現在進行中の臨床研究

重症敗血症性ショック患者の背景や治療実態、予後を観察する登録研究
Best-Available Treatment for Septick Shock Registry (BEAT-SHOCK Registry)

  • 研究概要

    敗血症は感染症により多彩な臓器障害が生じた病態であり、様々な集学的治療にも関わらず死亡率の高い重症病態の一つであるが、敗血症性ショックそのものをターゲットにした治療法は確立されていない。
    今回我々は、敗血症性ショック患者を対象に多施設登録研究を行い、患者や予後についての詳細なデータを集積することで、日常診療における治療実態と治療成績を解析し、有効な治療の有無やその予後改善効果などについて幅広く探索する。我が国の日常診療の中で、救命や長期機能予後に関係する可能性のある治療を探索し、世界へ発信する。

  • 主任研究者

    川副友(東北大学大学院医学研究科外科病態学講座救急医学分野)

  • 分担研究者

    原田正公

  • 研究期間

    2019年9月(倫理委員会承認後)〜2024年3月

院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法の有効性の検討(第U相試験:多施設介入研究)

  • 研究概要

    院外心停止患者は年間約10万人以上発生している。このうち、心原性は約6万人、目撃ありは約2万人と言われ、その2万人の1か月生存率は約8%、社会復帰率は約4%にすぎない。このように非常に予後が悪い原因は心停止後症候群である。心停止後症候群に対する標準的医療は呼吸循環の支持療法が主体である。近年、体温管理療法が導入され、一定の成果を上げており、保険収載されている。
    また近年、水素ガスが虚血再還流障害に有効であることが報告されている。水素ガスはフリーラジカルスカベンジャーであり、分子量が小さくすぐれた拡散能を有するため、血流に依存せず細胞に到達する。慶應義塾大学では、ラット心停止モデルを用いた実験で水素ガス吸入と体温管理療法を組み合わせることで最大の脳保護効果を発揮することを報告している。また水素ガス吸入の人に対する実績はすでにあり、全制覇知られている。また慶應義塾大学病院では急性心筋梗塞患者、院外心停止後症候群患者に対して水素ガス吸入療法の臨床試験(安全性試験)を世界に先駆けて行い、安全性が証明されている。
    本研究は、院外心停止症候群に対する水素ガス吸入療法の有効性を検証するための多施設共同前向き介入研究である。


  • 水素ガス吸入療法

  • 主任研究者

    鈴木昌(慶応義塾大学病院)

  • 分担研究者

    原田正公(救命救急・集中治療部) 藤本和輝(循環器内科) 他

  • 研究期間

    2017年12月〜約3年間

終了したの臨床研究

急性一酸化炭素中毒レジストリー Carbon monoxide Poisoning in Japan(COP-J) study

  • 研究概要

    急性一酸化炭素 (carbon monoxide, CO) 中毒の予後は、急性期の低酸素血症による障害と亜急性〜慢性期における間歇型の発症により規定される。CO中毒間歇型は急性CO中毒の症状が改善したのち、2〜40日(多くは1週間〜1ヶ月)の無症状期を経て失見当識、記銘力障害、失禁、失行、人格変化などの多彩な精神神経症状を呈するものをいう。また、急性CO中毒急性期を過ぎても意識障害が遷延するものを遷延型という1)。
    CO中毒間歇型の発症予防に高気圧酸素(hyperbaric oxygen, HBO)治療の有用性が認められたWeaverらの報告2)以後、急性CO中毒に対して多くの施設でHBO治療が施行されている。しかしながら、その後のRCTではHBO治療の優位性が示されておらず3)、現状では急性CO中毒に対するHBO治療は明確なコンセンサスを得られていない。従って、現在の我が国の急性CO中毒の急性期治療は、HBO治療装置の有無によって施設ごとに内容が異なるのが現状である。
    そのため、急性CO中毒に対する急性期治療の現状とその効果を把握するために、多施設共同前向き観察研究としてCO中毒患者のレジストリーを行う必要があると考えられる。
    本研究の目的は、急性CO中毒患者に対する急性期治療の現状を把握し、HBO治療の有無によりCO中毒間歇型の発症率および間歇型の改善率に違いがあるかを明らかにする。これにより、急性CO中毒の急性期治療としてのHBO治療の有用性が明らかになることが期待される。

