国立病院機構熊本医療センター
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2016年度倫理審査委員会|国立病院機構熊本医療センター

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2016年度倫理審査委員会

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第22回迅速審査(2017年3月28日)
No.726 申請者:外科部長 宮成信友
課題名 RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験における治療感受性、予後予測因子の探索的研究
研究概要 RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験(PARADIGMstudy。臨床研究実施計画書番号:Panitumumab-3001。以下「主研究」)の不随研究として、主研究で得られた有効性の予測因子となり得るバイオマーカーの検討、血漿中遊離DNAと腫瘍組織における各種バイオマーカーとの関連性の検討、及び血漿中遊離DNAを用いて治療の介入に伴う各種バイオマーカーの変化と各種パラメータとの関連性を検討すること。
判定 承認
No.725 申請者:外科部長 宮成信友
課題名 RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験
研究概要 RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者を対象として、一次療法におけるmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法とmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法の有効性を検証することを、主目的とする。
判定 承認
No.724 申請者:小児科医長 緒方美佳
課題名 当院における学童以降の食物アレルギー児の検討
研究概要 乳児期に発症した鶏卵アレルギーの多くは小学校までに寛解するが、長期間の除去が寛解を遅らせる原因となる可能性も示唆されている。
当院における学童以降の鶏卵アレルギー児の現在の摂取状況と既往について検討する。
判定 承認
第21回迅速審査(2017年3月14日)
No.723 申請者:救命救急部医師 金子唯
課題名 熊本県防災ヘリのドクターヘリ的運用での現場活動の検討
研究概要 熊本県ドクターヘリは、ドクターヘリと防災ヘリの補完体制で運営されている。防災ヘリはドクターヘリ的運行であり、ドクターヘリと体制は異なる。
ドクターヘリの診療に関してはこれまでも数多くの報告があり、一定の知見が得られているものの防災ヘリのドクヘリ的診療についての知見は少ない。
熊本県防災ヘリは全国で有数のドクターヘリ的運用実績を持ち、その実績を検討することでより効率的な運行方法を検討する。
判定 承認
第10回倫理審査委員会(2017年3月21日)
No.722 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 救急患者精神科継続支援料に係る継続支援に関する調査
研究概要 当院に自傷行為・自殺未遂などの理由で救急搬送された患者について、複合的ケース・マネージメント介入を行い、入院中から介入開始後半年までの期間、継続支援を実施する。必要時、医療、行政、警察、消防などと連携・連絡を取り、患者の抱える問題の解決支援にあたる。
判定 承認
No.721 申請者:精神科医長 橋本聡
課題名 救命救急センターに搬送された自殺未遂者の自殺企図の再発防止に対する複合的ケース・マネージメントに関する患者登録研究
研究概要 自殺死者を減らす目的で1次から3次の自殺予防活動が実施されるが、自傷行為や自殺未遂の既往は将来的な自殺死亡を強力に予測することから、自傷行為・自殺未遂が発生した直後の介入(2次予防)は自殺危機介入と呼ばれ重視されている。本邦では、救命救急センターに搬送された自殺未遂患者への複合的ケース・マネージメント介入(ACTION-J研究)の有効性が無作為比較化試験によって実証され、既に平成28年4月より診療報酬に反映されている(救急患者精神科継続支援料)。ACTION-J研究の結果に沿って救急患者継続支援料は退院後半年までの継続的な支援が求められるところ、今回の共同研究により多数例を蓄積し1)介入の実施可能性を確認し、2)半年以降の自殺企図再発予防効果を確認する。
判定 承認
第9回倫理審査委員会(2017年2月21日)
No.718 申請者:腎臓内科医師 西口佳彦
課題名 非典型溶血性尿毒症症候群の診断・全国調査研究
研究概要 血液から取り出した遺伝子・血漿を調べることで、非典型溶血性尿毒症症候群の原因遺伝子、血液学的異常について、より正確な診断が可能になることを目的としている。
判定 承認
No.717 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 「InterimPETに基づく初発進行期ホジキンリンパ腫に対するABVD療法およびABVD/増量BEACOPP療法の非ランダム化検証的試験.JCOG1305」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.0
研究概要 事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG1305に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.716 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 「成人T細胞白血病・リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植療法を組み込んだ治療法に関する非ランダム化検証的試験.JCOG0907」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.0
