抗薬使用中の出血傾向を抑制する乾燥濃縮人プロトロンビン複合体製剤(ケイセントラ®)が2017年9月に発売開始となった。同薬は第II、VII、IX、x因子を高濃度に含んでおり、速やかに抗凝固状態を是正することが可能である。脳出血や、多発外傷による出血性ショックといった、生命に関わるような出血を抑えることが期待されている。
本研究は、当院での同薬の使用状況と止血効果について検討を行うことを目的とする。
判定 承認
No.896 申請者:6北病棟看護師 横山翼
課題名 末期心不全患者の意思決定支援に対する認識についての実態調査
研究
概要
現在、日本は超高齢化社会を迎え、慢性疾患を有する患者は増加傾向にある。循環器疾患診療実態調査によると心不全入院中の死亡患者数は2013年度15512人、2014年度17337人、2015年度17290人と増加傾向にあり、心不全入院患者数は2013年183271人、2014年200042人、2015年21078人と増加している。今後、慢性心不全による死亡患者はさらに増加することが予測される。しかし、循環器疾患における末期医療に関する提言においても「循環器病は多彩な病態を包含しており、各臓器、各専門領域における末期状態の定義は医学的にも、社会的にも必ずしも明確な段階ではないことから、標準化のための指針を提示することは現段階では困難である」と述べられている。心不全自体の予後予測が困難なことからもがん患者の終末期と比べると死期を受容のプロセスが短くなる傾向がある。私は、持続する呼吸困難感、倦怠感や体動困難により不安の訴えが強く、苦痛軽減のために緩和ケアチームへの介入を依頼した症例を経験した。しかし、軽快の可能性のある心不全患者においてオピオイド等の薬剤使用をすることは呼吸抑制や循環動態の悪化の可能性を考慮すると積極的に導入することは難しく、導入したとしても薬剤の増量には抵抗を感じるという結論に至った。軽減の見通しがつかない苦痛が長期に持続する患者はせん妄発症のリスクも高まり、不穏状態から安静が保てず、心負荷からさらなる悪化を招く悪循環に陥ってしまうこともある。終末期であっても疾患や治療が優先され、QOLが尊重されにくい現状があると感じた。大石らは、心不全患者は末期となっても高度専門医療による救命の可能性が残されるという疾患特性から、急変時は、可能な医療をすべて行う=「doeverything」となってしまうことが多く、患者・家族が望む終末期医療が出来ていない現状があると述べ、終末期に至る前段階からあらかじめエンド・オブ・ライフプラングが考えられるように話し合いの機会を持つことが出来るように支援することが重要であると述べている。3)当病棟においても末期心不全患者の看護において意思決定支援を積極的に行うことで患者のQOLの向上や緩和ケア導入時期の見極めが容易になるのではないかと考えた。そこで今回、病棟スタッフの意思決定支援対する認識についての実態を調査したい。
判定 承認
No.895 申請者:血液内科医師 平野太一
課題名 ドナー非特異的抗HLA抗体の生着に与える影響
研究
概要
HLA不一致移植ではドナー特異的抗HLA抗体(DSA)により生着が不良であることが示されている。HLA-DP、DQなどのHLAタイピング時に通常測定しない抗原などに対する抗体が生着に負に作用する可能性が考えられるが、意義は不明である。
当院ではDSAを避けた幹細胞を選択しているが、抗HLA抗体の有無による生着への影響を検討する。
判定 承認
第34回迅速審査(2018年12月4日)
No.894 申請者:血液内科医長 河北敏郎
課題名 HLA1座不一致移植に対するATG投与の影響
研究
概要
同種移植ではHLA完全一致のドナーが理想的とされるが、実際に完全一致ドナーが得られない症例も多い。HLA不一致移植では移植片対宿主病(GVHD)のリスクが上昇することにより生存率が低下することが知られている。当院では現在、HLA不一致ドナーからの移植に際してATGを用いてGVHDを予防しており、その移植予後への影響を検討する。
判定 承認
No.893 申請者:臨床研究部長 日髙道弘
課題名 多発性骨髄腫を中心とした造血器腫瘍における免疫能および腫瘍抗原の評価(多施設共同研究)
研究
概要
多発性骨髄腫は、白血病、リンパ腫と並ぶ3大造血器腫瘍の一つである。治療法としては、従来の化学療法に加えて、自家末梢血幹細胞移植(65歳以下)、近年導入されたレナリドミドなどの新規薬剤などが挙げられる。現状の治療法で治癒は困難であり、多くの場合に再発するため新たな治療法が望まれている。
多発性骨髄腫が比較的緩やかに進行することから、体の中の免疫が病気の発症や進行に関わっている可能性が考えられる。そこで、本研究では
①がん細胞に対する免疫(腫蕩免疫)に関与するとされている細胞傷害性T細胞やNKT細胞などの機能を、多発性骨髄腫とそれ以外の血液がん(急性白血病)で比較検討する。
②‘がん抗原‘という正常組織にみられない特有の抗原を発現しているか評価する。以上を目的とする。また、コントロールとして他の造血器悪性腫場(急性骨髄性白血病など)と年齢一致させ、同様に解析し、比較検討するため、他のコントロールとなる疾患に関しても継続して追加患者検体を依頼する予定である。
判定 承認
No.892 申請者:病理診断科部長 村山寿彦
課題名 病理診断支援のための人工知能(病理診断支援AI)開発と統合的「AI医療画像知」の創出
研究
概要
人工知能(ArtificialIntelligence:AI)の利活用の一環として、病理組織デジタル画像(Pathology-WholeSlidelmaging:P-WSI;バーチャルスキャナーという特殊装置で取り込んだ病理デジタル画像)のビッグデータを収集・集約し、これを活用して病理医人材育成のための病理診断精度管理ツール、病理診断支援ツールを開発する。同時に、アーカイブ化事業によりAI利活用のための「P-WSI正解ビッグデータJを作製し、深層学習を活用した病理診断支援ツールの開発を行う。将来的には、P-WSIを「新規に」自動収集し、必要機器の維持管理、更新が可能となるような(診療報酬面からも)自律性・持続性を備えたシステムを構築・開発する必要がある。このための「地域基盤・循環型病理診断相互支援型モデルの実証研究」を、すでに相互支援システムが運用されている2拠点で実施し、今後継続的に運用可能な「自立型モデル」を確立する。
判定 承認
第33回迅速審査(2018年11月27日)
No.891 申請者:救命救急センター看護師 永野花奈
課題名 PNSの導入後のパートナーシップマインドの現状
研究
概要
救命救急センターでPNS(パートナーシップナーシングシステム)を導入し3年が経過した。現在までさまざまなアンケート調査や監査を行い、PNSの定着に努めてきた。しかしアンケート結果からPNSの行いにくさやPNSの効果が発揮されていない現状にあると考えた。そこで今回PNSマインドに対するスタッフの思いを明らかにし、本来のマインドと照らし合わせ、検討することを目的とした研究を実践したいと考えた。
※PNSの言葉の定義:2人の看護師で複数の患者を受け持つ。情報交換を行いながら二人三脚で看護を進める看護提供方式のこと。
判定 承認
第32回迅速審査(2018年11月15日)
No.890 申請者:5階南病棟看護師 松嵜弘毅
課題名 人工膝関節全置換術後の患者の転倒に関する因子について
研究
概要
5南病棟は整形外科であり、術前術後ともにADL低下がみられる患者が多く、転倒転落のインシデントが多く発生している。転倒転落のインシデントの中でも人工膝関節置換術(以下TKA、また人工膝単顆置換術を含む)術後の患者の転倒が多い傾向にある。平成28年度の転倒は25件中7件(28%)、平成29年度は17件中4件(23%)であった。術式別ではTKA数57件中7件(12%)人工股関節置換術は98件中0件(0%)、大腿骨骨接合、人工骨頭置換術は299件中8件(2%)であった。認知症を呈する大腿骨骨接合術、人工骨頭置換術後の患者より、TKA術後患者の転倒件数が多い傾向にあり、TKA後、患者が転倒する影響因子はなにかという疑問を持った。TKA術後の患者を対象に、アンケートを用いて転倒転落につながるリスク因子を明確にし、看護介入へつなげたいと思い、この研究へ取り組むこととした。
判定 承認
No.889 申請者:7階北病棟看護師 白石万琳
課題名 7階北病棟での転倒転落の実態と病棟看護師の転倒転落に対する認識
研究
概要
過去3年間(平成27年4月1日~平成30年3月31日)の転倒転落インシデントレポートの分析、病棟看護師へ転倒転落に対する認識に関するアンケートを行い、転倒転落の実態と病棟看護師の認識の違いを明らかにする。
判定 承認
第31回迅速審査(2018年11月13日)
No.888 申請者:救命救急センター長 原田正公
課題名 平成28年(2016年)熊本地震における被災地内災害拠点病院の患者状況に関する研究
研究
概要
災害医療は災害の規模や種類に応じて様々な対応が求められるが、災害医療体制の多くは病院管理者や災害経験者の意見に基づくものであり、実際、災害ごとに提供された災害医療の質を客観的に解析した研究はほとんどない。そこで、平成28年(2016年)熊本地震において国立病院機構熊本医療センター(以下、当院)が災害時に提供した災害医療体制を客観的に評価し、その効果を検討することで、日本の災害医療の進歩に貢献することを目的とする。
判定 承認
No.887 申請者:循環器内科医師 山田敏寛
課題名 野生型トランスサイレチンアミロイドーシスの臨床学的特徴に関する研究
研究
概要
野生型トランスサイレチン心アミロイドーシス(ATTRwt)は遺伝子変異のないトランスサイレチンが心筋細胞間質に沈着し、形態的および機能的異常をきたす疾患である。近年では高齢者の左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)に多く存在することが報告されており、これから超高齢化社会を迎える日本ではますます増加することが見込まれる。本研究の目的は本邦におけるATTRwtの臨床的特徴および転帰を明らかにすることである。
判定 承認
No.886 申請者:小児科部長 水上智之
課題名 小児期発症疾患の遺伝的素因解明に関する研究
研究
概要
