国際医療協力このページを印刷する - 国際医療協力

ごあいさつ

院長写真
国立病院機構熊本医療センター(旧国立熊本病院)は、1985年(昭和60年)より国際医療協力を病院の大きな機能として掲げ、国際医療協力の基幹病院として活動してきました。

1986年に初めて個別研修受け入れを開始し、1989年からは当院主催での最初の集団研修コース「血液由来感染症 AIDS・ATL・肝炎B」をJICA(独立行政法人国際医療機構)の後援のもと開始いたしました。その後、集団研修コースは最盛期には9~10種となり、毎年70~80人の途上国医療従事者を受け入れてきました。

1992年10月には、国際医療協力を研究主題とする臨床研究部が設置され、海外研修員との共同研究が開始され、現在まで国際学会発表、英文論文などで多くの成果を報告してきました。1996年には、当院主催の「血液由来感染症コース」をモデルとした集団研修コース「感染症診断」を、エジプト(スエズ運河大学)で開催する第3国研修が開始され、当初より当院から毎年2名の講師を派遣いたしました。

当院との姉妹施設締結が、2000年にエジプト・スエズ運河大学医学部付属病院と、2002年に中国・広西医科大学付属第一病院と、2009年にエジプト・ファイユーム大学医学部付属病院と、同2009年にタイ・コンケン病院となされました。

1986年から2017年まで集団、個別併せて計122か国1602人の研修員を受け入れてきています。また、1987年より現在(2016年4月)まで、技術援助、指導の目的でのべ109回にわたり当院のスタッフを、途上国に派遣してきています。

全世界にわたる新型コロナウイルス感染症の猛威により、現在は休止を余儀なくされていますが、国際医療協力は当院の大きな柱であり、今後も継続してさらに発展させて行く予定です。

院長 髙橋毅

最近の国際医療協力と予定

2020年度

  • JICA理事長賞受賞
  • 熊本医学会奨励賞受賞

2019年度

  • 2019年度課題別研修「重症感染症などのアウトブレイク対応強化のための実地疫学(管理者向け)」(11月19日~12月13日)
    当院での研修:12月9日~12月13日
    感染症内科部長・国際医療協力室長 小野宏
  • 「ウイルス肝炎対策セミナー」エジプトにフォローアップ調査と現地視察
    10月11日~10月20日
    診療部長・消化器内科部長 杉和洋
  • JICAのフォローアップ前のスカイプ会議
    9月19日
    診療部長・消化器内科部長 杉和洋
    JICA本部 芳野あき様
    エジプトの保健省の先生
    集団コースの研修生

国際医療協力事業

当院での国際医療協力事業は大きく2つに分けることができます。ひとつは海外よりの医療技術者を受け入れての研修であり、いまひとつは当院のスタッフの海外派遣による医療技術の指導伝達です。当院は国の政策医療を担う熊本県の拠点病院であり、日常診療に全スタッフが従事しているため、スタッフの長期の海外出張は困難であることから、前者の海外からの医療従事者の国内研修にその重点が置かれています。

海外からの医療従事者の研修受け入れ

研修員の受け入れ形態として、個別研修と集団研修がありますが、当院のその多くは集団研修です。平成20年度まで集団、個別併せて計119か国1313人を受け入れてきました。エリア別では、アジア地区が最も多く、最近はアフリカ地域が多くなりつつあり、次いで南アメリカ、中近東、中央アメリカの順となっています。熊本滞在での宿舎は、当院内の教育研修棟であり、全室個室、バス、トイレつきです。現在同時に20名が入室可能です。食事は原則として自炊で、このことが研修員に対して食事面、精神面、経済面で好影響を与えています。

集団研修

発展途上国の医療で問題となっている重要なテーマを取り上げ、研修コースを作成し、通常5ないし10人の範囲内で1から6ヶ月間の研修を行っています。本事業は、ほとんどがJICAからの依頼で、集団研修事業が行われています。各集団研修コースは、研修リーダーとこれに関連するスタッフによりプログラムが作成され、講義と実習、見学が行われますが、これにかかわる講師陣には本邦で得られうる最高の方々にお願いすることにしています。したがって講師は広く全国の大学および研究機関に依頼し、また実習および見学についても、県内外の多くの施設にお願いしており、このため国内を移動することもあります。

個別研修

依頼の多くは、熊本県であり、熊本県が行っている海外技術研修員受け入れ事業の中で、医学関係の研修員を昭和61年より受け入れ、約10ヶ月間、当院を中心に臨床研修を行っていました。したがって研修員は、熊本県と密接な関係にある中国広西チワン族自治区、熊本県人会のある南米などが多数を占めていましたが、当院と密接な共同研究を行っているエジプト、バングラデシュなども含まれています。しかし、最近は我が国の財政事情が急迫していることより受け入れ人数がわずかになってきており、医学関係はほとんどなくなっています。

海外派遣

現在、毎年定期的に当院スタッフを派遣しているプロジェクトは一つになりましたが、過去には多くの研修コースのフォローアップなどで発展途上国への短期出張を多数行ってきました。