研究概要 事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0907に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.715 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 高リスクDLBCLに対する導入化学療法(bi-R-CHOP療法またはbi-R-CHOP/CHASER療法)と大量化学療法(LEED)の有用性に関するランダム化第II相試験JCOG0908」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.0
研究概要 事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0908に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.714 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 再発・再燃・治療抵抗性の多発性骨髄腫に対するbortezomib+dexamethasone併用(BD)療法とthalidomide+dexamethasone併用(TD)療法のランダム化第II相試験.JCOG0904」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.0
研究概要 事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0904)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.713 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 未治療のCD20陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対するR-CHOP療法におけるRituximabの投与スケジュールの検討を目的としたランダム化第II/III相試験.JCOG0601」のJCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンクver2.0
研究概要 事前に計画された資料解析研究の有無によらず、JCOG試験(以下本体試験:承認されているJCOG0601)に登録された患者の資料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的とする。
判定 承認
No.712 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 アグレッシブATL前向きコホート研究
多施設共同前方視的観察研究不随研究/検体バンキングVer2.1
研究概要 本不随研究は、「アグレッシブATL前向きコホート研究」(以下、本研究)に登録された患者試料を、診断時だけではなく再発時や移植時に定期的に収集する。収集した資料を用いて様々な解析を行うことにより、治療反応性や予後を予測する新しいマーカーを同定し、ATLに対する治療の最適化を目指すことが目的である。
判定 承認
No.711 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 アグレッシブATL前向きコホート研究多施設共同前方視的観察研究
研究概要 本研究の主たる目的は、移植適応となる70歳以下の進行期ATL患者を前向きに登録し、ATL診療の全体像を把握するとともに、本研究と既報の治療成績を比較検討する。
判定 承認
No.710 申請者:副薬剤部長 鶴﨑泰史
課題名 病棟薬剤業務での疑義照会による有害事象回避事例件数の推移に関する多施設共同前向き観察研究
(副題)有害事象回避事例率と病棟薬剤業務の成熟度の相関について
研究概要 薬剤師の病棟薬剤業務では、医療安全の向上に寄与する目的で、各施設において種々の取り組みが行われている1)。特に疑義照会は、医薬品のリスクを回避するための重要な手段であり、病棟薬事業務により疑義照会件数と有害事象回避事例(禁忌、副作用、容量超過、重複等)件数が増加することが報告されている2,3)。
多施設共同で病棟薬剤業務の要因情報の共有が、疑義照会および有害事象回避事例件数増加につながることを立証する。結果、情報を共有することにより病棟薬剤業務の質が向上し、患者の薬学的管理と処方提案を的確に実施できる上、有害事象等の危険を回避、医薬品の適正使用の推進を図ることが可能となる。また、併せて疑義照会及び優良事例件数増加に伴う病棟薬剤業務実施背景についても調査を行い、今後、実施加算を取得する施設や現在取得している施設の業務改善の一助となる因子について検討する。
判定 承認
No.708 申請者:薬剤部調剤主任 横田千明
課題名 シスプラチン投与時の腎機能障害のリスク因子の解析;多施設共同後ろ向き観察研究
研究概要 シスプラチンは多くの癌腫において頻用される抗悪性腫瘍薬の一つである。シスプラチンによる副作用として、悪心・嘔吐、骨髄抑制、腎機能障害といった副作用があるが、中でも腎機能障害は重大な副作用として位置づけられ、用量規制因子の一つとなっている。
本研究では、腎機能障害の発現状況を多施設共同で後方視的に調査し、リスク因子を明らかにすることを目的とする。腎機能障害の発現状況を調査し、リスク因子を明らかにすることで、予防法の標準化、最適化につながり、患者ケアの質の向上、医療安全への貢献にもつながることが期待される。
判定 承認
第8回倫理審査委員会(2017年1月17日)
No.707 申請者:消化器内科部長 杉和洋
課題名 高度腎機能障害を合併するC型慢性肝疾患に対するダクラタスビル/アスナプレビル治療の有効性・安全性を検証する観察研究
研究概要 維持透析例を含めた高度の腎機能障害を合併するジェノタイプ1型(GT1)のC型慢性肝炎または代償性肝硬変におけるダクラタスビル(daclatasvir,DCV)/アスナプレビル(asunaprevir,ASV)による抗ウイルス治療の有効性と安全性を評価することを目的とする。高度腎機能障害例において本治療の効果、安全性を評価し、治療不成功例の特徴を明らかにすることは、今後の新規薬剤の登場までの治療待機を含めて、適切な治療法を選択するうえで重要と考えられる。