小児期発症疾患の多くは遺伝的背景、遺伝的素因を元に、時に環境要因が加わって発症したものと考えられている。特に遺伝的影響の大きい小児領域疾患では遺伝子解析により原因が明らかになる可能性が高い。この研究では小児期発症疾患の遺伝的背景・素因を解明し、疾患の成り立ち・合併症をよりよく理解することを目的とする。最終的には原因不明の小児難治疾患における病態解明と適切な治療法ならびに早期診断・適切な診断法の開発を目指す。
具体的には、患者由来核酸および血縁者の核酸の検討から系統的遺伝子解析で有意な遺伝子変異を明らかにすること、変異遺伝子の機能解析を行い疾患の成り立ちを理解すること、将来的な解析および機能検討実験などのために細胞を保存することである。
判定 承認
No.885 申請者:薬剤部調剤主任 横田千明
課題名 C型肝炎治療における医薬連携モニタリングシートの活用とその効果
研究
概要
現在、C型肝炎の治療はdirectanti-viralagents(DAAs)治療が主流である。当院では原則9日間の入院でDAAs治療を開始し、外来へ移行している。DAAs治療は服薬遵守が鍵となる。治療を安全に完遂するには、副作用の把握、併用禁忌・注意薬の確認、服薬管理が必要であり、全治療期間における薬剤師の積極的な関与が求められる。そこで医療機関および調剤薬局でのシームレスな医療を提供することを目的として、2017年5月より近隣2調剤薬局とモニタリングシートの運用を開始した。モニタリングシートの運用開始後の副作用の発現状況、併用薬の情報について調査を行い、モニタリングシートの改訂を行っていくことで、患者ケアの質の向上、医療安全への貢献が期待できる。
判定 承認
No.884 申請者:6東病棟 池田真弥
課題名 胃癌術後患者に対する食事指導への取り組み
研究
概要
胃癌術後患者に対し、パンフレットを用いて食事開始前に介入を行い、患者が入院期間中に起こり得る症状に対処できる知識を身につけることができたか、また、介入した内容と時期が適切であったのか効果を明らかにしたいと考えた。
判定 承認A156:BA149:B169
第30回迅速審査(2019年11月1日)
No.882 申請者:神経内科医長 幸崎弥之助
課題名 急性期脳梗塞における緊急血行再建術の成績及び予後に関する研究
研究
概要
脳主幹動脈閉鎖によって脳梗塞を発症した患者の予後は悪く、後遺症により日常生活動作(ADL)が大きく低下し、寝たきり生活を余儀なくされる者も多い。わが国では2005年から超急性期脳梗塞患者におけるアルテプラーゼ静注療法が認可されたが、この治療のみでは完全再開通が得られる患者は限られており、その効果は充分とは言えない。
その後緊急血行再建術としての脳血管内治療のデバイスが大きく進歩し、2015年以降複数のランダム化比較試験でその有効性が確立され、様々なエビデンスが発表されている。
熊本県内では緊急血行再建術の施行が可能な施設が増加しつつあるが、搬送システムや地理的要因も大きく、緊急血行再建術を受けている患者数や治療成績、施設間における差違は明らかになっていない。
本研究における目的は、熊本県内の緊急血行再建術における患者数、治療成績および予後を明らかにすることである。
判定 承認
No.881 申請者:脳神経外科医師 松浦任
課題名 PMMAを用いた前頭洞閉鎖に関するテクニカルノート
研究
概要
頭蓋骨形成用のアクリル樹脂であるPMMAを用いて前頭洞閉鎖法を当院では10年まえから施行している。実施症例で過去1例も合併症なく経過しており、手術手技と経験を報告する。
判定 承認
No.880 申請者:薬剤部 大橋邦央
課題名 CHASER療法におけるアプレピタント使用状況調査
研究
概要
CHASER療法は再発・難治性B細胞リンパ腫に対する抹消血への幹細胞動員を兼ねたサルベージ療法であり、国内第2相試験において、高度催吐性リスクの注射抗がん薬に対してはアプレピタントを含む催吐リスクの記載はない。
判定 承認
第29回迅速審査(2018年10月30日)
No.879 申請者:泌尿器科部長 菊川浩明
課題名 光力学診断(PDD)併用経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
研究
概要
筋層非浸潤膀胱癌は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)で治療可能な場合が多いが、再発率が高く、半数近くが2年以内に再発する。その一因として最初のTUR-BT時に小さな腫瘍や粘膜病変が見逃されている可能性も指摘されている。
5-ALA(5-アミノレブリン酸)を用いた光力学診断(PDD:photodynamicDiagnosis)を行うことにより、可視困難な膀胱癌を検出することが可能になり、正確な病変範囲を把握し確実性の高いTURBTが期待でき、膀胱癌再発率の軽減につながる可能性がある。
判定 承認
No.878 申請者:5西病棟看護師 城川莉奈
課題名 膀胱全摘により尿路変更術を受けた患者の退院後のQOL実態調査
研究
概要
当院泌尿器科では回腸導管・尿管皮膚ろう術は年間約15~20件実施されている。前年度の研究では尿路変更術患者の退院後のストーマ管理の現状と問題と題し、その結果①「尿漏れ」に対する不安が大きい②入院中に入浴体験が少ないことで入浴時の装具漏れに不安を抱いている③ウロバッグカテーテルによる体動制限が睡眠の質の低下をきたしている④趣味・運動では、失敗を恐れて従来の行動に移せないことがある、と4つの問題点が明らかになった。退院後も尿路変更術後の患者の問題や不安は残っており、QOLの低下を招いているのではないかと考えたが、実際に患者のQOLについては調査できていないため影響は不明である。当院では皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍し、入院中の専門的な指導やストーマ外来でのフォローを行っている。病棟看護師も退院後の生活をふまえた指導を行っているが、退院後の状況を適切に把握することは困難である。また全国での調査や先行文献では、ストーマを保有することでの問題点やQOLについて研究されているが、尿路ストーマに特化した研究はなされていない。そこで、当院で尿路変更術を行った患者を対象に、退院後のQOLの実態を明らかにし、今後入院中に看護師が実施できる生活支援へ繋げる。
判定 承認
No.877 申請者:7南病棟看護師 御家茄奈美
課題名 精神看護学実習における学生-患者間での距離について
研究
概要
先行研究にてロールプレイを行った結果、学生は、患者の思いに寄り添いたいとの気持ちから患者との距離が近すぎる傾向にあることが分かった。精神疾患を有する患者との距離の取り方は難しく、適度な距離を保つことで良好な関係性を築くことができたり、突発的な行動への危険回避となる。患者との関係構築と安全に実習を行うために学生には距離の保ち方を理解してもらう必要があると考えるため。
判定 承認
第28回迅速審査(2018年10月23日)
No.876 申請者:6西病棟看護師 田上菜摘
課題名 熊本医療センターにおける糖尿病教育入院患者の負担感情の傾向
研究
概要
熊本医療センター6西病棟では、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病の教育入院を行っている。その中でも、A病院は他院で妊娠糖尿病と診断された妊婦(週数は初期~後期とさまざま)が月10人前後入院し、血糖コントロールを行っている。1型・2型糖尿病患者は治療を一生かけて行うのと比べ、妊娠糖尿病患者は出産を終えると治療は終了する。しかし、1型・2型糖尿病患者と同様、食事療法や運動療法、薬物療法による心理的負担は大きいと考える。また、出産や胎児への影響などの不安もあり、心理面の支援が必要と感じた。ProblemAreasInDiabetesSurvey(以下PAID)はPolanskiらによって、糖尿病に関する心理的負担に着目し開発された質問表であり、臨床的観察に基づいて作成されている。
そこで、妊娠糖尿病患者へ効果的な心理面の介入を行うために、PAIDを用いた心理的負担の把握と分析を行い、B病棟に入院する妊娠糖尿病患者の心理的負担の傾向を明らかにするために本研究に取り組みたい。
判定 承認
No.875 申請者:歯科口腔外科研修医 宮本悠基
課題名 当院におけるARONJの現状
研究
概要
近年、悪性腫瘍由来の骨転移のある患者や骨粗鬆症の患者が、BP製剤やデノスマブを服用することで起こる副作用の顎骨壊死が問題となっている。いわゆる薬剤関連性顎骨壊死(ARONJ)のことである。2010年に初めてARONJに対するポジションペーパーを発表し、現在2016年に発表されたポジションペーパーが最新のものであるがARONJ患者は減るどころか増える一方である。原因としては根本的なARONJに対する治療が確立されていないことが一番の問題である。ARONJは現在多くの病院・施設・大学で研究されている非常に注目されている分野である。当院においてもARONJの患者は年々増えているように感じる。そこで今回当院における過去通院していたARONJ患者についてカルテ参照し、現在通院されている患者に対しては当科で作成した調査票に診察の際に回答してもらう形で、統計の取得を検討している。調べる点としては①由来疾患②医科歯科連携③初診時の患者の口腔状況④原因薬剤⑤初診時のARONJステージ⑥経過状況である。当院でのARONJ患者の現状をより具体的に調べ今後の当院における対策についての検討材料を得る事が目的である。
判定 承認
No.874 申請者:歯科口腔外科医師 中尾美文
課題名 当院の緩和ケアチームにおける歯科介入
研究
概要
WHOによる緩和ケアの定義(2002年)では、「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって苦しみを予防し、和らげることでクオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである。」としている。最後まで口から食べられるということは、患者のQOLを支え、また家族の安心感、満足感にも繋がる。しかし、緩和ケア患者は、全身状態への対応が優先されるため、口腔内に目を向けられる機会は十分とはいえない。こうした状況下において、患者の口腔内環境は劣悪化し、口内炎による疼痛、真菌やウイルスによる感染症、口腔乾燥症などの影響により、義歯の使用が困難になり、摂食不良による低栄養状態、味覚障害、構音障害、審美霜害などを引き起こし、患者のQOLを大きく損ねる。
