【第213号】肺血栓塞栓症、下肢静脈超音波(エコー)検査 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第213号】肺血栓塞栓症、下肢静脈超音波(エコー)検査

くす通信

肺血栓塞栓症、下肢静脈超音波(エコー)検査

 【肺血栓塞栓症】

 血栓が血流に乗って肺へ流れ肺動脈が詰まると、肺塞栓症となります。肺動脈が詰まるとその先に血液が流れないため、酸素を取り込めなくなります。
急性肺血栓塞栓症の90%以上は下大静脈系の深部静脈血栓症から遊離した血栓によるものであり、急性肺血栓塞栓症は、深部静脈血栓症の合併症です。


① 深部静脈に血栓ができる

② 血栓が血液の流れに乗って、心臓から肺動脈に流れていく

③ 血栓が肺動脈で詰まる

④ 血液が肺から酸素を受け取ることができなくなる

⑤ 全身の酸素不足

⑥ 自覚症状は、呼吸困難と胸痛などですが、動悸、冷汗、チアノーゼ、静脈怒脹、血圧低下、意識消失なども生じます。急激かつ広範囲に肺塞栓を生じた場合、心肺停止となり、突然死することもあります。



以下のような方法で診断します

1)血液検査:Dダイマー上昇
2)動脈血液ガス分析:低酸素血症
3)血管エコー、心エコー:血栓像の描出、右心系の拡張
4)造影CT:血栓の部位、量を診断

 治療は、症例に応じて、抗凝固療法(血栓を予防する)と血栓溶解療法(血栓を溶かす)を使い分けます。残存する深部静脈血栓の状態を評価し、下大静脈フィルターを留置することがあります。また、重症例の場合、経皮的心肺補助(PCPS)や外科的血栓摘除術も行います。

 60代、男性 、突然 呼吸困難を自覚し、救急車で来院されました。
 血圧=80/50、脈拍=100/分、血中酸素濃度=80%でした。酸素を、リザーバーマスク 10L/分で投与しても、血中酸素濃度=93%でした。
 急性肺血栓塞栓症を疑い、造影CTを行ったところ、左肺動脈起始部(図1、矢印)に多量の血栓を認めました。血圧が低下していましたので、クリアクター(血栓溶解剤)で治療を開始しました。血圧がすみやかに上昇し、1時間後に鼻カニューラ 3L/分で血中酸素濃度=99%まで上昇しました。治療後の造影CTで確認すると血栓が縮小していました(図2、矢印)。


お困りのことがございましたら、お気軽に相談ください。


(循環器内科部長  藤本 和輝)

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 【「下肢静脈超音波(エコー)検査」って何?】

 超音波(エコー)検査とは、人の耳には聞こえない音(超音波)をプローブと呼ばれる探触子から発信し、体内の臓器や血液の流れる様子をモニター画面に映し出す検査のことです。放射線を使った検査に比べ、被曝の心配がなく痛みも伴わない検査なので繰り返し行うことができ,胎児や妊娠中の方でも安心して検査を受けていただけます。


 当院では、主に足の腫れやむくみ、血液検査で血栓(血液の塊)ができている可能性が疑われた患者さまをはじめ、ベッド上で長期臥床状態の患者さまや難治性の潰瘍がある患者さまなどを対象に検査が行われます。お聞きになったことがあるかもしれませんがエコノミークラス症候群(ロングフライト症候群)が疑われる際にも積極的に検査を行います。記憶に新しいのが、熊本地震の際、車中泊や避難所生活をされ、足の腫れやむくみを自覚された多くの患者さまにも検査が行われました。


 下肢静脈超音波検査で具体的に診ているのは足の付け根(鼠径部)から足首の手前までの領域に流れている大きな血管になります。深いところを流れている血管(深部静脈)と皮膚に近い表層を流れる血管(表在静脈)を検査の対象としています。

 深部静脈においては、血栓と言われる血液の塊がないかどうかを調べます。血栓はベッド上での長期臥床やエコノミークラス症候群に代表されるように足を動かさない状態が長く続くことによりリスクが高まります。さらに血栓ができてしまい、不幸にしてその血栓が飛散してしまうと、藤本先生が解説していますように、肺動脈血栓塞栓症(肺梗塞)を起こし、命に係わることもあります。血栓ができることを未然に防ぐことや、できてしまった血栓を超音波検査で早期に発見することは、非常に重要なことなのです。

 他にも静脈には逆流を防止するための弁がありますが、その弁が壊れていることが原因で足の腫れやむくみ、静脈瘤(足の表面にミミズのように浮き出てしまう血管)ができてしまうこともありますが、超音波検査はこういった症状の原因究明にも一役を担っています。

 当院ではこういった症状のある患者さまを専門の先生の指導の下、超音波認定を持った臨床検査技師が検査をさせて頂きます。お困りのことがございましたらかかりつけの先生に是非ご相談ください。

(臨床検査科 生理検査室主任 竹内 保統)


診療科の特色

<循環器内科>

藤本 和輝 部長、
宮尾 雄治 医長、
松川 将三 医長、
松原 純一 医長、
山田 敏寛 医師、

中嶋 直也 医師 の6人で診療を行っています。

 平成22年9月新病院に移転以降、CCUが新設され、医師が24時間常駐し、更に、平成23年6月15日からヘリポートが開設されました。スタッフも6人となり、より多くの患者さまを受け入れるようになりました。


認定機関 日本循環器学会研修施設、
日本心血管インターベンション治療学会研修施設
診療実績(平成29年度)
入院患者数834名
平均在院日数10.1日
経皮的冠動脈形成術242例
急性心筋梗塞142例
経皮的血管形成7例
ペースメーカー植え込み術68例
埋め込み型除細動器植え込み術9例

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休診日 土・日曜日および祝日

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