判定 承認
No.706 申請者:看護師 香月麗
課題名 「熊本地震におけるストーマ保有患者の体験」-急性期から亜急性期まで-
研究概要 熊本地震において、ライフラインが復旧していない急性期から亜急性期に着目し、インタビューガイドを用いて熊本地震で被災したストーマ保有者の体験を明らかにすること。
判定 承認
No.705 申請者:小児科医長 緒方美佳
課題名 熊本地震におけるアレルギー児の保護者へのアンケート調査
研究概要 アレルギー疾患を有する児が熊本地震にてどのような影響を受けたかを調査し、今後の対応を検討する。
平成28年14年4月14日、16日に発生した熊本地震では、食物アレルギー児とその家族にも大きな被害をもたらした。ライフラインが破綻し、調理ができない状況で、少量の鶏卵、牛乳、小麦でも症状を起こす食物アレルギー児は、配給のパンや炊き出しの食事も摂れなかった。しかし、食物アレルギー児はアレルギーの原因となる食品を食べない限り健康であるため、行政の対応は不十分であった。
判定 承認
No.704 申請者:総合診療科医長 辻隆宏
課題名 家族性地中海熱の発症に関わるバイオマーカーと遺伝因子の網羅的解析
研究概要 家族性地中海熱(FamilialMediterraneanFever;FMF)は、周期性発熱、漿膜炎を主徴とするMEFV遺伝子の変異で発症する遺伝性自己炎症性疾患である。これまでの全国調査により、日本にも多数のFMFの患者が存在することが明らかになったが、MEFV遺伝子以外の遺伝的要因の存在が考えられている。
本研究では、FMFの遺伝子診断を受け臨床症状と合わせFMFの確定診断がなされた症例を対象に、FMFの責任遺伝子であるMEFV遺伝子に加えFMFの発症に関わる遺伝子を網羅的に解析し、FMFの発症に関わる新たなバイオマーカーと遺伝子を同定し、より正確なFMFの遺伝子診断法を確立させることを目的とする。新たな遺伝子診断による早期診断、早期治療により患者の予後を改善させること、自己炎症疾患そのものの病態解明において本研究は大きな意義をもち、将来は研究参加者の治療方針の決定に役立つ可能性がある。
判定 承認
第20回迅速審査(2017年1月18日)
No.702 申請者:総合情報センター部首席主任医師事務作業補助者 園田美樹
課題名 業務環境改善のためのドクター秘書アンケート
研究概要 ドクター秘書は部門として管理しているが、日常業務の指揮命令系統は各診療科医長 である。各診療科毎に業務を遂行しているため、個人が抱える問題点を明らかにすることができないため、改善に繋げることができていない。
業務環境の問題点を把握し改善すること、および時間をかけて大切に教育を行い、実務経験を重ねた人材の離職を防止することを目的としている。
判定 承認
第19回迅速審査(2016年12月21日)
No.702 申請者:救命救急部医師 金子唯
課題名 気道熱傷疑い症例における受傷起点の検討
研究概要 気道熱傷は、熱傷症例の予後悪化因子の一つであるが、救急現場における診断・判断は困難である。今回、気道熱傷疑いで搬送された症例の受傷起点から、気道熱傷有無の予測について検討する。
判定 承認
第18回迅速審査(2016年12月20日)
No.701 申請者:看護師長 沖田典子
課題名 A病院の看護師長の承認行為と看護師の職務満足度に与える影響
研究概要 臨床で働く看護師が質の高い看護を提供するには、仕事の継続性と経験の豊富さが必要であるといわれている。看護師が職場に適応し、長く働き続けられる職場環境をつくるためには、看護師長の役割が重要となる。先行研究では、看護師長の承認行為が、職務満足度と中等度の相関があり看護師定着につながると報告されている。
今回、看護師の職務満足に看護師長の承認行為が、影響しているのか検証したいと考え、研究に取り組むことにした。看護師長の承認行為の調査には、信頼性と妥当性が高いと立証されている萩本らの「看護師長の承認行為尺度」を用いて調査を行い、看護師には尾崎らの『看護婦の職務満足度尺度』を用いて調査する。
判定 承認
第17回迅速審査(2016年12月14日)
No.698 申請者:看護師 藤川美和
課題名 臨地実習指導に関わる看護識者の看護実習における認識について
研究概要 当病棟では現在、3施設からの看護学生の臨地実習を受け入れており、実習が重なる期間は受け入れる実習生も増え、臨地実習指導者だけでは対応するのが難しい。そのため、日々の看護計画や看護ケア・看護技術の指導は実習生の受け持ち患者を担当する看護師が行っている。臨地実習指導に関わる看護師が実習指導を担うことについてどう認識し、関わっているかを明確にすることで、今後の病棟での実習受け入れ体制の改善に活かしたい。
判定 承認
第7回倫理審査委員会(2016年12月20日)
No.700 申請者:看護師 前田果歩里
課題名 精神科病棟におけるロールプレイング法を用いた教育的介入の持続的効果に対する研究
-1年後の調査を通して-
研究概要 精神科病棟に勤務する新人看護師が、患者対応で困難に感じる内容についてロールプレイング法を取り入れた教育を行うことで、希死念慮の確認やコミュニケーションスキルの向上に繋がり、教育的効果が持続しているか検証する。
判定 承認
No.699 申請者:病理診断科部長 村山寿彦
課題名 造血器疾患の進展に関与する分子の病理学的解析
研究概要 造血器疾患は複数の遺伝子の異常によって発生することが多い。加齢に伴う骨髄変化や白血病をはじめとした造血器疾患の腫瘍性変化を、正常造血の維持や腫瘍性増殖において必要とされる因子に焦点を絞って、その発現を病理学的に解析することで、新たな診断や治療への応用が開けると考えている。
判定 承認
No.697 申請者:腎臓内科医長 尾上友朗
課題名 成人紫斑病性腎症の予後に関する観察研究(コホート研究)
研究概要 紫斑病性腎炎(Henoch-Schönleinpurpuranephritis:.HSPN)は、IgA血管炎(2012年のChapelHillConsensusConferenceより名称変更)の30~60%にみられる腎病変であり、臨床的には血尿・蛋白尿あるいは腎機能障害を呈し、病理組織所見ではメサンギウム増殖を伴う糸球体腎炎所見とIgAの沈着を特徴とする。現時点で明確な発症機序は不明であるが、IgA腎症と同様に糖鎖不全IgA1の関与を示唆する報告も見られる。