今回われわれは、当院における緩和ケア介入患者の口腔内の実態を把握し、「食べる」「話す」等、口腔機能を最後まで維持するためには何をすべきかを検討するため、臨床的観察並びに歯科介入を行う。
判定 承認
第27回迅速審査(2018年10月11日)
No.872 申請者:総合診療科医長 辻隆宏
課題名 リウマチ性多発筋痛症におけるマトリックスメタロプロテアーゼ3の臨床意義についての検討
研究
概要
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgiarheumatica:PMR)は、高齢者に急性発症するリウマチ性疾患で、体幹、四肢近位部のこわばりと自発痛を特徴とする原因不明の炎症性疾患である。一方、マトリックスメタロプロテアーゼ3(matrixmetalloproteinase-3;MMP-3)は、様々な細胞外マトリックスの構成成分を破壊することで、軟骨および骨の破壊に関与する酵素である。MMP-3は、関節リウマチ(rheumatoidarthritis;RA)患者において骨破壊、身体障害の予測因子であることが証明されている。PMRにおいてもRAと同じくMMP-3が上昇することが知られているが、臨床的意義は明確ではない。今回の研究は、PMRにおけるMMP-3の臨床的意義を明らかにすることを目的とする。
判定 承認
No.871 申請者:総合診療科医長 辻隆宏
課題名 健常成人におけるサイトメガロウイルス感染症についての検討
研究
概要
サイトメガロウイルス(CMV)感染症は、CMVの初感染、再感染あるいは再活性化によって起こる。健常成人におけるCMV感染症は、伝染性単核症様の症状を呈し、大半は対症療法で軽快するが、稀に腸炎、溶血性貧血、血小板減少、脳炎といった重篤な病態を呈することがある。また、我が国の成人におけるCMV抗体保有率が低下しており、健常成人におけるCMV感染症の増加が予想される。易感染宿主におけるCMV感染症に関しては、多数の報告があるが、健常成人においては、まとまった報告が少ない。今回の研究は、健常成人におけるCMV感染症の臨床像を明らかにすることを目的とする。
判定 承認
No.870 申請者:総合診療科医長 辻隆宏
課題名 家族性地中海熱インフラマソーム伝達異常をゲノム創薬で解決する開発研究
研究
概要
家族性地中海熱(FamilialMediterraneanFever;FMF)は、周期性発熱、漿膜炎を主徴とする遺伝性自己炎症性疾患であり、MEFV遺伝変異が関与するとされている。これまでの全国調査により、日本にも多数のFMF患者が存在することが明らかとなったが、MEFV遺伝子変異が検出されない症例が一定数存在することよりMEFV遺伝子以外の遺伝的要因が考えられている。本研究では、FMFの遺伝子診断を受け、臨床症状と合わせFMFの確定診断がなされた症例を対象に、FMFの責任遺伝子であるMEFV遺伝子に加えFMFの発症に関わる遺伝子を網羅的に解析し、FMFの発症に関わる新たなバイオマーカーと遺伝子を同定し、より正確なFMFの遺伝子診断法を確立させることを目的とする。また、ゲノム創薬開発の基盤となる情報として遺伝子変異の部位による既存の薬物治療に対する反応性の相違を検討する。
判定 承認
No.869 申請者:循環器内科医長 宮尾雄治
課題名 頻脈性心房細動へのランジオロール投与に対してのクリティカルパス作成の意義と有用性の検討
研究
概要
術後患者の頻脈性不整脈時のみならず、多くの診療科の一般病床でも頻脈性心房粗細動合併時にランジオロールを使用する機会が増えてきたが、本来の適応から外れた使用や心拍数安定後も長時間に渡り継続使用するなどの問題点も出ていている。ランジオロールの長期間の使用のため、診断群分類による包括支払い制度上も出来高算定よりかなりマイナスとなる例が散見された。そのためランジオロールの投与方法と観察項目、内服への適切なタイミングでの切り替えを示すパスを作成し、院内で投与方法の標準化をはかることは意義のあることと考える。
判定 承認
No.868 申請者:薬剤部医薬品情報管理主任 藤田強記
課題名 急性薬物中毒にて救急搬送された患者の背景に関する調査
研究
概要
平成29年の自殺者数は21,321人で平成22年より8年連続で減少しているものの、未だその数は多い。熊本医療センターは救命救急センターを有しており、年間約2万人の救急患者が受診している。その中で、急性薬物中毒で搬送される患者も少なくない。そこで、当院における急性薬物中毒患者の使用薬剤などの背景を把握することを目的とする。
判定 承認
No.867 申請者:救命救急科医長 山田成美
課題名 当院におけるカテーテル関連血流感染症(CRBSI)-現状と意識付け-
研究
概要
当院では、感染症対策チーム(ICT;Infectioncontrolteam)が厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)の判定基準に基づき、中心静脈カテーテル留置症例において血液培養陽性であった場合に各症例に対してフィードバックを行っているが、臨床的敗血症(CSEP;Clinicalsepsis)の発生状況や治療については不明である。そこで当院における中心静脈カテーテル留置症例の現状を調査し、適切な管理について考察した。
判定 承認
第26回迅速審査(2018年10月4日)
No.866 申請者:薬剤部副薬剤部長 花田聖典
課題名 CHDF療法中のDIC患者に対するリコンビナントトロンボモジュリン投与時の出血関連の有害事象発現状況調査
研究
概要
DIC治療薬であるリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)は腎排泄型の薬剤であるため、以前まで透析患者に対しては減量投与が推奨されていた。しかし通常量投与と比べ減量投与の場合は、有効とされる最高血中濃度に達するまでに時間を要するとの報告がなされたり、製造販売後臨床試験の結果から腎機能の程度の違いにより薬物動態学的パラメータに大きな差がないことが報告された。その結果、2018年2月の添付文書改訂により「慎重投与」の項における「血液透析療法中の患者への減量投与」の部分が削除された。一方、rTM投与時に注意が必要な有害事象の一つに出血関連疾患が報告されており、発現した際には中止検討が必要である。添付文書には「患者の状態に応じて適宜減量して投与する」旨の記載があるが、持続的血液濾過透析(CHDF)導入時の出血リスクを考慮した明確な減量基準の記載はない。そこで、rTMの適正使用の推進に向けCHDF療法中の敗血症性DIC患者に対するrTM投与時の出血関連有害事象の発現状況とその背景因子を調査する。
判定 承認
第25階迅速審査(2018年10月2日)
No.865 申請者:救命救急科医長 櫻井聖大
課題名 精神科に入院となった急性薬物中毒における入院後身体合併症の頻度の検討
研究
概要
当院では急性薬物中毒患者が入院する際には、精神科か救命救急・集中治療部が主治科になる。明らかに身体管理を要する様な重症例以外では、意識レベルや摂取した薬剤の種類、血中濃度などを基にした院内ルールに則って、主治科を決定している。精神科で入院となった急性薬物中毒患者において、入院後の身体合併症の有無を調べることで、主治科を決める院内ルールが妥当であるかどうかを調査することを目的とした。
判定 承認
No.864 申請者:循環器内科部長 藤本和輝
課題名 非弁膜症性心房細動を有する後期高齢患者を対象とした前向き観察研究
研究
概要
本研究は、非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する後期高齢患者(75歳以上)における抗凝固療法の実態及びその予後を明らかにするとともに、脳卒中/全身性塞栓症及び頭蓋内出血のリスク因子を特定し、直接経口抗凝固薬(DOAC)に最適な治療対象集団及びその使用法を明確にすることを主目的とする。また、副次的にNVAFに関連する種々のクリニカルクエスチョンについて検討する。
判定 承認
No.863 申請者:循環器内科部長 藤本和輝
課題名 末梢動脈疾患における血管内治療(EVT)の多施設前向きレジストリー研究
研究
概要
本邦における、末梢動脈疾患に対する血管内治療の現状のデータを構築し、今後新しく導入されるデバイスとの治療成績の比較を可能にする。同時に病変性状による治療の難易度そして治療後の再狭窄イベントのリスクなどを検討する。また現状の末梢動脈疾患に対する血管内治療成績を前向き多施設で評価したうえでその問題点を抽出し、今後の課題を明確にする。
判定 承認
No.862 申請者:血液内科医長 河北敏郎
課題名 高齢者に対するFlu/BU4/CA/TBI4による骨髄破壊的前処理を用いた臍帯血移植
研究
概要
高齢者に対する同種移植は増加しているが、適切なドナーと前処置は確立していない。当院におけるフルダラビン、ブスルファン、シタラビン、全身放射線照射(Flu/BU4/CA/TBI4)を併用し前処置後の臍帯血移植の成績を明らかにすることでその有用性を検証する。
判定 承認
No.861 申請者:血液内科医長 河北敏郎
課題名 同種移植後サイトメガロウイルス感染のリスク因子
研究
概要
同種移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染に対して定期モニタリングによる先制治療が標準的に用いられてきたが、長期の抗CMV薬投与による副作用やbreakthrough感染症が問題となってきた。これまでにもCMV感染に関与するリスク因子の解析は行われてきたが、本邦で多い臍帯血移植やATLに対する移植で十分な評価が行われているとは言えない。本研究の目的は当院における移植後のCMVのリスク因子を明らかにすることである。
判定 承認
No.860 申請者:循環器内科医長 宮尾雄治
課題名 当院心不全入院患者でのレジストリー研究
研究
概要
我が国では超高齢社会の到来により、心不全パンデミックとも称されるように心不全患者は増加傾向にある。高齢者心不全患者は多くの合併症を有し、再入院を繰り返しながら心機能も悪化していく。また入院が長期化すれば筋肉低下や嚥下機能も低下し、栄養障害、サルコペニア、フレイルの状態にもなり、患者のQOLや予後も悪化する。当院においても年間約200例の心不全入院例を認めるが、患者臨床背景因子の特徴や増悪因子の把握、予後に関連する因子を詳細に検討し、予後の心不全再入院の防止や予後改善への取り組みを行っていくことは重要である。
