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症例数・治療・成績

2021年の血液疾患入院数は1048例(患者数525名)で、入院目的は化学療法645例、造血幹細胞移植50例、その他353例でした。2019年~2021年の主な診療疾患は以下の通りです。

延入院数(件) 2020年 2021年 2022年
急性白血病 260 231 202
悪性リンパ腫 303 409 355
骨髄異形成症候群など 76 85 98
多発性骨髄腫 87 95 65
成人T細胞白血病 56 51 25
血球減少症(1) 45 53 49
その他(2) 95 124 125
合計 922 1048 919

(1)再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血など
(2)移植ドナー、血液疾患以外など

新規患者数(人) 2020年 2021年 2022年
急性白血病 57 57 37
悪性リンパ腫 88 99 96
骨髄異形成症候群 31 46 41
多発性骨髄腫 42 42 34
成人T細胞白血病 18 16 13
その他腫瘍 32 40 26
血球減少症など(1) 82 87 54

(1)再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血など

1.血液疾患

急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、再生不良性貧血、溶血性貧血などの難治性貧血、成人T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患などの血液疾患に対する治療を行います。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)、JSCT(Japan Study Group for Cell Therapy and Transplamtation)、CHOT-SG(Clinical HematolgyOncolgy Treatment Study Group)、国立病院機構血液ネットワークなど国内の血液疾患を専門に診療するグループに属し、国内の各施設とも活発に交流を図り最先端かつ最良と考えられる治療を行います。

2.造血幹細胞移植

当センターでは適応に応じて自己末梢血幹細胞移植、同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植、臍帯血移植が可能です。また骨髄バンク、臍帯血バンクから認定された骨髄移植センターです。 医師、看護師、歯科医師、薬剤師、栄養管理士によるチーム医療をクリティカルパスを用いて行っています。2021年の移植症例数は自家末梢血幹細胞移植16例、同種移植が40例で、令和3年末までの移植総数は自家末梢血幹細胞移植308例、骨髄バンク移植235例、血縁者間移植440例、臍帯血移植228例とわが国トップクラスの症例数です。

熊本大学医学部血液内科などの熊本県下の主要な血液専門病院と毎月1回造血幹細胞移植連絡会を開催し、県下の移植症例のスムーズな医療連携を図っており、強力な連携体制をとっています。平成21年9月に完成した新病院には血液病棟に15床からなる無菌ユニットが設置されました。この無菌ユニット以外にも血液病棟本体の個室のうち2床はクラス10000の無菌室として可能な要件を備えており、さらに2015年2月には4床部屋2室、2016年および2018年にもそれぞれ4床部屋1室がクリーンルームに改装され最大33床の無菌室体制が可能となったため従来に比べ余裕を持って運用してゆくことが可能となりました。

国立病院機構熊本医療センター内科における造血幹細胞移植のあゆみ

1991 県内初の同種骨髄移植開始(2月21日)
無菌室1室設置(9月)、クリーンベッド購入(3台)
1992 本邦初の骨髄液の海外搬送(九州骨髄バンク)
(本院で骨髄液を採取し、ドイツ・ジュセルドルフへ空輸して移植した)
1993 自己末梢血幹細胞移植(PBSCT)の開始
1994 骨髄バンク(財)での、非血縁ドナーによる同種骨髄移植の開始(1994年度2例施行)
1995 同種末梢血幹細胞移植(PBSCT)の開始
1996 固形癌(精巣腫瘍)への自己PBSCTの開始
年間の造血幹細胞移植数25例に達す
1998 本邦初の成人の臍帯血幹細胞移植を施行
2000 ミニトランスプラント開始(2000年度2例)
2004 単行本“造血幹細胞移植の看護”を南江堂より出版
2006 同種移植数300例を超える
過去3年の年間平均同種移植数全国6位にランクされる
2007 造血幹細胞移植数500例に達す
2008 複数臍帯血移植の開始
2012 同種幹細胞移植数500例に達す
2014 「造血幹細胞移植の看護」の改訂版刊行
2015 4床部屋2室を無菌室に改装。無菌室は計25床に
2016 4床部屋1室を無菌室に改装。無菌室は計29床に
2018 造血幹細胞移植数1000例に達す
4床部屋1室を無菌室に改装。無菌室は計33床に
2019 同種移植のうち骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の全てで200例を超える
2020 造血幹細胞移植センターを設立
移植症例年次変化グラフ
造血細胞移植実施状況表
  • 2004年初版
  • 2014年改訂第2版
当センターの血液内科病棟に勤務しているスタッフだけで執筆しました。
血液疾患のクリティカルパスも実例を記述しており、2004年1月に発行し、お陰様で2014年に改訂版を刊行しました。

3.がん化学療法・緩和ケア

2008年2月、当センターが地域がん診療連携拠点病院に指定されたことにより、当科は外来化学療法、緩和ケアに力をそそいでまいりました。2015年からは腫瘍内科が正式に新設されたため外来化学療法や緩和医療に関して主な業務は引き継がれました。

4.その他

  • a)臨床研究・治験

    臨床研究では、我が国の最先端の各種の臨床研究に参加しています。さらに、国立病院機構ネットワークの基幹研究施設として共同研究に積極的に取り組んでおり、全国的に展開される血液疾患の治療研究にも参加しています。また、白血病、骨髄異形成症候群、リンパ腫、ATLなど数多くの臨床治験を受託し、期待される新規薬剤の開発にも貢献しています。

  • b)地域連携・クリティカルパス

    当センターは、地域連携・クリティカルパスに取り組んできましたが、当科でも、造血幹細胞移植、各種化学療法のクリティカルパスの作成を行い、日常診療に使用しています。
    現在は、電子カルテによるクリティカルパスを使用しており、さらに地域連携クリティカルパスを実施の段階に入っています。クリティカルパスを使用することにより、患者様へ治療や検査の日程などを具体的に説明可能となり、より安心した治療の提供が出来るようになりました。
    また、医療者側にとりましてもすべての職種の医療従事者が同じクリティカルパスを共有することでチーム医療が容易となりました。

報道発表

国立大学法人宮崎大学
国立大学法人京都大学
国立研究開発法人国立がん研究センター
公益財団法人慈愛会今村総合病院
独立行政法人国立病院機構熊本医療センター