我々は、日本腎臓学会主導で2007年より開始された腎生検レジストリー(JapanRenalBiopsyRegistry:J-RBR)を用いた公募研究として、2007年~2012年に登録されたIgA腎症5,679例と紫斑病性腎炎513例の臨床病理学的比較を行った。その結果、紫斑病性腎炎の年齢は0~19歳の小児と60~69歳の高齢層に2峰性のピークを有する分布をしていることが分かった。
今回我々は、日本の大規模腎生検データベースであるJ-RBRの一次調査の結果に基づいて、成人および高齢症例の予後調査を実施し、両年齢群の腎および生命予後の違いを明らかにすることを本研究の第一目的とする。また、両群にどのような初期治療の介入がされていたか、あるいは治療に伴う副作用がどの程度みられたか、その実態を明らかにすることを第二目的とする。
今回の検討の結果、成人および高齢発症紫斑病性腎炎症例への初期治療と予後の実態が明らかになるとともに、予後の新たな治療方法の検討や病態解明に有益な知見が得られると考える。
判定 承認
No.696 申請者:腎臓内科医長 尾上友朗
課題名 成人ループス腎炎の予後に関する観察研究(コホート研究)
研究概要 全身性エリテマトーデス(SLE)は20~40歳代の女性に好発する全身の炎症性疾患である。特定疾患医療給付制度(現在の指定難病制度)では3番目に受給者数が多く、2014年度の受給者は6.4万人にのぼる。腎臓はSLEの重要な標的臓器であり、SLEの重要な標的臓器であり、SLEの経過中に40~80%でループス腎炎を発症する。
わが国のループス腎炎の疫学的研究に関しては、金沢大学、群馬大学、岡山大学、金沢医科大学、北海道大学などから報告がなされているが、いずれも単一施設の報告であり、また過去16~36年間の長期間の観察研究で、現在のループス腎炎の診療実態を必ずしも反映したものではない。
日本腎臓学会のJ-RBR公募研究の二次研究として、J-RBRに登録され、2007年1月~2012年12月に腎生検時の臨床病理学的所見と、初期治療、腎予後、生命予後、合併症について、レトロスペクティブ後方視的なコホート研究を行う。まずループス腎炎全体ならびに各組織型による腎予後を明らかにすることを主目的とする。また各組織型における初期の治療内容と完全寛解率、経過中の生命予後、合併症などの実態を明らかにすることを副次目的とする。さらに腎予後、生命予後に関連するパラメーターについても副次目的として検討する。
判定 承認
No.695 申請者:循環器内科部長 藤本和樹
課題名 非弁膜症性心房細動を有する後期高齢患者を対象とした前向き観察研究
AllNipponAFInElderlyRegistry-ANAFIERegistry
研究概要 本研究は、非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する後期高齢患者(75歳以上)における抗凝固療法の実態及びその予後を明らかにするとともに、脳卒中/全身性塞栓症及び頭蓋内出血のリスク因子を特定し、直接経口抗凝固薬(DOAC)に最適な治療対象集団及びその使用法を明確にすることを主目的とする。また、副次的にNVAFに関連する種々のクリニカルクエスチョンについて検討する。
判定 承認
第16回迅速審査(2016年11月30日)
No.694 申請者:消化器内科部長 杉和洋
課題名 当院におけるDAA治療の現状および肝発がんの実態に関する検討
研究概要 C型慢性肝疾患に対する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の導入により99%以上のウイルス駆除が達成できるようになったが、DAA治療後の肝発癌抑止効果は未だ不明である。そこで当院におけるDAA治療の現状と、肝発癌症例の実態を検討する。
判定 承認
第15回迅速審査(2016年11月24日)
No.693 申請者:循環器内科部長 藤本和輝
課題名 簡便な新規心血管イベント予知マーカーによる効率的なハイリスク患者抽出法の確立
研究概要 近年、静脈血栓塞栓症(VTE)に対する新しい抗凝固薬が続々開発され、わが国でもX慢性腎臓病(CKD)は、本邦の約1300万人、成人の8人に一人が羅患する21世紀の新たな国民病であり、心血管疾患のハイリスク病態である。しかしながら、限りある医療資源を有効活用するためには、膨大な数のCKD患者全体ではなく、真のハイリスク群のみを抽出して先制医療を行う必要がある。
本研究の目的は、sFlt-1(およびその他の有力なバイオマーカー)がCKD(あるいは危険因子)を有する患者における心血管イベント予知マーカーになりうるかどうかを、国立病院機構のネットワークを生かした多施設共同前向きコホート研究で確認し、これらの患者から真のハイリスク患者を最も効率よく抽出する方法を確立することである。
判定 承認
第14回迅速審査(2016年11月15日)
No.691 申請者:5階南病棟看護師 渡邉梓
課題名 脊髄損傷患者に対する呼吸ケアの効果に関する考察
研究概要 脊髄損傷患者は呼吸筋を含めた広範な身体的麻痺により、肺炎や無気肺、換気障害を来たしやすい。当病棟は整形外科単科病棟であり、年に10名ほどの脊髄損傷患者が入院する。これまでは低位での受傷患者で呼吸障害を起こすことなく順調にリハビリ目的の転院ができていたが、本年度から高位受傷患者の救急搬送が目立ち、無気肺や換気障害を来たし重症化した事例が起きている。
生命の危機に陥りやすいこれらの病態を回避するためには、患者の神経障害の程度や呼吸状態に合わせた看護の計画と統一した呼吸ケアの実態が必要である。そこで脊髄損傷患者に対する呼吸ケアについての実態を明らかにし、それを踏まえたプロトコールを作成する。
判定 承認
第6回倫理審査委員会(2016年11月15日)
No.692 申請者:救命救急科医長 櫻井聖大
課題名 熱中症の重症化に関わるCPTⅡの遺伝子解析
研究概要 熱中症の死亡率はおよそ0.13%とされる。重症熱中症では多臓器不全が原因で死亡するケースが多いが、同様な受傷経過の患者の中でも、重症化する症例と比較的軽傷にとどまる症例とが存在する。