判定 承認
第24回迅速審査(2018年9月20日)
No.859 申請者:病理診断科医師 武藤礼治
課題名 唾液腺原発濾胞性T細胞リンパ腫の一例報告
研究
概要
濾胞性T細胞リンパ腫はきわめて稀な悪性リンパ腫の亜型である。主にリンパ節に発生し、進行すると皮膚・骨髄にも浸潤をきたしうることが知られている。しかしながらリンパ節外原発の症例は知られていない。今回、唾液腺原発と思われる濾胞性T細胞リンパ腫の症例を経験した。本症例は、濾胞性T細胞リンパ腫の疾患概念を広げる可能性があり、症例の蓄積を目的に報告したい。
判定 承認
No.858 申請者:看護学校教員 石井美香子
課題名 救急外来における看護学実習の学びの特徴と考察
研究
概要
看護学生が看護学実習(急性期)で学ぶ内容として、予定された急性期の回復過程を支える看護と、予期しない危機的状況にある人の看護がある。同じ急性期であっても、特に後者の予測できない危機的状況に対応した看護では、限られた情報をもとに短時間での状況判断、変化を捉える観察力、患者の病態を予測するアセスメント能力、チームでの連携をはかる調整力、家族ケアが臨地実習で学ぶ重要な教育内容である。
急性期看護を提供するひとつとして救急外来がある。
本研究の取り組みにより、成人看護学実習(急性期)における救急外来の実習に臨む学生にとって実習の準備状態を整えること、また、実習指導者がこの実習での教育内容と方法をさらに明確化・具体化できることを助けることができる。
よって、本研究では成人看護学実習(急性期)における看護学生の学びを明らかにし、学びの特徴を考察することを目的とする。
判定 承認
第6回倫理審査委員会(2018年9月18日)
No.856 申請者:手術室看護師 太郎良綾
課題名 肝部分切除手術における術後右肩関節痛の緩和を目的とした手術介入方法への取り組み~術中の開創器の使用方法に着目して~
研究
概要
現在、外科手術を行う中で肝臓手術や胃・大腸手術において、術野の視野確保のためケント鈎を開創器として使用している。ケント鈎とは消化器外科で上腹部の開腹手術で術野の視野確保をするために必要な鈎である。ケント鈎を様々な症例で用いているが、他の症例では術後創部位以外での疼痛訴えはないものの、肝臓手術においては術後創部位以外にも右肩関節痛を訴える患者が増加している。
当院では、昨年より術中右肩にホットパットを当てる、マッサージを行うなど看護を行ってきたが、術後右肩関節痛に対する効果があまり得られなかった。そこで、今回はケント鈎に要因があるのではないかと考え、術中のケント鈎牽引を定期的に解除することで筋肉の緊張を緩め、血流改善を促す事に着目した。また、手術室方法の統一化を図り協力を得て研究を進めていくが、肝臓手術で使用するケント鈎による右肩関節痛等に着目した先行研究が行われておらず、適切な手術介入方法が明らかになっていない。そのため、患者の皮膚状態や既往等場合によっては右肩関節が軽減できない場合もある。万が一、研究の介入方法を用いることによって手術時間が延長もしくは手術中に予期せぬ問題が起こった場合は、速やかに研究を中断し、患者の生命に影響を及ぼさないよう最善の医療行為の提供に努めていく。
今回肝臓手術に焦点を当て術後右肩関節痛における緩和、対処方法について妥当であるか倫理審査を希望する。
判定 承認
No.845 申請者:糖尿病・内分泌内科部長 西川武志
課題名 電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究(J-DREAMS)
研究
概要
本邦の糖尿病実態調査であるJDCPstudyやJDCSは、デンマークやスウェーデンのNationalDiabetesRegistryと異なり、糖尿病専門施設での一部の患者カルテデータの手作業収集に基づき、日本全体での実態を必ずしも反映しない。また、本邦では電子カルテの普及が進み、医療・介護情報の電子化、標準化が進行中である。しかし、現行の段階では、血圧や体重を含めた記事情報を抽出するためには手作業の再入力が依然必要である。以上の問題点を克服して、多数症例の情報を効率的効果的に集約するシステムを構築し、これを多施設に広げ、日本人を代表するデータベースを効率的に構築することは喫緊の課題である。
判定 承認
第23回迅速審査(2018年9月13日)
No.855 申請者:救命救急科医長 原田正公
課題名 横紋筋融解症による急性腎障害の発症の危険因子に関する検討
研究
概要
横紋筋融解症は薬剤や筋挫滅などで起こり、急性腎障害(AKI)を引き起こす疾患である。AKIの危険因子は、脱水、敗血症、アシドーシスと言われ、また血清クレアチンキナーゼ(CK)20000IU/L以下ではAKIのリスクは低いといわれている。当院の横紋筋融解とAKI発症との関係を調査することを目的とする。
判定 承認
No.854 申請者:糖尿病・内分泌内科部長 西川武志
課題名 糖尿病血管合併症と耳朶皺襞の関連に関する後向き解析
研究
概要
糖尿病合併症の予防は糖尿病治療の目的と言っても過言ではない。糖尿病合併症の予防のためには、適切な血糖管理や脂質異常症をはじめとした他の危険因子の管理とともに、糖尿病合併症の発症の有無や進行度を正確に評価する必要がある。
ところで、身体所見の耳朶皺襞(耳朶を後下方に走る深い皺)が冠動脈疾患と関連するとの報告が以前よりある。しかし、糖尿病患者でも同所見が冠動脈疾患と関連するのか、冠動脈疾患以外の動脈硬化性疾患(脳血管障害や下肢動脈疾患)と関連するのかについてはあまり知られていない。また細小血管合併症については耳朶皺襞と網膜症の関連は認められなかったとの海外の報告が数編存在するが、網膜症以外の細小血管合併症との関連については検索の範囲では報告がない。
そこで、本研究では当科入院歴のある2型糖尿病患者を対象に、耳朶皺襞の有無と動脈硬化症および細小血管合併症の関連を後ろ向きに調査する。
判定 承認
第22回迅速審査(2018年9月6日)
No.853 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 「InterimPETに基づく初発進行期ホジキンリンパ腫に対するABVD療法およびABVD/増量BEACOPP療法の非ランダム化検証的試験.JCOG1305」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.1
研究
概要
事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG1305)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.852 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 「高リスクDLBCLに対する導入化学療法(bi-R-CHOP療法またはbi-R-CHOP/CHASER療法)と大量化学療法(LEED)の有用性に関するランダム化第Ⅱ相試験JCOG0908」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.1
研究
概要
事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0908)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.851 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 「成人T細胞白血病・リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植法を組み込んだ治療法に関する非ランダム化検証的試験.JCOG0907」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.1
研究
概要
事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0907)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.850 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 「再発・再熱・治療抵抗性の多発性骨髄腫に対するbortezomib+dexamethasone併用(BD)療法とthalidomide+dexamethasone併用(TD)療法のランダム化第Ⅱ相試験.JCOG0904」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.1
研究
概要
事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0904)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.849 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 「未治療のCD20陽性びまん性大細胞型Bリンパ腫に対するR-CHOP療法におけるRituximabの投与スケジュールの検討を目的としたランダム化第Ⅱ/Ⅲ相試験.JCOG0601」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.1
研究
概要
事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0601)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
第21回迅速審査(2018年8月30日)
No.848 申請者:糖尿病・内分泌内科医長 小野恵子
課題名 overdiabetesinpregnancy(妊娠中の明らかな糖尿病)の臨床像に関する後ろ向き解析
研究
概要