  • 研究代表者

    山口大学医学部附属病院先進救急医療センター(救急・総合診療医学講座)教授 鶴田良介

  • 分担研究者

    原田正公

  • 研究期間

    2015年10月1日〜2019年3月31日

敗血症性播種性血管内凝固症における予後予測因子としてのProtein C活性の検討

  • 研究概要

    さまざまな病気や怪我、大手術や重症感染症といった、いわゆる「重症」な状態になると、血液の流れを一定に保つ仕組みのバランスがくずれてしまい、体中に血の塊ができて血管が詰まったり、逆に異常な出血を起こしたりします。この状態を播種性血管内凝固症(DIC)といい、重篤な状態です。重症感染症にDICを合併すると死亡率は30~40%に上ると言われていますが、この病気についてはまだ不明な点が多いのが現状です。そこで、全国の国立病院機構の救命救急センターで共同研究を行い、重症感染症に伴うDICの予後予測因子について調査を行います。

  • 患者様へ

    感染症が原因でDICを起こした患者様の血液検査データや原因疾患と、30日後の生存率やDICの離脱率などとの関連を調べます。本研究は観察研究です。血液検査は行いますが、通常診療の範囲内での採血であり、かつ保険診療内での検査になります。本研究の参加の有無で治療内容や予後に影響が出ることはありません。個人情報は匿名化を行い管理します。

  • 主任研究者

    櫻井聖大

  • 分担研究者

    七戸康夫(国立病院機構北海道医療センター 救命救急センター長)
    山田康雄(国立病院機構仙台医療センター 救命救急センター長)
    安田貢(国立病院機構水戸医療センター 救命救急センター長)
    小池俊明(国立病院機構高崎総合医療センター 救命救急センター長)
    古谷良輔(国立病院機構横浜医療センター 救命救急センター長)
    西山慶(国立病院機構京都医療センター 救命救急センター長)
    定光大海(国立病院機構大阪医療センター 救命救急センター長)
    鈴木秀一(国立病院機構名古屋医療センター 救命救急センター長)
    川崎貞男(国立病院機構南和歌山医療センター 救命救急センター長)
    藤原紳祐(国立病院機構嬉野医療センター 救命救急センター長)

  • 研究期間

    2015年10月1日〜2017年12月31日

心拍再開した院外心停止患者における頭部CTの灰白質と白質のCT値による神経学的予後に関する研究

  • 研究概要

    院外心停止は本邦では約10万人/年発生しており、1か月後の神経学的予後良好者は約2.5%と極めて低いのが現状です。心拍再開した院外心停止患者の神経学的予後予測に関しては血液検査、画像検査、脳波検査などが研究されていますが、その中でも頭部CT検査は院外心停止患者を受け入れているほとんどの施設で行うことができる検査であり、これで神経学的予後予測ができれば、ご家族の方への予後の説明をより根拠をもって行うことができます。そこで、国立病院機構の救命救急センターで多施設での観察研究を行い、臨床的に役に立つかどうかを検討します。

  • 患者様へ

    心拍再開した院外心停止患者について、病院前情報(目撃・市民によるCPRの有無、初期心電図波形)、病院到着後情報(心停止の原因、脳低温治療を行ったか)、心停止〜頭部CT撮影までの各時刻、頭部CTのCT値、30・90日後の転帰を調査します。本研究は「観察研究」であり、情報を収集するのみです。本研究への参加の有無により治療内容や予後に影響があることは全くありません。データは個人情報は特定できない形(匿名化)で管理しますので、個人情報が漏えいすることはありません。本研究で得られた情報は、本研究および関連研究以外に使用することはありません。