今回、37歳男性で重症熱中症による多臓器不全で死亡された症例を経験した。この方も速やかに体温コントロールが出来たにもかかわらず、最終的には多臓器不全となり、集中治療室での全身管理も奏功せずに死亡された。死後にご遺族の同意を得て病理解剖を行ったところ、肝はびまん性に壊死を起こし、腎は急性尿細管壊死を起こしており、救命は不可能と考えられるほどの臓器不全に至っていた。そのため、熱中症の重症化には何らかの素因があるのではないかと考えた。
CarnitinepalmitoyltransferaseⅡ(CPTⅡ)というミトコンドリア内のマトリックスに入った酵素の熱不安定性フェノタイプ症を呈する遺伝子多型が、熱中症の重症化に関与するという報告1)があり、本症例が多臓器不全から救命出来なかった原因として否定はできないと考え、同遺伝子の検査を行いたいと考えた。
判定 承認
No.690 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 成人T細胞白血病・リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植療法を組み込んだ治療法に関する研究JCOG0907ver2.1
研究概要 20歳以上から64以下までの成人T細胞白血病・リンパ腫患者は既存の化学療法だけでは根治が難しいため、同患者に対して導入化学療法と施行しながら、ドナーが確保された場合に同種造血幹細胞移植を積極的に施行する治療の有効性と安全性を検討する。
判定 承認
No.689 申請者:神経内科医長 平原智雄
課題名 経口抗凝固薬内服中に発症した脳卒中患者の登録研究
研究概要 脳梗塞・一過性脳虚血発作(Transientischemicattack:TIA)の発症予防や再発防止として、内服による抗血小板療法や抗凝固療法が行われる。脳梗塞/TIAの原因となり得る、主に心臓関連疾患(例:心房細動)を有する患者における脳梗塞/TIA発症予防としては抗凝固療法が行われる。
本研究では、経口抗凝固薬内服中に脳卒中(脳梗塞、脳出血、TIA)を発症した患者を前向きに登録し、NOAC内服中に発症した脳卒中の特徴、特に内服アドヒアランスと脳梗塞/TIA発症の関連、NOAC内服下に発症した脳卒中とワルファリン内服下に発症した脳卒中の差異を明らかにするため、多施設共同前向き登録研究を行う。
判定 承認
No.688 申請者:腎臓内科部長 富田正郎
課題名 尿中トロンビン活性測定による新規腎疾患診断法の確立に関する研究
研究概要 これまで、北本らは進行性糸球体腎炎において糸球体の管外増殖性病変に浸潤してきたmonocyte/macrophageが組織因子を発現し、その組織因子によって血液中から尿中に濾過されたプロトロンビンがトロンビンに活性化されることを証明した。さらに、尿中トロンビン活性測定法を新たに開発して尿中トロンビン活性を測定した検討において、尿中トロンビン活性の上昇と急速進行性糸球体腎炎の疾患活動性が相関することを明らかとした( PLoSOne.10:e0118704,2015)。元来、尿中トロンビン活性は本学分子病理学教室で測定されており、今回、企業との連携で、約15分程度で安価に尿中トロンビン活性の測定を可能とする装置が共同開発され、外来でも簡単に尿中トロンビン活性が測定可能となったことを受け、上記北本らの研究に着目し、急速進行性糸球体腎炎だけでなく、様々な腎疾患で大規模に尿中トロンビン活性を検討する本研究を発案するに至った。本研究では、この尿中のトロンビン活性測定装置を用いて、健診受診者や腎疾患患者の外来受診時に尿中のトロンビン活性を測定することによって、各種腎疾患との関連性を検討し、尿中トロンビン活性の上昇が、腎疾患の早期診断・再発を含めた腎疾患のスクリーニングとして有用であるかどうかを検討する。
判定 承認
No.687 申請者:循環器内科医長 松川将三
課題名 急性心筋梗塞患者を対象とした炎症マーカーMMPsに対するロスバスタチンの用量比較試験
研究概要 急性心筋梗塞(AMI)の患者を対象に、適正用量のロスバスタチンと低用量のロスバスタチンが炎症マーカーへ与える効果の違いを比較検討する。
判定 承認
第13回迅速審査(2016年11月1日)
No.686 申請者:手術室看護師 古閑詩織
課題名 熊本地震に関連した手術室勤務看護師の不安調査
研究概要 災害時、手術室看護師は手術中の患者の安全を確保しなければならない。今回、熊本地震に関連して手術室看護師が抱いた勤務に関する不安を調査する。これによって、現在の手術室における災害時の問題点を抽出し、実践に即した災害対策の強化に繋げる。
判定 承認
No.685 申請者:7階東病棟看護師 冨永絢子
課題名 褥瘡の局所管理に関する看護師の実態調査~褥瘡模型を用いて~
研究概要 A病棟では皮膚科・形成外科混合病棟であり、褥瘡を主とした入院患者も多数いる。当院での褥瘡の保守的治療では、医師からの軟膏の指示があり、看護師でドレッシング材や固定具を選択して処置方法を決定して実施している。局所管理において、看護師は日々褥瘡の観察をする中で、褥瘡治癒状況に合わせた薬剤やドレッシング材を選択する必要がある。
そこで、A病棟の看護師が行っている褥瘡処置の実態調査を行い、局所管理における看護師の処置技術やアセスメントを分析し、課題を明らかにすることで、スタッフの褥瘡に関するアセスメントや技術能力の向上へつながるのではないかと考え、この研究に取り組んだ。
判定 承認
第5回倫理審査委員会(2016年9月20日)
No.682 申請者:6階南病棟看護師 坂梨加奈
課題名 造血幹細胞移植を受ける患者の家族が抱える思いの分析
研究概要 A病棟では、年間約50例の造血幹細胞移植(以下移植)を行っている。移植を受ける患者は入院が長期におよび、治療に対する不安や死への恐怖を抱えており精神的負担が大きい。さらに、無菌治療室(個室)での治療という特殊な環境による精神的な負担や治療の影響で、全人的苦痛によりコミュニケーションが十分に取れないこともある。
そこで、治療段階における家族の思いや医療者に対するニーズを知り、治療段階に応じた家族への看護介入の必要性を明らかにすることで、移植患者を支える家族看護の充実につなげることができるのではないかと考えた。
判定 承認