糖尿病人工の増加、晩婚化とともに、妊娠中に初めて耐糖能低下を指摘される頻度は増加しています。2008年に発表された妊娠中の耐糖能検査と母児予後に関する大規模観察研究結果(HAPOstudy)に基づき、2010年に妊娠中の糖代謝に関する診断基準が変更となり、妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下は妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常である妊娠糖尿病(GDM)と妊娠中の明らかな糖尿病(overtdiabetesinpregnancy)に分けて定義されました。
今回当院、糖尿病・内分泌内科では、当院に受診歴のある妊娠糖尿病の患者さんのカルテのデータを解析し、後ろ向き解析を行います。なお、研究に関係する全ての医師は、厚生労働省の示している「臨床研究に関する倫理指針」に従って本研究を実施します。
判定 承認
No.847 申請者:小児科医長 緒方美佳
課題名 鶏卵の導入時期と摂取忌避の関係に関する多施設研究
研究
概要
摂取忌避の原因を明らかにする
本研究では、食物アレルギーの診断で鶏卵を除去していた児を対象に、除去の期間と摂取忌避の関係を明らかにし、患者の生活の質を改善するための一助とする。
判定 承認
第20回迅速審査(2018年8月21日)
No.846 申請者:脳神経外科医長 中川隆志
課題名 厚労科研「急性期虚血性脳卒中の再開通療法における施設間医療連携に関する調査研究(坂井班)」
研究
概要
1)Drip&Ship法を活用した急性虚血性脳卒中に対する再開通療法(t-PA静注療法、血栓回収療法)の施設間連携医療の実態を明らかにする。
2)急性虚血性脳卒中に対する再開通療法(t-PA静注療法、血栓回収療法)の実態を明らかにする。
判定 承認
第18回迅速審査(2018年8月2日)
No.844 申請者:脳神経外科医師 松浦任
課題名 急性硬膜下血腫に対する穿頭血腫除去術の有用性について
研究
概要
2009年1月以降に当院にて急性硬膜下血腫に対して穿頭血腫除去術を行った患者様と開頭血腫除去術を行った患者様の経過を比較する研究です。
判定 承認
No.843 申請者:6南病棟看護師 益永千穂
課題名 移植エリア内から移植エリア外へ移動する患者への継続看護を通しての関わり~チェックリストの作成と移動前の関わりを見直して~
研究
概要
6南病棟では年間約50例の移植を行っている。50床の病室のうち個室15床は二重扉でしきられた無菌区域内にある。廊下も含め無菌室レベルを満たしており、移植エリアと呼んでいる。移植を受ける患者は移植前処置から生着後GVHD等の症状が落ち着くまでの間、移植エリア内で最短で1ヶ月程度治療を行い、移植エリア外へ異動となる。
移植エリア内から移植エリア外へ移動する際の受け持ち看護師の関わり方の見直しを行うことにより患者の精神的苦痛の軽減ができ、患者とのコミュニケーションをスムーズに図れるのではないかと考えた。さらに、受け持ち看護師を中心としてチームで情報を共有することで、身体面・精神面の看護ケアも含めた継続的な看護実践を行うことが看護の室の向上につながると考えた。
判定 承認
No.842 申請者:循環器内科医長 松川将三
課題名 心アミロイドーシス患者を対象とした前向き登録調査研究
研究
概要
アミロイドーシスは変異したアミロイド蛋白が諸臓器の細胞外へ沈着し臓器障害を生じる難治性疾患である。心アミロイドーシスは心筋にアミロイド蛋白が沈着することで拡張不全、心肥大、伝導障害を来す二次性心筋症であり、主にALアミロイドーシス、野生型トランスサイレチンアミロイドーシス(wildtypeATTRamyloidosis:ATTRm)および遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシス(mutantATTRamyloidosis:ATTRm)の3つの病態に分類される。
高齢社会が急速に進む本邦においてATTR心アミロイドーシスの有病率や治療内容、予後を評価することは重要なことであるが、現状本邦において大規模な前向きレジストリー研究は存在しない。
以上のような臨床的背景から我々は心アミロイドーシス患者を対象に、臨床的特徴や治療内容、予後を評価する前向きレジストリー研究が必要であると考えている。本研究から本邦における心アミロイドーシスの診断に至るまでの過程を含む臨床経過、治療内容、予後予測因子などを明らかにすることができると考えている。
判定 承認
第17回迅速審査(2018年7月26日)
No.841 申請者:臨床研究部長 日髙道弘
課題名 重症熱性血小板減少症候群(SFTSV感染症)患者を対象としたファビピラビルの臨床試験2017
研究
概要
重症熱性血小板減少症候群と確定診断された患者、又はSFTSV感染症が強く疑われる患者を対象に、ファビピラビルを10~14日間経口投与し、その有効性及び安全性を検討する。主要評価項目は投与開始後28日間の患者生存率とする。
判定 承認
No.840 申請者:診療放射線科主任診療放射線技師 深松昌博
課題名 診療放射線技師の読影補助能力向上を目的とした国立病院機構九州グループ内における臨床画像アーカイブの作成
研究
概要
厚生労働省の通知より「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」の中で診療放射線技師は画像検査等における読影の補助を行うようにとされています。この読影とは放射線診断医師がCT検査やMRI検査等の画像から得られた情報を詳細に検査を依頼した各診療科医師に伝えることで、何百枚にもなる画像を見ながらの作業となるため非常に時間と労力を要するものです。今回、この作業の補助を行うにあたってより分かりやすい画像の提供をすることが最善の策と考え、そのためには画像を撮影する診療放射線技師がより精度の高い検査を行う事や病気の特徴的な画像を把握することが必要不可欠です。
診療放射線技師が読影の補助を行うにあたり、必要な知識を集約した手引書を作成することを目的とします。
平成23年から長崎医療センターで行われた研修を基にまとめられた臨床画像セミナー症例集から既定フォーマットを作成し、各共同研究機関(熊本医療センター、九州医療センター、九州がんセンター、嬉野医療センター、鹿児島医療センター)における救急撮影時に多い症例について臨床画像を用い、既定フォーマットに沿って内容をまとめます。
判定 承認
第16回迅速審査(2018年7月20日)
No.839 申請者:薬剤部長 中川義浩
課題名 病棟薬剤業務と連動した医薬品副作用被害救済制度の申請支援体制
研究
概要
病棟薬剤業務と連動した医薬品副作用被害救済制度の申請支援体制について論文投稿する。
判定 承認
第15回迅速審査(2018年7月12日)
No.838 申請者:消化器内科部長 杉和洋
課題名 肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止への効果的な手法の確立に関する研究
研究
概要
「肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止への効果的な手法の確立に関する研究」では、肝炎対策基本指針において、肝炎患者等が不当な差別を受けることなく社会において安心して暮らせる環境づくりを目指すこととし、そのための具体的・効果的な手法の確立を目指した研究を行う。
また、肝炎に関する教育の現状と課題を把握し、普及啓発方法等について検討した上で、教材を作成し、その効果を検証する研究を実施することを目指す。
この目的にそって、肝炎に関する教育の現状と課題を把握するために、看護学生及び病院職員を対象としたウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度を把握するアンケート調査研究を実施する。
判定 承認
第14回迅速審査(2018年7月5日)
No.837 申請者:臨床研究部長 日髙道弘
課題名 未治療CCR4陽性高齢者ATLに対するモガムリズマブ併用CHOP-14の第Ⅱ相試験(多施設共同研究)
研究
概要
高齢者(66歳以上)または移植を希望しない56歳以上65歳以下の未治療CCR4陽性成人T細胞白血病・リンパ腫(adultT-cellleukemia-lymphoma;ATL)のうち、急性型、リンパ腫型および予後不良因子を有する慢性型を対象とし、モガムリズマブ併用CHOP-14の有効性、安全性を検証する。
判定 承認
No.836 申請者:6階南病棟看護師 松嵜あかね
課題名 造血幹細胞移植を受ける患者の家族が抱える思いの分析
研究
概要
A病棟では、年間約50例の造血幹細胞移植(以下移植)を行っている。移植を行う患者は無菌治療室(個室)での治療という特殊な環境での長期入院および、治療に対する不安や苦痛、死への恐怖、を抱えることとなり精神的負担が大きい。また治療の影響で、元々自立していた患者のセルフケア能力が急激に低下したり、身体的・精神的苦痛によるストレスで家族や看護師に思いを表出されることがある。そのため患者を支える家族も同様に、患者本人の辛い状況を見て、精神的な負担やストレスを感じていると考えられる。
さらに、家族は患者ががんに羅患したことでの衝撃を受けてから受容するまでに時間がかかり、病状の説明を十分に理解できていない場合がある。
そこで、まずは患者の家族と話す機会を作り、患者の家屋が抱えている思いを知る。そしてその思いを分析することで移植を支える家族看護の充実に繋げていきたいと考えた。
<用語の定義>(思い)とは、ある物事について考えを持つこと。本研究では医療者に対して表出できていない気持ちや気がかりなことをさす。(家族)とは、配偶者、母親、父親、子ども、兄弟、内縁の夫・妻をさす。
判定 承認
No.835 申請者:救命救急センター看護師 野々原みつ子
課題名 病院救命救急センターにおける鎮痛評価スケールCPOT導入への取り組み
研究
概要
当救命救急センターでは呼吸器装着患者に必要に応じて、鎮静剤と鎮痛剤を使用し全身管理を行っている。疼痛評価については、意思表示ができる患者にはNRSスケールを使用している。しかし、意思表示ができない患者に対しての疼痛評価は、定まったスケールを用いないまま行われている。そのため、鎮痛・挿管し呼吸器を装着している患者では、看護師の主観が中心となった評価になりやすい状況である。
CPOTとは患者の表情や四肢の動き、また人工呼吸器との同調性などの5項目を点数付きの3段階で評価し、その合計点により疼痛の有無を評価するスケールである。CPOTは3点以上で疼痛が存在している可能性があると評価する。