  • 主任研究者

    原田正公

  • 分担研究者

    七戸康夫(国立病院機構北海道医療センター 救命救急センター長)
    山田康雄(国立病院機構仙台医療センター 救命救急センター長)
    安田貢(国立病院機構水戸医療センター 救命救急センター長)
    小池俊明(国立病院機構高崎総合医療センター 救命救急センター長)
    古谷良輔(国立病院機構横浜医療センター 救命救急センター長)
    西山慶(国立病院機構京都医療センター 救命救急センター長)
    定光大海(国立病院機構大阪医療センター 救命救急センター長)
    加川隆登(国立病院機構浜田医療センター 救命救急センター長)
    小林良三(国立病院機構九州医療センター 救命救急センター長)

  • 研究期間

    2015年11月1日〜2018年3月31日

外科的DIC治療におけるアンチトロンビンV製剤の投与量に関する多施設共同前向き試験

  • 研究概要

    アンチトロンビンVは抗凝固効果のみならず抗炎症効果が期待できるトロンビンインヒビターであり、DICに対して優れた効果が期待できる。このアンチトロンビンVは、日本血栓止血学会学術評価委員会DIC部会が2009年に報告したDIC治療のエキスパートコンセンサスにおいて、薬剤の中で一番評価の高いB1となっている。特に外科的DICなどで緊急処置として使用する場合は、本邦では3000単位(60単位/kg)×3日間(計9000単位)が保険で認められているものの、全国的にほぼ1500単位×3日間(計4500単位)の使用にとどまっている現状である。その理由はいくつか推測できるものの、明確な理由は不明である。しかしながら、アンチトロンビンVの抗炎症効果はアンチトロンビンV活性値が正常以上に上昇した場合、より効果的であると考えられている。その為、高容量投与により優れた効果が得られる可能性が期待できる。
    本研究では、外科的DICの治療方法としてアンチトロンビンV製剤の効果的な投与量を確立するため、アンチトロンビンV1500単位×3日間(計4500単位)および3000単位(60単位/kg)×3日間(計9000単位)のどちらが有効性が高いかを検討する。

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2012年1月〜2013年12月

急性期DIC診断基準およびDIC治療に関する九州多施設共同研究(Q-DIC Study)

  • 研究概要

    播種性血管内凝固症候群(DIC)は全身性の極端な凝固活性化に伴い血小板および凝固因子の消耗により生じる消費性凝固障害による出血症状と微小血管内のフィブリン血栓による虚血性臓器障害を本態とする症候群として定義される。DICは様々な疾患に合併し、予後不良な病態であり、救急医学会DIC特別委員会が実施し、急性期DIC診断基準の特徴と予後などが検討された第二次多施設共同前向き試験では329例全体の死亡率は21.9%である。各基礎疾患では感染症が34.7%、外傷が10.5%、熱傷が46.7%の死亡率であった。症例数では感染症が最も多く次いで外傷、手術であった。急性期DIC診断基準は多くの医療機関で簡便にそして早期にDICを診断することが可能で治療開始の基準としても作成され、2005年に確定し本邦および世界に向け公開されている。
    DICの治療薬としてはヘパリン類や合成プロテアーゼ阻害薬、アンチトロンビン(AT)製剤、2008年5月に発売されたリコンビナントトロンボモジュリンなどがあるが、その投与開始時期や併用用法に関する是非は未だ不明である。
    本研究の目的は以下のとおりである。
    @九州の救急・ICU施設におけるDIC患者のデータを集積し、基礎疾患・DICに対する治療および予後を調査する。(本研究では1年間を研究実施期間とし季節的背景も考慮する)
    A「急性期DIC診断基準」の妥当性を評価し、更にAT値を組み込んだ診断基準の可能性を模索する。
    Bサブグループ解析により、疾患別の「急性期DIC診断基準」の妥当性を評価する。
    C治療開始時期とDIC改善率や夜ごとの関係を評価することにより、適切な治療開始時期を探索する。
    D抗凝固療法の治療パターン別成績も評価する。