No.681 申請者:麻酔科医長 小松修治
課題名 患者への痛み教育が術後痛に与える影響
研究概要 外科的手術後に遷延する痛みを訴える患者は少なくない。術後痛の慢性化には不安や抗うつ、痛みへの破局的思考などの心理的側面が影響を与える可能性が報告されているが、患者への痛み教育が術後痛に与える影響を検討した報告はない。本研究の目的は脊椎手術後や人口膝関節置換術後の患者への痛み教育が術後痛に与える影響について検証することにした。
判定 承認
No.680 申請者:小児科医長 緒方美佳
課題名 鶏卵粉末を用いた標準化された食物経口負荷試験の確立に関する多施設共同研究
研究概要 従来は1回の試験で陽性閾値を判定することが一般的である食物負荷試験において、複数回の日時に分けて少量から負荷試験を順番に行うことにより、安全に食物負荷試験を行うことが出来るかどうかを明らかにする。
判定 承認
第11回迅速審査(2016年8月30日)
No.679 申請者:循環器内科医長 宮尾雄治
課題名 PCI施行後の至適薬物治療に関する実臨床(real-world)での検討
研究概要 冠動脈カテーテル治療(PCI)施行後の患者を対象に、実臨床(real-world)における抗血小板薬を含めた薬物治療の安全性及び有効性の検討を行う。国内ではPCIの施行例は多数あるものの、その適応基準は統一されておらず、PCI施行後の抗血小板療法に関する指針も示されていなかった。本研究により、日本人患者におけるチエノピリジン系薬剤とアスピリンの二剤併用抗血小板療法を含めた薬物治療の有効性及び安全性に関する実臨床での情報が得られることで、冠動脈ステント留置術後の適切な薬物治療に関する指針が示されることが期待される。
判定 承認
第10回迅速審査(2016年8月23日)
No.678 申請者:消化器内科医長 二口俊樹
課題名 当科において保存的治療を行い軽快した門脈ガス血症症例の検討
研究概要 当院において門脈ガス血症が認められたが保存的に軽快した症例の検討を行う。
判定 承認
第9回迅速審査(2016年8月9日)
No.677 申請者:糖尿病・内分泌内科部長 西川武志
課題名 妊娠糖尿病の病態解析-インスリン治療を必要とした妊娠糖尿病患者の予測因子の解析と妊娠糖尿病患者の分娩後の耐糖能についての後ろ向き解析-
研究概要 妊娠糖尿病(GDM)は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下」と定義される。近年本邦では、女性のライフスタイルの変化に伴い晩婚、晩産化が著しい。加えて2010年のGDMの診断基準の変更により、GDM患者数は約3~4倍に増加している。EvaluationbyJapan.AssessmentofGDMScreening(JAGS)trialによると全妊婦に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を施行すると、その頻度は12.08%になると報告されている。
今回申請者らは、妊娠糖尿病の病態を解析する目的で、下記の2つの後ろ向き解析を行う。
1.食事療法のみで管理を行えた症例とインスリン治療が必要となった症例を比較検討し、インスリン治療の要否を予測する因子について検討する。
2.産後施行した75gOGTTの結果を解析し、GDM既往女性の非妊娠時の耐糖能について、その特徴を明らかにする。
判定 承認
第4回倫理審査委員会(2016年8月16日)
No.676 申請者:救命救急科医長 原田正公
課題名 急性一酸化炭素中毒レジストリ
研究概要 急性一酸化炭素(carbonmonoxide,CO)中毒の予後は、急性期の低酸素血症による障害と亜急性~慢性期における間歇型の発症により規定される。CO中毒間歇型は急性CO中毒の症状が改善したのち、2~40日(多くは1週間~1ヶ月)の無症状期を経て失見当識、記銘力障害、失禁、失行、人格変化などの多彩な精神神経症状を呈するものをいう。また、急性CO中毒急性期を過ぎても意識障害が遷延するものを遷延型という。
CO中毒間歇型の発症予防に高気圧酸素(hyperbaricoxygen,HBO)治療の有用性が認められたWeaverらの報告以後、急性CO中毒に対して多くの施設でHBO治療が施行されている。
本研究の目的は、急性CO中毒患者に対する急性期治療の現状を把握し、HBO治療の有無によりCO中毒間歇型の発症率および間歇型の改善率に違いがあるかを明らかにする。これにより、急性CO中毒の急性期治療としてのHBO治療の有用性が明らかになることが期待される。
判定 承認
第8回迅速審査(2016年8月2日)
No.675 申請者:地域医療連携室看護師長 田中富美子
課題名 在宅療養支援を目的とした看護師間の連携に関するニーズ調査
研究概要 医療・介護分野においては、2025年問題に向けて在宅医療や介護サービスの質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築が進められている。2016年度の診療報酬改定では、医療の連携、継続を進めるための在宅医療、訪問看護などの整備を含めた、効果的、効率的で質の高い医療提供体制の構築、地域包括ケアシステムの構築が課題となっている。その中で、退院支援担当者の選任配置や急性期病院の在宅復帰率が75%から80%に引き上げられるなど強化すべき課題が増えている。
今回、当院の開放型施設として登録された有床施設(県内)及び熊本県内の訪問看護ステーションの看護師を対象に、在宅療養支援における看護師の看看連携に関する質問紙調査を行い、お互いのニーズを把握するとともに看護師間の連携システム構築に向けた参考資料としたいと考え、調査を実施したい。
判定 承認
第7回迅速審査(2016年7月27日)
No.674 申請者:血液内科部長 日高道弘
課題名 重症熱性血小板減少症候群(SFTSV感染症)患者を対象としたファビピラビルの臨床試験
研究概要 重症熱性血小板減少症候群と確定診断された患者、又はSFTSV感染症が強く疑われる患者を対象に、ファビピラビルを10~14日間経口投与し、その有効性及び安全性を検討する。主要評価項目は投与開始後28日間の患者生存率とする。
判定 承認
第6回迅速審査(2016年7月12日)
No.673 申請者:救命救急科医長 北田真己
