研修の様子2021|看護師特定行為研修|国立病院機構熊本医療センター
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看護師特定行為研修
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看護師特定行為研修の様子(2021年度)
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12月 区分別科目の実習を終え、修了証書が授与されました。
<非侵襲的陽圧換気の設定の変更>
10月7日から10週間の「救急領域パッケージ」の臨床実習が、終了しました。5区分9行為すべてで、規定の5症例を少し上回る経験をすることができました。昨年から、一般救急搬送や患者収容において感染拡大の影響があり、対象症例の確保が難しい状況が続いていました。しかし、救急科指導医の配慮と工夫で経験を積み重ねることができて、本当に感謝しています。
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<奨励発表会>
今年は、実習のまとめとして症例発表会を実施しました。実習を通して学んだ思考過程や倫理的課題について、深く考えた発表となり、出席の皆さんと活発なディスカッションができて有意義な実習まとめとなりました。
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<記念写真>
最後に、お世話になった先生方との写真撮影を”ヘリポートで”と提案していただきました。受講生の一番の学びは、救急医療の最前線でありながら、患者のQOLを第一に考えて診療にあたられている先生方の温かな姿勢だったと思います。未来の力強いバディとしての受講生の成長が指導医だけでなく、ご協力いただいた患者様、病棟スタッフへの恩返しになると幸いです。冬空の羽ばたくような雲が、”みんな”にエールを送ってくれているような記念写真になりました。
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9月 区分別科目の演習とOSCEの様子
「脱水症状に対する輸液による補正」演習
腎臓内科医師の臨床研究部長より、詳しい解説とわかりやすいレクチャーがありました、とても勉強になったと好評でした。
「侵襲的・非侵襲的陽圧換気の設定変更」演習
1期生で集中ケアCNの指導の下に、様々な事例の呼吸器設定を根拠をもって検討することができました。
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救急領域パッケージのOSCE
外部医師、副院長、修了生を観察評価者として、実技試験を行いました。やや緊張が見られましたが、患者に実施している意識をもって手順書を確認しながら進めることができました。無事に合格評価をいただき、追加でエコー画像の見方を学びました。
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8月 共通科目の実習の様子
<臨床推論>
外来診療を見学しました。患者家族の訴えに丁寧に耳を傾け、フォーカスされた問診と身体診察により、今、考えられること・必要な検査・今後の流れの説明が効率的に行われていました。高度な臨床推論とコミュニケーションのスキルを学ぶ貴重な経験となりました。
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<フィジカルアセスメント>
外来見学の翌日に、問診と身体診察技術の観察評価を受けました。限られた情報から問診・身体診察をさらに進めて、的確な診断過程を辿ることができました。デブリーフィングで適切なフィードバックを得て、効果的な振り返りもできました。
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<医療の質>
自施設で起こりやすいインシデントの要因分析と改善策を検討し、発表を行いました。医療安全係長の助言をうけて、リーダーとして再発防止対策の思考を学ぶことができました。
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<チーム医療>
NSTと摂食嚥下チームのラウンドとカンファレンスに参加しました。退院後の食スタイルを考えて、入院中に各専門スタッフがサポートしている実際を見て、チームマネジメントの意義とポイントが理解できました。
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<手順書の作成>
演習だけではわかりにくい手順書を初めて作成し、様々な疑問がでましたが、1期生の修了者から丁寧に説明や助言を受けて理解できました。
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<広報活動 >
自施設で対象を決めて、特定行為に関する周知活動であるプレゼンテーションのリハーサルを行いました。誰に、何を、なぜ、何のために、どのように伝えたいのかを企画書を立案することにより明確にして、相手に伝わるストーリーの組み立てができました。
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7月 共通科目の演習の様子
<フィジカルアセスメント-事例検討>
何をどのように聞けば、知りたい情報が得られるのか。何を想定して、どの部位の何を視るか、どの臓器の何を聴くか、どこを触るか、叩くかを深く考えていきます。各自が事前学習したことを「〇〇と考える。」「でも、〇〇だと合わない。」などと意見を交わすことが、自信をもって医師とディスカッションできることにつながる貴重な過程と思っています。
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<臨床薬理学>
薬剤部長より、血中濃度の考え方や併用禁忌薬に関する質問に対して説明がありました。副院長からは、抗がん薬の主な副作用と抗菌薬の選定について補足説明がありました。受講生は、事前学習と演習でほとんど解答に到達していますが、さらに先生方の知見を教えていただくことで、より実践力が身につくと感じています。
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6月・・令和3年度特定行為研修がスタートしました。
【開講式】
まん延防止等重点措置の対象地域となっていたため、救急領域パッケージ受講生2名を迎え、6月1日に小規模・略式でオリエンテーションを重点的に行いました。
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【共通科目の演習】
事前学習(予習)に重きをおき、週1回の集合研修で活発なディスカッションができています。副院長から、専門的な血液検査データの判断や治療の特徴について補足説明を聞くと、「スタッフにも伝えたい」との反応が得られていました。
<臨床推論-ケーススタディ>
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<臨床推論-臨床検査による診断プロセス>
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【臨床推論-CT画像の判読】
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【医療面接のロールプレイ】
看護師役の受講生がふだん通り”不安に寄り添う”対応を行ったなかで、JCSⅢ-100で救急搬送された夫の妻に膝をついて対応したことが、デブリーフィングで議論となりました。長年姿勢を低くする立場の参加者全員(医療者)が、そのような姿勢を取られる側を体験したことがなく、初めて得た感情を共有しました。その後、受講生同士で看護師役と患者役を体験し、医療面接だからと身体面だけに目を向けるのではなく”信頼関係の構築”が重要であるとの振り返りに到達していました。
【臨床推論-医療面接のロールプレイ①】
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【臨床推論-医療面接のロールプレイ②】
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【臨床推論-医療面接のロールプレイ③】
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知識も経験も豊かな受講生が、学びを重ねるごとにさらに成長していく姿を見ると研修に対する意気込みの強さを感じます。と同時に、受講生が満足できる学習環境を整える責任の重さを痛感しています。体調に気をつけて、7ヶ月間を乗り越えられるよう精一杯サポートしていきたいと思います。
特定行為研修担当 吉岡 薫