産婦人科|国立病院機構熊本医療センター
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産婦人科
部長あいさつ
産婦人科はすべての女性の味方であり、通常は女性の一生に関わる不妊症、周産期、婦人科腫瘍、更年期の領域について診療を行っています。当科は婦人科腫瘍を中心に悪性腫瘍・良性腫瘍・救急疾患を中心に診療を行っています。
スタッフは婦人科腫瘍専門医を中心に、婦人科腫瘍修練医・産婦人科専攻医で熟練した担当医師による診察を基本とし、超音波断層法装置、腟拡大鏡(コルポスコープ)や子宮鏡(ビガティシェーバー)による低侵襲手術、CO2レーザー装置も子宮頸部や腟疾患の治療に使用しています。
診療方針
手術症例に関しては放射線科と毎週カンファレンスで症例検討を行い、他科と合同手術になる場合は合同カンファレンスを繰り返し、最終的には術中所見を考慮し術式の決定を行っています。手術は婦人科腫瘍専門医を中心に、若手医師への指導も積極的に行っています。入院患者は担当医制で毎週病棟回診を行っており、悪性腫瘍の患者などに対して看護師やスタッフ等で精神的看護も十分な配慮を行っております。
婦人科3大癌である子宮体癌、子宮頸癌、卵巣癌は本邦で増加傾向にあり、子宮体癌と子宮頸癌をあわせると、乳癌、大腸癌、肺癌、胃癌についで5番目に罹患数が多いことが報告されています。婦人科悪性腫瘍では化学療法や放射線治療が有効な疾患も多いことから、手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療が行われ、近年では、がんゲノム医療の導入により分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤による治療も多く行われているため、病理部とのカンファレンスも定期的に行っています。手術領域では鏡視下手術が低侵襲手術として飛躍的に普及し、当施設でも腹腔鏡手術を積極的に行っています。Da Vinciによるロボット手術も2024年から導入し良性疾患の子宮全摘術を行っています。
術式の向上により術後のリンパ浮腫や排尿障害などの術後合併症は減少しておりますが、患者様のQOLを第一に考え、特に骨盤リンパ節郭清後に生じる下肢のむくみ(リンパ浮腫)に対して、リンパマッサージなどによる積極的な予防策を行い効果を上げています。重症の症例は形成外科のリンパ浮腫外来にて連携しています。また、術後の補助化学療法では外来化学療法センターでの外来治療を積極的に取り入れています。
医療設備
円錐切除術ではLEEP、ハーモニックスカルペルを使用。腹腔鏡下手術では3Dフレキシブルカメラ, 4k画像モニター、パワーデバイスはリガシュア、ハーモニック1100、サンダービート、ソニックビートなど。子宮鏡検査は外来で施行し、手術室で施行する子宮鏡はレゼクトスコープをはじめ、通電しない安全なビガティシェーバーを導入しております。
放射線設備に関しては、より高精度の放射線治療を提供するために、外照射リニアックを2021年10月より最新型リニアック装置に更新しました。また、子宮腔内照射では密封小線源治療装置ラルス(フレキシトロン)が稼働しています。放射線治療専門医が常勤し、精度の高い治療が可能です。子宮頸癌の放射線治療症例(CCRT)も年々増加し、再発腫瘍や緩和照射も積極的に行っています。
外来診療
外来担当医表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
高木 みか | 山本 直 | 手術日 | 高木 みか | 山本 直 |
瀬尾 優太朗 | 前田 菜々 | 瀬尾 優太朗 | 前田 菜々 |
受付は午前8時半から11時。初診・再診ともに完全予約制。
セカンドオピニオン外来は、主に火曜日の午後に行っています。
症例数・治療・成績
2023年の主な婦人科悪性腫瘍の治療実績は、患者数では子宮頚部上皮内腫瘍・異型度3は79例、浸潤子宮頸癌(Ⅰ期以上)が58例、子宮体癌が61例、卵巣癌が27例でした。現在、これらの悪性腫瘍症例の手術を中心に、良性腫瘍手術、緊急手術を行っており、2023年度の婦人科総手術件数は330件でした。子宮頚部上皮内腫瘍・異型度3は原則として円錐切除術による診断・治療を施行し、妊孕性温存療法に努めています。また子宮頸癌における広汎性子宮全摘術は骨盤神経温存を行い、術後の膀胱訓練期間が減少し、排尿排便障害が減少しています。術式の向上により術後のリンパ浮腫も激減しています。近年の低侵襲手術の増加に伴い当科でも良性疾患の腹腔鏡下子宮全摘手術とDa Vinciによるロボット手術が増加傾向です。
スタッフ紹介
職名 氏名 免許取得年 | 専門医 所属学会 など | 専門分野 |
診療部長 産婦人科部長 タカキ ミカ 髙木 みか 平成9年 | 日本産婦人科学会専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医 母体保護法指定医 日本婦人科内視鏡学会 日本婦人科手術学会 日本婦人科ロボット手術学会 da Vinci console surgeon | 産婦人科一般 婦人科悪性腫瘍 周産期 |
産婦人科副部長 ヤマモト ナオ 山本 直 平成19年 | 日本産科婦人科学会専門医・指導医 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本緩和医療学会 日本医療マネジメント学会 日本婦人科内視鏡学会 da Vinci First Assistant | 産婦人科一般 婦人科悪性腫瘍 周産期 |
産婦人科医師 ツボキ ジュンコ 坪木 純子 平成20年 | 日本産婦人科学会専門医 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本婦人科病理学会 日本緩和医療学会 日本遺伝性腫瘍学会 | 産婦人科一般 婦人科悪性腫瘍 周産期 |
産婦人科医師 セオ ユウタロウ 瀬尾 優太朗 平成26年 | 日本産科婦人科学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本婦人科腫瘍学会 日本婦人科内視鏡学会 日本周産期新生児医学会 da Vinci First Assistant | 産婦人科一般 婦人科悪性腫瘍 周産期 |
産婦人科医師 マエダ ナナ 前田 菜々 令和3年 | 日本産科婦人科学会 日本周産期新生児医学会 | 産婦人科一般 |
今後の目標・展望
当院産婦人科では悪性腫瘍症例の手術を中心に、良性腫瘍手術、緊急手術を行っており、県内有数のがん拠点です。スタッフは4人と少数ですが、毎週の放射線科や病理診断科との合同カンファレンスにて専門的で詳細な議論を行い治療方針を決定しています。さらに各診療科同士も風通しのいい関係であり、必要各科とのカンファレンスを通じて総合的に婦人科腫瘍に関する知識・技術を学ぶことのできる数少ない施設と考えております。
また、産婦人科専門医は卒後5年の臨床経験を得て受験資格を有する産婦人科医必須の専門医資格であり、当院は指導医が在籍していることからその指導施設に指定されています。腹腔鏡下手術・ロボット手術も今後積極的に行っていきます。さらに、今後のサブスペシャリティーとして婦人科腫瘍を専門的にと考えられている先生方、婦人科腫瘍専門医資格所得を考えられている先生方と一緒に働けることを楽しみにしております。
スタッフのほとんどはは育児中ですが、院内保育園と院内病児保育を活用し助け合いながら潤滑に診療ができるよう一丸となって「ワンチーム」で毎日楽しく忙しく診療にあたっておりますので、当院に興味のあられる先生は見学だけでもぜひ一度、ご連絡をお待ちしております。