課題名 熱中症患者の医学情報等の即日登録による疫学調査(2016)
研究概要 本研究は、熱中症発生の実態調査であり、救急医療施設における熱中症患者の急増を即時に把握して、関係諸機関へ警告することを目的として行うものである。
研究の主管となる組織は日本救急医学会熱中症に関する委員会である。対象期間に熱中症で日本救急医学会指導医指定施設、救命救急センター、大学病院ならびに市中病院の救急部を受診し入院となった患者について、調査用紙にある基本情報の項目を記入し、Faxを用いて即時情報登録する。収集されたデータは解析した後に、気象庁や総務省消防庁のデータなどと統合し、的確な熱中症注意報を発令する方法の検討において活用される。
判定 承認
第5回迅速審査(2016年7月5日)
No.672 申請者:神経内科医師 平原智雄
課題名 脳梗塞治療患者を対象としたスタチン治療の開始時期に関する比較研究
研究概要 本邦における脳卒中の羅患率は、1998年および2008年の報告によると、急性心筋梗塞の4倍前後、年齢調整後死亡率は、急性心筋梗塞の約3倍との疫学研究の報告があり1),2)、欧米に比べてこの疾患の克服がより大きな課題となっている。また、2003年および2009年の本邦における病型別羅患率を見ると、脳梗塞は脳出血の2~3と高い傾向にある3)4)。
今回、高コレステロール血症(血清LDL-C値が100mg/dL以上、もしくは高コレステロール血症治療中)を合併した経口摂取可能な軽度脳梗塞患者[一過性脳虚血発作(TIA)および心原性を除く]について、入院直後(入院後24時間以内)ストロングスタチン投与開始群(Acute群)と入院7日後投与開始群(Stable群)にランダムに割り付けて、90日後の脳卒中による障害度をmodifiedRankinscale(mRS)により両群間で比較検討する。
判定 承認
第3回倫理審査委員会(2016年7月19日)
No.671 申請者:消化器内科医師 中垣貴志
課題名 熊本地震後の消化性潰瘍症例の後方視的視討
研究概要 2016年4月16日以降の熊本地震の消化性潰瘍への影響を明らかにすること。
判定 承認
No.670 申請者:神経内科医長 西晋輔
課題名 若年性脳梗塞の病態解明に関する研究
研究概要 超高齢化社会を迎える本邦において、脳梗塞は羅患人口の激増が予想される疾患である。神経画像検査の著しい進歩、rt-PA静注療法認可(2005年)、ならびに血管内治療のエビデンス蓄積(2015年)により脳梗塞に対する認識は「ひとたび発症したら治すことができない疾患」から「治療可能な疾患」と大きく変化している。
本研究の目的は、「若年者」を55歳以下と定義した上で、若年性脳梗塞症例を対象として全国多施設での前方視的登録研究を行い1)rt-PA静注療法認可後の本邦における若年性脳梗塞の病態を明らかにすること、2)若年性脳梗塞診療の新たな指針をしめすことである。
判定 承認
No.669 申請者:消化器内科医長 石井将太郎
課題名 10mm未満膵嚢胞症性病変の多施設前向き研究:すべての膵嚢胞症性病変は積極的な管理を必要とするか?
研究概要 10mm未満膵嚢胞症性病変症例を登録し、前向きに追跡調査を行い、その自然史悪性化、通常型膵癌発生について、病的意義を明らかにする。
判定 承認
No.668 申請者:小児科医長 緒方美佳
課題名 遷延する牛乳アレルギー児へのCa剤投与による骨密度増加効果の研究
研究概要 近年増加傾向にある食物アレルギー児の殆どは乳児期に発症する。加齢とともに食べられるようになり、小学校入学までに80-90%が寛解する。しかし、学童期まで遷延した場合、耐性獲得の可能性は低くなる。現在のところ確立された治療法はなく、最低限(量、期間)の除去食を行うしかない。
牛乳は鶏卵に次いで頻度が高い原因食物抗原である。効率よくカルシウム(Ca)を摂取できる食品であり、その除去を要する牛乳アレルギー児のCa摂取量は非常に不足しやく、非牛乳アレルギー児の50%であると報告されている。骨粗鬆症の原因の多くは、女子では10歳、男子では12歳より始まる第2次性徴期にCaまたはビタミンDの摂取が充分でなく、その人のpeakbonemassが低いためであると理解されており、牛乳アレルギー児では高率に骨粗鬆症の発症が危惧される。
本研究では乳児期より牛乳の除去を要し、寛解の可能性が低い、遷延する学童の牛乳アレルギー児について、Ca摂取量と骨密度測定により現在の骨量への影響を調査する。
引き続きCa内服またはCa剤とビタミンD剤を併用療法を行い、6,12,24ヶ月後に骨密度を測定し、その効果を検討する。
判定 承認
No.667 申請者:小児科医長 緒方美佳
課題名 遷延する食物アレルギー児に対する経口免疫療法
研究概要 遷延する重症食物アレルギー児の耐性を誘導し、アナフィラキシーなど重篤な食物アレルギー症状の出現するリスクをなくし、食生活の質を向上させる。
判定 承認
No.666 申請者:血液内科医長 井上佳子
課題名 成人T細胞白血病リンパ腫に対する移植後シクロフォスファミドを用いたHLA半合致移植の安全性・有効性検討試験
研究概要 同種移植の他に有効な治療法のない成人T細胞白血病リンパ腫(以下ATL)を対象としHLA半合致血縁ドナーからミニ移植を行い、GVHD予防として移植後シクロフォスファミドを用いる移植法の安全性および有効性の確認を目的とする。
判定 承認
No.665 申請者:血液内科部長 日高道弘
課題名 重症熱性血小板減少症候群(SFTSV感染症)患者を対象としたファビピラビルの臨床試験
研究概要 重症熱性血小板減少症候群と確定診断された患者、又はSFTSV感染症が強く疑われる患者を対象に、ファビピラビルを10~14日間経口投与し、その有効性および安全性を検討する。主要評価項目は投与開始後28日間の患者生存率とする。
判定 承認
No.664 申請者:薬剤部長 中川義浩
課題名 重症筋無力症の急性増悪の診断で入院したシベンゾリン中毒患者の1例
研究概要 重症筋無力症の急性増悪の診断で入院したシベンゾリンコハク酸塩中毒の症例について論文投稿する。
判定 承認
第3回迅速審査(2016年5月31日)
No.659 申請者:理学療法士 林田祐醍
課題名 大腿骨近位部骨折患者における認知症の有無と受傷前能力別の急性期病院歩行開始時期の比較-地域連携クリティカルパス-
