放射線治療科|国立病院機構熊本医療センター

放射線治療科

放射線治療科部長あいさつ

様々ながん、一部の良性疾患に対して放射線治療を行っています。
日本は高齢化社会になっています。年齢を重ねるごとにどうしてもがんになる可能性は増えます。もちろん他の病気にかかる可能性も増えます。つまり合併症があるがん患者様が増えるということです。
そのため、切らずに治す“ひとに優しい”がん治療である放射線治療の需要はますます高まっていくと予想されています。しかしながら欧米ではがん患者の50%以上がいずれかの時期に放射線治療を受けているのに対し、日本では30%弱の患者様しか受けていないのが現状です。20%以上の患者様が放射線治療の恩恵を受けていないということになります。
この30年で放射線治療はめざましい進歩を遂げました。様々な治療法や機器の開発、そして画像診断の精密化で以前よりはるかに安全にがんを”狙い撃つ”ことが可能になり、放射線治療を主体とした治療でがんを根治できる疾患も増えました。また従来からの、がんによる痛みやつらい症状をとるという緩和的な治療も、より副作用無く可能になりました。
多くのメリットがあるこの放射線治療を皆様にご理解いただけるよう、放射線治療科は日々努力して参ります。
放射線治療科部長 冨高悦司

診療内容・特色
本館1階32番 放射線治療センタ-にて、診察および放射線治療計画、治療を行っています。
外照射用リニアック1台、治療計画専用の大口径16列CT1台、密封小線源治療装置2台を保有しています。
外照射は、一日約30~40名の治療を行っています。当院は診療科が多いため、ほぼすべての領域の悪性疾患を扱っていることが特徴です。高精度放射線治療である強度変調放射線治療(IMRT)は、前立腺がんを中心に行っています。外照射用リニアックは撮影機能を有しており、治療時と計画時の画像をモニター上で融合させ、僅かなずれも修正することができるため精度の高い治療が可能です(画像誘導放射線治療:IGRT)。特殊治療としては、造血幹細胞移植のための全身照射(TBI)を行っており、症例数は県内では最大です。また、良性疾患であるケロイド切除後の術後照射やバセドウ眼症の球後照射も形成外科や糖尿病・内分泌内科と連携をとり、多くの症例を行っています。
密封小線源治療は、子宮・腟がんを主とした腔内照射(RALS治療)および前立腺がんに対する125Iシード永久挿入治療を行っています。婦人科、泌尿器科、麻酔科と連携し、精度の高い治療を心がけています。
すべての治療は治療計画装置にて計画し、作成された線量分布を検討後実施しています。
当院は、日本放射線腫瘍学会認定施設であり(現在熊本県では3施設のみ)、放射線治療センターには放射線治療専門医が専従し、照射期間中におきる患者様の体の変化などにも主治医と密に連携をとり、きめ細やかに対応いたします。
脳腫瘍に対する3次元外照射

前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)

治療時と計画時の融合画像

子宮頚がんに対する腔内照射

前立腺がんに対する125Iシード永久挿入治療


症例数・治療・成績
平成31年度 放射線治療患者数は425名でうち新患が364名でした。
特殊治療である全身照射は32例(112件)、腔内照射26例(90件)、シード治療48例でした。

スタッフ紹介
職名 氏名 免許取得年 | 専門医 所属学会 など | 専門分野 |
副地域医療連携センター長 放射線治療科部長 放射線治療センター長 トミタカ エツシ 冨髙 悦司 平成11年 |
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放射線科医師 ユキムラ ヒロコ 幸村 紘子 平成23年 |
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放射線科医師 マツモト タダシ 松本 忠士 平成28年 |
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今後の目標・展望
外照射装置を更新し、高精度放射線治療の適応を拡大予定です。