多くの急性期病棟では既に、人工呼吸器装着患者に鎮静評価スケールと併せてBPSやCPOTといった疼痛評価スケールを併用している。人工呼吸器装着患者に鎮痛を優先とした鎮静法を行うことで患者の苦痛を軽減でき、挿管中でも患者とコミュニケーションが取れ危険行動が減少した、と他病院の研究論文で報告されている。またCPOTは自己申告の可否を問わず、定期的な使用においてより良い疼痛管理に有用とJ-PADガイドラインに伸べられている。
今回の研究では、CPOTを使用した疼痛評価の導入を行うことで、適切な鎮痛コントロールに繋げ、鎮静剤使用量の減量、患者の離床促進につながることを明らかにすることが目的である。
判定 条件付承認
No.834 申請者:血液内科医長 河北敏郎
課題名 造血細胞移植医療の全国調査研究計画書の改定
研究
概要
わが国での造血幹細胞移植治療の適正な発展のために、1993年より日本造血細胞移植学会および日本造血細胞移植データセンターが実施する全国調査が実施されている。本調査は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に則り実施され、受診者、移植医療提供者、医療計画立案者にとって有用な情報を提供することができる。今回、研究組織の変更により研究計画書が改定されたため申請する。
判定 承認
No.833 申請者:救命救急科医長 北田真己
課題名 熱中症患者の医学情報等に関する疫学調査
研究
概要
本研究は、熱中症の全国規模の実態調査であり、日本救急医学会熱中症に関する委員会を研究の主管とする。日本救急医学会に登録された医療機関で熱中症を診断された患者の情報を集積・解析し、病態や治療の現状を把握し、発生の予防に向けた地域医療へのアプローチを検討する。
判定 条件付承認
第13回迅速審査(2018年6月28日)
No.832 申請者:糖尿病・内分泌内科部長 西川武志
課題名 ミトコンドリア由来活性酸素の糖尿病病態への関与を証明するための観察研究
研究
概要
糖尿病治療の目的は合併症発症予防にあるといっても過言ではない。そして、糖尿病合併症発症予防のためには、糖尿病合併症発症機構を明らかにすることが重要である。現在まで、多くの基礎研究、臨床研究により、糖尿病合併症発症の主因が高血糖であることが既に証明されている。しかし、高血糖がどのような機序で糖尿病合併症発症に関与するのかはまだ不明点が多い。
これまでに提唱されてきた仮説としては、高血糖による①ポリオール経由活性亢進、②糖化蛋蓄積増加、③プロテインキナーゼC活性化、④酸化ストレス亢進などがある。その中で、申請者らはこれまでにミトコンドリア由来活性酸素産生増加による酸化ストレス亢進が糖尿病合併症の発症機構として重要であることを、基礎的研究において明らかにしてきた。
今回の研究においては、糖尿病患者において、ミトコンドリア由来活性酸素のマーカーであることが示唆される尿中8-ハイドロキシグアノシン(8-OHdG)を測定し、糖尿病の様々な病態とミトコンドリア由来活性酸素との関連を臨床的に検討する。
判定 承認
No.831 申請者:診療放射線技師 竹口明宏
課題名 前立腺がんに対するIMRTにおける下肢固定具の検討
研究
概要
IMRT(強度変調放射線治療)は、正常組織を避け、腫瘍のみに高線量を照射可能な治療法である。IMRTの効果を高めるには、全治療期間を通しての患者位置の再現性が重要である。当院で前立腺がんに対するIMRTを導入するにあたり、各下肢固定具(個人用Vac-Lok、共用Vac-Lok、Feet-Fix)の患者位置再現性の評価をする必要がある。
判定 承認
No.830 申請者:総合診療科医長 辻隆宏
課題名 不明熱診療状況の検討
研究
概要
不明熱の鑑別疾患には、約200疾患があるが、明確な診断・治療ガイダンスがなく、診療に苦慮することが多い。不明熱診療状況について調査することは、今後の不明熱診療について有用な情報を提供することとなる。
判定 承認
第12回迅速審査(2018年6月21日)
No.829 申請者:救命救急科医長 原田正公
課題名 院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法の有効性の検討(第Ⅱ相試験:多施設介入研究)
研究
概要
水素吸入療法による院外心停止後症候群の神経学的予後改善の検討
判定 承認
No.828 申請者:救命救急科医長 原田正公
課題名 意識障害に対する脳低温療法の実施状況調査
研究
概要
脳低温療法は、主に心停止蘇生後症候群(PostCardiacArrestSyndrome:PCAS)に対して行われる中枢神経保護のための治療である。当院は2007年に「脳低温療法クリティカルパス」を作成し運用してきた。実際には、心停止後のみならず、意識障害(主に低酸素性脳症)に対しても行ってきた。約10年間の間の治療実態を振る変えることを目的とする。
判定 条件付承認
No.827 申請者:治験管理室主任 髙武嘉道
課題名 慢性骨髄性白血病に対するダサチニブの効果と副作用にプロトンポンプ阻害薬またはH2受容体拮抗薬の併用が及ぼす影響
研究
概要
慢性骨髄性白血病(以下、CML)は、9番と22番染色体の相互転座によって生じるフィラデルフィア(以下、Ph)染色体が関与する白血病である。Ph染色体上のBCR-ABL融合遺伝子にコードされて産生されるBCR-ABLチロシンキナーゼが恒常的に活性化することで、CMLが発症する。CMLは無治療の場合、白血球や血小板の増加は認めるが症状の乏しい慢性期から顆粒球系細胞の分化異常が進行する移行期を経て、致死的な転帰をたどる急性転化期へと至る。
CMLの治療は、BCR-ABLを標的としたチロシンキナーゼ阻害薬(以下、TKI)が標準的治療であり、本邦ではイマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブが上市されている。そのうちダサチニブは第2世代のTKIであり、ABLに対する親和性はイマチニブの325倍と極めて強力であり、現在では国内外のガイドラインでfirstlineの治療薬として推奨されている。またダサチニブは、各薬剤との相互作用が知られており、プロトンポンプ阻害薬(以下、PPI)やH2受容体拮抗薬(以下、H2RA)も該当する。これらの薬剤は胃内PHを上昇させる為、ダサチニブの溶解度が低下し、吸収率が減少すると考えられている。実際に血中濃度が低下する報告もされており、その文書でも注意喚起がされている。しかしながら、治療効果や安全性の影響を検討した報告はない。そこで今回、CMLに対してダサチニブが投与された患者を対象に、PPIまたはH2RAが効果や副作用に及ぼす影響を後方視的に検討する。
判定 承認
第11回迅速審査(2018年6月15日)
No.825 申請者:脳神経外科部長 大塚忠弘
課題名 熊本大学脳神経外科関連施設および協力施設における脳腫瘍の疫学調査
研究概要 脳腫瘍の発生率は人種や地域によって異なるとの報告がある。欧米人とアジアでは脳腫瘍の種類によって発生率が異なるとの報告があるが、日本での脳腫瘍の疫学調査は散見される程度である。
熊本大学脳神経外科関連施設および協力施設が共同し、現在まで熊本県脳腫瘍の発生率を調査する研究を25年以上も続けてきた。その成果は、中枢神経原発胚細胞腫において欧米より日本では、発生率が高いとするなど報告してきた。今後も疫学調査を続け、脳腫瘍の発生と環境要因の関連性などを見いだせれば、何らかの予防医学につながると考えている。
判定 承認
第10回迅速審査(2018年6月14日)
No.824 申請者:救命救急科医長 原田正公
課題名 日本航空医療学会ドクターヘリ・レジストリーへの症例登録事業
研究
概要
本研究は、本邦におけるドクターヘリに関する診療および運航の状況を全数把握するとともに、地上搬送症例との比較分析を通じてドクターヘリによる診療の効果検証を行うことを目的としている。本研究の意義は、ドクターヘリによる診療が患者の予後や医療の質に与える影響を定量的に示すとともに、救急診療の質の向上に寄与することにある。
判定 承認
No.823 申請者:腫瘍内科部長 境健爾
課題名 熊本県がん相談機能向上に関するアンケート調査
研究
概要
「がん相談支援センター」は、全国のがん診療連携拠点病院に設置されている「がんの相談窓口」であり、がん専門相談員としての研修を受けた医療者が、院内に限らず院外の患者及び家族などに対し、がんに関する信頼できる情報を無償で提供し、相談に応じる場所である。しかし髙山らの研究によると一般市民の相談支援センターの認知度は31.8%、がん専門病院通院中患者35%、一般総合病院37%と認知度は低く、がん羅患率が上昇しているにもかかわらず、信頼できるがん情報が患者や家族などに対し、普及できていない現状がある。
そこで、熊本県からの受託事業として平成27年6月1日付で熊本大学医学部附属病院に「がん相談員サポートセンター」(以下、サポートセンターという)が設置され、地域医療総合介護確保基金を財源に、平成27年の事業初年度に、がん相談支援センターやがんサロンが、県内の医療者や患者及び家族に、どの程度認知できているのか、現状を把握するためにアンケートを実施した。サポートセンターでは、初年度のアンケート結果をもとに、平成27年から現在に至るまでの3年間、県内がん診療連携拠点病院がん相談支援センターやがんサロンの支援、相談員や患者の研修支援をおこなった。今回、平成27年と同様のアンケートを実施し、がん相談支援センターの認知度の変化を確認する。そのことにより、今後のがん相談支援センターにおけるがん患者・家族の支援のありかたを明らかにすることを調査の目的とする。
判定 承認
No.822 申請者:治験主任 髙武嘉道
課題名 慢性骨髄性白血病に対するダサチニブのコカと副作用にプロトンポンプ阻害薬またはH2受容体拮抗薬の併用が及ぼす影響
研究
概要
慢性骨髄性白血病(以下、CML)は、9番、22番染色体の相互転座によって生じるフィラデルフィア(以下、Ph)染色体が関与する白血病である。Ph染色体上のBCR-ABL融合遺伝子にコードされて産出されるBCR-ABLチロシンキナーゼが恒常的に活性化することで、CMLが発症する。CMLは無治療の場合、白血球や血小板の増加は認めるが症状の乏しい慢性期から顆粒球系細胞の分化異常が進行する移行期を経て、致死的な転帰をたどる急性転化期へと至る。