研究概要 わが国では人口の高齢化に伴い大腿骨近位部骨折患者も増加傾向にある。老年人口がピークに達するといわれる2042年には、同骨折患者は総人口9938万人のうち3863万人になると推測される1)。大腿骨近位部骨折後はほとんどの症例で速やかな観血的治療がなされる。その際、術前後にわたって理学療法士は運動療法を施行し、運動機能の早期回復を図っている。術後の運動療法は受傷前の歩行能力を目標に、翌日から座位練習を開始し、平行棒内歩行、歩行器歩行および杖歩行と進めていく。
本研究の目的は、受傷前歩行能力と認知症の有無別に分類した急性期における歩行開始時期を比較することである。
1)日本整形外科学会、日本骨折治療学会監修:大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドライン改定第2版2011
判定 承認
第2回倫理審査委員会(2016年6月21日)
No.661 申請者:外科部長 宮成信友
課題名 RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験における治療感受性、予後予測因子の探索的研究
研究概要 RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験(PARADIGMstudy。臨床研究実施計画書番号:Panitumumab-3001。以下「主研究」)の不随研究として、主研究で得られた有効性の予測因子となり得るバイオマーカーの検討、血漿中遊離DNAと腫瘍組織における各種バイオマーカーとの関連性の検討、及び血漿中遊離DNAを用いて治療の介入に伴う各種バイオマーカーの変化と各種パラメータとの関連性を検討すること。
判定 承認
No.660 申請者:外科部長 宮成信友
課題名 RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験
研究概要 RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者を対象として、一次療法におけるmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法とmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法の有効性を検証することを、主目的とする。
判定 承認
No.658 申請者:診療放射線科技師 中村空也
課題名 低容量造影剤による体幹部CTA時の造影剤注入法の検討
研究概要 体幹部の3D-CTAは胸腹部大動脈瘤の形状や位置関係等の精査として確率された検査手法であり、当院でもステントグラフト内挿術の術前後検査としてよく用いられている。瘤の形状等を評価するために3D画像は必須であり、そのためには300HU以上のCT値を担保する必要があり、それには造影剤の使用量と注入速度が重要になる。X線CT撮影における標準化GALACTICでは胸腹部大動脈瘤の3D-CTAにおいて520~600mgI/kgのヨード量を必要としているが、当院では造影剤腎症(CIN)予防のため、eGFRが60ml/m/1.73m2未満の患者には放射線科医および主治医により指示された低容量造影剤(平均350mgI/kg)で検査を施行しなければならない。以前までの方法では、体重や造影剤量に関わらず注入速度を固定して検査を施行していたため、十分なCT値に達しないことがあった。そこで今回、体重および造影剤量に応じて、注入速度を変化させるフラクショナルドーズ法を用いることで、十分なCT値を担保できるのではないかと考えた。
判定 承認
第2回迅速審査(2016年4月28日)
No.657 申請者:看護師 田平佳苗
課題名 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケアの技術伝承Ⅱ
研究概要 誤嚥や誤嚥性肺炎は、脳血管障害や認知症に代表される器質的及び機能的な原因の他に、看護援助を含む環境的要因がある。看護師の食事介助やポジショニング技術の善し悪しは、食事の自立や誤嚥予防の重要なケアポイントになる。
我が国のポジショニング技術は、褥瘡分野で進化してきた経緯があるものの、誤嚥予防や食事の自立支援を目的とした看護の先行研究やテキストにも見当たらない。
本研究は、より多くの看護職のポジショニング及び食事援助技術の向上を図るため、ポジショニングと食事ケアの技術伝承を行い、その教育効果を検証することを目的とした。
判定 承認
第1回迅速審査(2016年4月6日)
No.656 申請者:救命救急科医師 金子唯
課題名 熊本県防災ヘリのドクターヘリ的運行実績の検討
研究概要 熊本県ドクターヘリは、ドクターヘリと防災ヘリの補完体制で運営されている。防災ヘリはドクターヘリ的運行であり、ドクターヘリと体制は異なる。
ドクターヘリの運行に関してはこれまでも数多くの報告があり、一定の知見が得られているものの防災ヘリのドクヘリ的運行についての知見は少ない。
熊本県防災ヘリは全国で有数のドクターヘリ的運行実績を持ち、その実績を検討することでより効率的な運行方法を検討する。
判定 承認
第1回倫理審査委員会(2016年5月17日)
No.655 申請者:循環器内科医長 宮尾雄治
課題名 PCI施行後の至適薬物治療に関する実臨床(real-word)での検討
研究概要 冠動脈カテーテル治療(PCI)施行後の患者を対象に、実臨床(real-word)における抗血小板薬を含めた薬物治療の安全性及び有効性の検討を行う。国内ではPCIの施行例は多数あるものの、その適正基準は統一されておらず、PCI施行後の抗血小板療法に関する指針も示されていなかった。本研究により、日本人患者におけるチエノピリジン系薬剤とアスピリンの二剤併用抗血小板療法を含めた薬物治療の有効性及び安全性に関する実臨床での情報が得られることで、冠動脈ステント留置術後の適切な薬物治療に関する指針が示されることが期待される。
判定 承認
国立病院機構熊本医療センター
860-0008 熊本県熊本市中央区二の丸1-5
TEL:096-353-6501 FAX:096-325-2519
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