診療実績このページを印刷する - 診療実績

症例数・治療・成績

病棟は常時30~40名の入院があります。令和4年度の新入院患者総数は1,445名でした。平均在院日数も10.5日です。外来はのべ12,248名(新患者紹介844名)の新患紹介・受診がありました。尿路悪性腫瘍を中心に診療を行っており、特に腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がんなど多くの患者様を紹介いただいています。

膀胱がん症例の約8割は内視鏡下切除(TUR-BT)にて治癒可能です(昨年度症例数234例)。内視鏡的治療が困難な浸潤性膀胱がんで膀胱温存を目指す場合は、放射線科の協力で抗癌剤動脈内注入療法を施行後、内視鏡切除術・放射線照射を追加します。膀胱全摘が必要な場合は、尿路変更としてストーマ(尿袋)の要らない自然排尿型新膀胱形成術(Studer変法)も取り入れ、個々の症例に応じた治療を行っています。現在までに約447例の膀胱全摘術を経験しており、症例数としては国内トップレベルです。

増加の著しい前立腺がんに対しては、まず針生検を行い病期診断を行った後、治療方針を決定します。ホルモン治療や手術療法、放射線療法(±ブラキセラピー)など、総合病院の特性を活かした治療選択枝を揃え対応しています。特にブラキセラピーは患者様の希望も多く、現在週1例のペースで施行し、治療開始より445名ほどの治療経験を得ました。初期のブラキセラピーの適応は低リスクの前立腺癌のみでしたが、現在では適応拡大され高リスクまで行うようになり、ブラキセラピー+外照射+ホルモン療法で行うトリモダリティではどの治療法にも負けない成績が示されています。ただ、照射線量が増加するにつれ合併症である放射線性直腸炎で苦慮する症例もでてきため、平成30年7月より全例にspace OARシステムを導入しました。これは前立腺と直腸の間に留置する合成吸収性スペーサーで、放射線治療を行う際に懸念される放射線性直腸炎の低減において臨床的な有用性が示されており、今後さらに低侵襲性の前立腺がん治療ができるものと確信しております。

腎臓がんに対しては鏡視下手術も含め、種々の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤による治療も行っています。さらに、小径腎がん(4cm以下)に対して凍結治療が可能になりました。がんを凍らせて死滅させる治療法ですが、局所麻酔下に可能なため、合併症や高齢、多発腫瘍などで標準治療である腎部分切除術ができない方や本治療を希望される方が対象になります。
治療診断の付きにくい腎盂・尿管腫瘍は積極的に尿管ファイバーを施行し、可能な症例については腎臓温存術も行っています。当科ではホルミウムレーザーに加え尿管切除刀も所有しているため、県内で唯一尿管内内視鏡治療が可能です。

女性の尿失禁手術(TVT,TOT手術)もこれまでに84例ほど行い、骨盤臓器脱手術TVMも81例、腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)も3例に行っています。
平成24年1月に全国に先駆け導入したグリーンライトレーザーによる経尿道的前立腺蒸散術(PVP)は出血もほとんどないため1週間弱の入院で治療可能です。現在までに547例程の患者様がグリーンライトレーザー治療を受けられました。前立腺肥大症の最新治療法として経尿道的前立腺吊上げ術(ウロリフト)を開始しました。

また、平成27年1月よりホルミウムレーザーを新たに導入し、尿管結石の治療も可能になりました。急性期病院の使命として、主に体外衝撃波治療で砕石できなかった患者様や全身状態が悪いリスクの高い患者様などを対象にしています。現在までに528名にレーザー結石破砕術を行いました。
令和3年度の麻酔科管理総手術件数は757件でした。