CMLの治療は、BCR-ABLを標的としたチロシンキナーゼ阻害薬(以下、TKI)が標準的治療であり、本邦ではイマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブが上市されている。そのうちダサチニブは第2世代のTKIであり、ABLに対する親和性はイマチニブの325倍と極めて強力であり、現在では国内外のガイドラインでfirstlineの治療薬として推奨されている。またダサチニブは、各薬剤との相互作用が知られており、プロトンポンプ阻害薬(以下、PPI)やH2受容体拮抗薬(以下、H2RA)も該当する。これらの薬剤は胃内PHを上昇させる為、ダサチニブの溶解度が低下し、吸収率が減少すると考えられている。実際に血中濃度が低下する報告もされており、添付文書でも注意喚起がされている。しかしながら、治療効果や安全性の影響を検討した報告はない。そこで今回、CMLに対してダサチニブが投与された患者を対象に、PPIまたはH2RAが効果や副作用に及ぼす影響を後方視的に検討する。
判定 承認
第3回倫理審査委員会(2018年6月19日)
No.826 申請者:眼科医長 榮木大輔
課題名 白内障手術時のトリパンブルーによる前囊染色
研究
概要
白内障手術時の前囊切開において、現在連続円形破囊が主流であるが、安全で円滑な嗜好には前囊の切開縁が十分に視認出来ることが必要となる。水晶体囊は透明であるため、通常眼底からの反射光を利用しその視認性を得ているが、皮質白内障・成熟白内障においては反射光が遮られるため、前囊を染色することで視認性を高めている。これまで当施設ではインドシアニングリーン(商品名「ジアグノグリーン®」を用いて前囊染色を行っていたが、特に染色が不十分になること、細胞毒性が報告されていること、毒性を押さえるために余分な操作が必要になること等、いくつか問題点がある。1999年にMellesらがトリパンブルーによる白内障手術時の前囊染色を報告しており、その後の研究で細胞毒性や染色性がインドシアニングリーンより優れているとの報告も出ている。当院での白内障手術症例においても高度の皮質白内障や成熟白内障の症例が少なくないため、前囊染色もごく当たり前の操作となっている。今後の白内障手術の安全性・確実性向上のため、前囊染色に用いる薬剤をトリパンブルーへ変更を検討する。
判定 条件付承認
No.820 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 平成28年熊本地震・黒エリア実態調査
研究
概要
平成28年熊本地震による広域災害によって様々な被害が生じ、特に救急医療の面では、被災地・被災施設における様々な問題が起きたものの、一般救急医療の枠組みでは被災直後から多様な振り返りや報告が為されている。災害医療の特殊な点のひとつとして、限られた医療資源を、最大限多数の方に活用するためトリアージ耐性が敷かれることがあげられる。トリアージとは、患者を歩行可能な軽傷待機群(緑タッグ)、バイタルサインに大きな異常を認める緊急群(赤タッグ)、その中間の準緊急群(黄色タッグ)、そして、死亡状態とみなされる黒タッグに選別し、トリアージを繰り返しながら適切に医療を提供ししょうとするものである。医中誌にて、今回の震災における既報を概観すると、赤・黄・緑タッグに相当する報告は数多いものの、黒タッグについての報告は見当たらない。
今回、平成28年熊本地震において被災した3つの救命救急センターを対象に、黒タッグ患者ならびに家族の対応を行った医療従事者を調査対象としてアンケート調査を実施することで、災害訓練などで事前準備することの有効性を確認すると同時に、課題を抽出し、今後の災害医療に資する資料を作成したい。
判定 条件付承認
第9回迅速審査(2018年6月11日)
No.821 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 医療現場におけるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー他)に関するアンケート
研究
概要
男女共同三画事業の推進など、政府方針としては多様性が許容される社会への変化を目指していると理解される。この、多様性の中には、人種、信条、各種障害のほか、性的少数者(セクシャルマイノリティ:LTBTほかと略す)も含まれる。LTBTほかは、性嗜好、性自認などの問題を含み、LTBTほか自体が多様であるため、LTBTほかの方たちが直面する問題の全容を理解することは簡単でないものの、同性愛も性別違和も病気ではないという基本的事項すら十分には理解が広がっていないところに問題の大きさが垣間見える。
医療に関連したところでは、LTBTほかの方たちの医療アクセスが阻まれやすいことは大きな問題のひとつとして認識されている。医療記録への名前の登録、性別の登録、それらを事務手続きする際の接遇、トイレ、更衣室、浴室、病室の選択、保証人・キーパーソン等などの問題などから、きちんと受診・診察を受けずに市販薬で済ませたり、病状が重篤化してから受診に至ったりと、LTBTほかの受療遅延・受療差し控えなどが実際に起きている。その一方で、経済産業界では氏名選択の自由、トイレ・更衣室などの問題に実際取組み、就労しやすい環境、能力を発揮しやすい環境の整備が進められているという実例もある。
このような中、熊本医療センターでは本年11月に、「セクシャルマイノリティの方の医療アクセスを改善するためにできること(仮)」をテーマとした研修会の開催を企画している。開催に際し、当院に在職する職員の、この問題に関する基本的な理解や認知度を知る目的でアンケート調査を考えた。
判定 条件付承認
第8回迅速審査(2018年5月31日)
No.818 申請者:血液内科医師 上野満徳
課題名 未治療多発性骨髄性骨髄腫に対する新規薬剤を用いた寛解導入療法、自家末梢血幹細胞移植、地固め・維持療法の有効性と安全性を確認する第Ⅱ相臨床試験-JSCTMM16-(多施設共同研究)
研究
概要
未治療多発性骨髄腫に対し、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメサゾン投与による寛解導入療法に次いで、ボルテゾミブ+メルファラン大量療法による自家抹消血幹細胞移植を実施後、90日±30日以降にカルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメサゾン投与による地固め療法、およびレナリドミド維持療法を行う、新規薬剤を用いた治療戦略の、有効性と安全性をわが国における標準治療の確率を視野に入れて検討する。
判定 条件付承認
No.817 申請者:臨床検査科技師 林秀幸
課題名 Clostridioidesdifficile毒素遺伝子検査法と分離培養法(Toxigenicculture法)との比較
研究
概要
イムノクロマト法と嫌気培養法の併用によりCDI(C.difficile感染症)検査は、感度・特異度が向上してきた。しかし、判定までに時間がかかり、迅速性に未だ問題を抱えている。C.difficile毒素遺伝子検査は、感度・特異度が高くかつ迅速性に優れており導入が望まれる。今回、従来法で陽性であった臨床検体を用い、遺伝子検査法の有用性を比較・検討する。
判定 条件付承認
第7回迅速審査(2018年5月24日)
No.816 申請者:臨床研究部長 日髙道弘
課題名 Rituximab(リツキシマブ)未投与CD20陽性低悪性度B細胞性リンパ腫に対するRituximabによる寛解導入療法と維持療法の長期予後に関する横断研究
研究
概要
国立病院機構血液ネットワーク共同研究グループでは、2005年12月より「Rituximab未投与CD20陽性低悪性度B細胞性リンパ腫に対するRituximabによる寛解導入療法と維持療法の第Ⅱ相臨床試験」(以下LowB研究)を行った。その結果、LowB研究の治療はRituximab未治療の低悪性度B細胞リンパ腫症例に対して有効性・安全性ともに治療効果が高いと考えられた。LowB研究にご参加いただいた患者さんのその後の経過を調査し、Rituximab治療の長期の有効性を検討することを、本研究の目標とする。
判定 承認
第6回迅速審査(2018年5月11日)
No.815 申請者:救命救急科医長 北田真己
課題名 当院における成人肺炎に関する調査
研究
概要
当院における成人肺炎患者の情報を集積することで、肺炎診療の実態を把握し、問題点を抽出し、今後の課題・対策を構築することを目的とする。
判定 承認
第2回倫理審査委員会(2018年5月15日)
No.814 申請者:腎臓内科医師 中村朋文
課題名 腎疾患および体液制御の異常に関わる危険遺伝子および遺伝子変異の同定
研究
概要
当教室では疾患起因性変異タンパクの解析を通して各種腎疾患における病態メカニズムを解析し、新たな治療戦略を探求することを研究テーマとしている。本研究では、遺伝子変異もしくは遺伝子多型が発症の危険因子になっていると考えられる腎臓疾患および体液制御の異常について、患者検体から危険遺伝子を決定、その配列を明らかにすることを目的としている。
判定 承認
第5回迅速審査(2018年5月10日)
No.814 継続審議→第2回倫理審査委員会審議へ
第4回迅速審査(2018年5月2日)
No.813 申請者:眼科医長 榮木大輔
課題名 眼内炎に対する抗生物質の硝子体内投与
研究
概要
眼内炎は術後・外傷性といった外因性と菌血症からの内因性に大別される。原因は様々だが一旦発症し治療が遅れると、失明も含めた視機能への後遺症を残すことがある重篤な疾患である。治療としては手術療法と薬物療法があり、硝子体へ炎症が波及している場合は原則硝子体切除が行われるが、全身状態に問題がある等ですぐ手術が施行できない場合は、細菌の増殖抑制のためにも抗生物質の硝子体内投与(硝子体注射)が一般的である。使用する薬剤は起炎菌に応じて異なり、グラム陽性・陰性菌が疑われる場合は広域なスペクトラムをカバーするためバンコマイシン+モダシンが、真菌が疑われる場合は抗真菌薬が通常選択される。ただし、いずれも適応外使用であり各施設の倫理委員会での審議を経て使用可能とされている。今回、蜂窩織炎を原因病巣とした転移性細菌性眼内炎の治療にあたり、硝子体切除術が早期に施行できない症例に対して抗生物質の硝子体内投与の必要性があるため上記課題に関し申請する。
