臍帯血移植|血液内科|国立病院機構熊本医療センター
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血液内科
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臍帯血移植について
急性白血病は治療の進歩によって不治の病ではなくなりましたが、十分な化学療法が行える患者様でも約半数が命を落とされてしまう、難治性の病気であることに変わりはありません。同種造血幹細胞移植(同種移植)は強力な化学療法や放射線により正常な血液細胞と白血病細胞を「焼き尽くした」後に、他人(ドナー)から血液細胞の源(造血幹細胞)をもらう治療法で、難治性血液疾患の方々にとって唯一の生きる道となっています。
当院では1990年代より600例以上の同種移植を行ってきました。以前は血縁者や非血縁者骨髄(骨髄バンク)をドナーとした移植が中心でしたが、2013年以降は積極的に臍帯血移植に取り組んでいます (図1) 。臍帯血移植で用いる臍帯血は産後の胎盤から採取するためドナーの負担がなく患者様側の状況に応じたタイミングで移植が可能なこと、重症の拒絶反応 (GVHD)を発症しにくいことがメリットです。一方で、骨髄移植と比較して血球の回復が遅く感染症のリスクが高いこと、拒絶反応(移植片対宿主病)が独特の経過をたどることなどの問題点があり、その特徴に応じた管理をしなければ移植成績が低下します。当院では2013年4月~2015年5月までに39例の臍帯血移植を行い、その7割程度は腫瘍細胞が明らかに残った状態でしたが、移植前処置や合併症管理の適正化によって治療成績は向上しています(図2)。また比較的高齢とされる56歳~69歳の患者様に対してもほぼ同等の治療成績が得られています。
図1 当院におけるドナー別同種移植数
図2 臍帯血移植の年代別比較( 2013年4月まで vs それ以降)