判定 承認
No.812 申請者:診療放射線技師 竹尾晃一
課題名 当院におけるAiの取り組み
研究
概要
当院は患者の死因究明のために死後画像検査(Ai)を施行している。様々な状態におけるご遺体のAiを施行しており、その件数は毎年100件を超える。
研究会において当院におけるAi-CTの撮影時に注意すべき点、死後画像の特徴を報告することにより、Ai件数の少ない他施設の参考になり正確な読影能力の習得を目的とする。
判定 承認
No.811 申請者:神経内科医長 幸崎弥之助
課題名 非弁膜症性心房細動を有する後期高齢患者を対象とした前向き観察研究 All Nippon AF In Elderly Registry-ANAFIERegistry-
研究
概要
本研究は、非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する後期高齢患者(75歳以上)における抗凝固療法の実態及びその予後を明らかにするとともに、脳卒中/全身性塞栓症及び頭蓋内出血のリスク因子を特定し、直接経口抗凝固薬(DOAC)に最適な治療対象集団及びその使用法を明確にすることを主目的ととする。また、副次的にNVAFに関連する種々のクリニカルクエスチョンについて検討する。
判定 承認
第3回迅速審査(2018年5月1日)
No.810 申請者:治験管理室治験主任 高武嘉道
課題名 去勢抵抗性前立腺がんに対するドセタキセル療法にペグフィルグラスチムが及ぼす影響
研究
概要
がん化学療法における発熱性好中球減少症(febrileneutropenia:FN)は、患者の死亡や入院期間延長の要因となる重篤な有害事象の1つであり、患者のqualityoflifeを大きく損なう副作用である。
前立腺がんは、2017年の部位別予測がん羅患数では胃がん、肺がんに次いで第3位であり、発症は50歳から徐々に増加し、高齢になるほど羅患率は高くなる。前立腺がんに対する薬物療法の基本は内分泌治療から始まり、一旦奏効するものの多くの場合は、治療に抵抗性を示すようになる。そのような去勢抵抗性前立腺がん(castrationresistantprostatecancer:CRPC)に対しては、2004年にドセタキセル(docetaxel:DTX)の有効性が示され、現在では標準療法として広く使用されている。
そこで今回、当院でCRPCに対するDTX療法にペグフィルグラスチムを予防投与した際の臨床効果を調査する。またペグフィルグラスチムは従来のG-CSF製剤と比べて非常に効果であるため、医療経済に対する影響も併せて検討する。
判定 承認
No.809 申請者:治験管理室治験主任 白澤宏美
課題名 非盲検薬剤師の業務不可に対するアンケート
研究
概要
2015年12月、当院の非盲検薬剤師を対象に業務不可に対するアンケート調査を実地した。現在、治験薬の割振情報を知る非盲検薬剤師を必要とする試験は増加傾向にあり、非盲検薬剤師の業務は治験薬調製のみならず、ElectrpmicDataCapture(EDC)システムへの入力やInteractiveWebResponseSystem(IWRS)を使って治験薬の割振を行うなど、煩雑である。アンケート調査の結果、重点改善項目として「治験薬調製」「マスキング処理」「治験薬管理表の記載」「説明資料について」の4項目が抽出された。この結果をうけ、治験薬調製手順や治験薬管理表の記載方法、EDCやIWRSの入力方法等が説明された「説明資料」の改善を行った。今回の調査は、2015年12月の業務負荷に対するアンケートに回答した非盲検薬剤師を対象に再度業務負荷に対するアンケート調査を実施し、この改善が有意義であったたかを検証することを目的としている。
判定 承認
第1回倫理審査委員会(2018年4月17日)
No.808 申請者:血液内科医長 原田奈穂子
課題名 多発性骨髄腫に関する多施設共同広報視的調査研究
研究
概要
本疫学観察研究では、以下の点について明らかにすることを目的とする。
1.我が国における多発性骨髄腫患者に対する治療内容とその成績
2.欧米の治療成績との比較による各治療法の有効性と安全性
3.新規治療薬の時代における予後因子
判定 承認
第2回迅速審査(2018年4月17日)
No.807 申請者:放射線治療科医長 冨高悦司
課題名 「有痛性腫瘍病変への放射線治療における調査用紙を用いた有効性評価」のデータを用いた二次解析
研究
概要
様々な有痛性腫瘍への放射線治療が実地診療で行われており、奏効率(痛みの緩和される確率)として5-8割程度が報告されている。しかし、治療効果を予測する因子の研究は進んでいない。本研究では以下の検討を中心に、前向き観察研究である「有痛性腫瘍病変への放射線治療における調査用紙を用いた有効性評価」(受付番号490)のデータを用いた二次解析を遡及的に行う。
・疾患・患者背景・痛みの特徴・治療因子・検査値等ごとの治療効果の評価、比較
・放射線治療対象病変以外の有痛性病変の解析
・適切な痛みの評価法
・PainManagementIndex(鎮痛薬の使用の妥当性を評価する指標)に関する解析
・生存に関する解析
・一時点の痛みの強さ、機能干渉、患者背景等に関する検討
判定 承認
第1回迅速審査(2018年4月6日)
No.806 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 救急医療施設における一般救急医療と精神科救急医療との連携好事例研究
研究
概要
精神障害者の地域移行は国の重要施策である一方、一般救急医療と精神科救急医療との連携体制には課題が多いことは従来指摘されてきたところで、特に身体合併症を有する精神科疾患においてこの問題は顕著であり、課題の明確化と対策立案が急がれるところである。
身体合併症を有する精神科患者の治療利益を守るにはいくつかの方法がある。施策上、精度上の制限からもまずは身体的な問題を解決した後に精神科的な問題に取り組むパターン(直列モデル)が現実的である。救急医療と精神科医療とが同時に提供されるパターン(並列モデル)は理想的であるものの、救急科と精神科とが同時に施設内にありながら円滑に連携を行っている施設は少なく、円滑な連携を行っている施設はソフト面・ハード面で様々な工夫を実践していると考えられる。これは地域を大きな医療ユニットとみたとき、地域内での医療連携においても有用な視点になると考えられる。
今調査では地域医療の縮図として、救命救急センターと有床精神科を有する救急医療施設を対象に、一般救急医療と精神科救急医療との連携にかんする好事例研究を行う。このことから、円滑な連携を可能にする要素を抽出する。今調査では特に精神科医療の施設面・スタッフ面・運営面での要素を検討する。
判定 承認
No.805 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 病院前救護における精神科救急事案のトリアージおよびスクリーニングツールの開発
研究
概要
病院前救護および救急医療領域のスタッフにとって精神科疾患に関する知識や対応法を適切に学ぶ機会は少ない。このため、救急医療を利用する精神科患者の主訴は、理解困難と処理されたり、重篤度が適切に評価されないおそれがある。平易で一般的なことばを用いて精神科患者の主訴や緊急度を把握し、それらを的確に伝達するためのツールが必要であるものの、現在までに開発された数種類のツールは一長一短があるため、先行研究を概観して使用しやすいツールを作成する。
判定 条件付承認
No.804 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 本邦の総合病院精神科病床におけるフィジカルケア対応力(ComplexityInterventionUnits)に関する全国調査
研究
概要
精神障害者の地域移行は国の重要施策である一方、一般救急医療と精神科救急医療との連携体制には課題が多いことは従来指摘されてきたところで、特に身体合併症を有する精神科疾患においてこの問題は顕著であり、課題の明確化と対策立案が急がれるところである。
身体合併症を有する精神科患者の治療的利益を守る、理想的な方法のひとつは、身体的な問題、精神心理的な問題、この両方に同時介入が出来る医療施設が整備されることであるものの、現在までの潮流として、救急医療部門が精神科疾患患者の受け入れを努力する一方、精神科病棟での身体治療は制限が大きいままというのが実情といえる。オランダ、アメリカなどではComplexityInterventionUnits(CIU)と称される、精神科病棟でありながら身体的治療が円滑に実施されるよう設計された病床などが試みられている。わが国は超高齢化社会を迎え、心身両面の治療を要する症例が増えることが予想されるなか、CIU的な取り組みは散発的である。
本邦の精神科病棟における身体合併症の精査治療について、現時点でどのように実施されていて、患者の治療的利益を守るためにはどのような改善点が存在するのかいまだに不明なままである。このため、オランダ、アメリカなどで実施されている詳細な全国調査と同じ様式で調査を行い、諸外国と比較検討することで問題点を明らかにしたい。
判定 条件付承認
No.803 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 地域MC協議会ならびに全国消防本部に対する「本邦の搬送困難事例における精神科救急的側面の実態調査」
研究
概要
精神障害者の地域移行は国の重要施策である一方、一般救急医療と精神科救急医療との連携体制には課題が多いことは従来指摘されてきたところで、特に身体合併症を有する精神科疾患においてこの問題は顕著であり、課題の明確化と対策立案が急がれるところである。病院前搬送データ、精神科救急医療施設・身体合併症対応精神科施設・一般救急医療施設などの地域医療資源に関するデータを組み合わせて解析することで、一般救急医療と精神科救急医療との連携の改善・均てん化のための適格な評価指標を確立する必要がある。
判定 承認
国立病院機構熊本医療センター
860-0008 熊本県熊本市中央区二の丸1-5
TEL:096-353-6501 FAX:096-325-2519
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