  • 主任研究者

    石倉宏恭

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2009年7月〜2010年6月

救急診療における生命を脅かす疾患・外傷の見逃しを回避する判断基準作成のための基盤整備研究

  • 国際医療研究開発費 疾病研究分野 21指123

  • 研究概要

    救急診療の環境は、診療の担い手や手段が限られており、経験の少ない若い医師が多く参加している。そのため一見状態が安定していて軽症に見える患者における、生命を脅かす疾患や外傷の見落としが、低頻度ではあるが発生する。さらにこのような見落としが一旦おこると、患者に死もしくは重大な合併症をもたらし、しばしば訴訟問題にまで発展する。よって、見落としを回避するための客観的な判断根拠を創出する必要性は、医療の安全と質を確保する上で、極めて高いと考えられる。
    本研究の目的は、一見状態が安定して軽症に見える救急患者において、生命を脅かす疾患・外傷の見落としを回避するClinical prediction/ decision ruleを提唱し、多施設で検証することである。

  • 主任研究者

    木村昭夫(国立国際医療研究センター)

  • 分担研究者

    高橋毅

精神科救急に有用な評価尺度Japan Emergency Psychiatry Scale (JEPS)の開発

  • 救急振興財団調査研究
  • 研究概要

    精神科救急医療は現代化した救急医療の中で最近最も重要視されている分野のひとつである。しかしながらそれを受け止める側の整備体制は充分とはいえない。当センターでは、救急隊員・救急医らが精神科救急患者の病態と重傷度を即時に把握できるような精神科バイタルサインともいえる簡易評価尺度を開発し臨床応用の研究を行っている。

  • 主任研究者

    橋本聡

超音波振動により血管内血栓を溶解する医療用ガイドワイヤの開発

  • 熊本大学工学部共同研究
  • 研究概要

    【特願2006-14691、特願2007-95779】
    急性心筋梗塞、脳梗塞等の超急性期治療に、超音波を用いて血栓の溶解を行う先進治療法の開発研究である。血栓溶解薬や複雑高価なデバイスを使用することなく、ガイドワイヤーより超音波を発振させることにより、血管局所に於いて血管内血栓を瞬時に溶解させ再還流を果たす方法およびデバイスの開発を行っている。本研究は熊本大学工学部、企業と産学官連携で行なわれ、製品化後に臨床研究を行い実用化を目指している。

  • 主任研究者

    高橋毅

アテローム血栓性脳虚血への超選択的血栓溶解療法の適応

  • 研究概要

    超選択的血栓溶解療法は心原性脳塞栓にのみ効果があり、アテローム血栓性脳虚血には効果は無いであろうと言われていたが、 我々の成績ではむしろアテローム血栓性の方が心原性よりも良い成績であった。

  • 主任研究者

    高橋毅

超急性期内頸動脈閉塞へのPTAカテーテルによる経皮的血栓移動術

  • 研究概要

    内頸動脈の塞栓症は巨大な脳梗塞を起こし、死亡率が大変高いが、短時間(2時間以内)にできる有効な治療法は今までなかった。 塞栓自体も大きく血栓溶解しても溶けきれない。そこで我々は、新しい治療法として栓子を移動させる方法を開発した。内頸動脈内の血栓をバルーンで引き出し、 外頸動脈へ移動させる方法で、手技も簡単で5分ほどで終了し、血栓溶解剤を使用しないので安全で、瞬時に劇的な症状改善をみることができる。

  • 主任研究者

    高橋毅

院外心肺停止患者の病理学的原因検索

  • 研究概要

    救急外来に搬送される院外心肺停止患者は年間約120名ある。1/3の方は心拍再開し入院となるが、2/3の方は残念ながら救急外来で死亡される。 外来死亡された場合、死亡原因を究明するのが大変難しく、約半数の方が死亡原因がはっきりしない。ご家族の希望による病理学的検索では、 死亡原因不明の約半数の方が急性心筋梗塞であった。

  • 主任研究者

    高橋毅

急性心筋梗塞による院外心肺停止患者の病理学的検索

  • 研究概要

    急性心筋梗塞で心肺停止となり搬送され外来死亡された患者で、ご家族の希望により病理学的検索を行い、突然死する急性心筋梗塞の病態について検討を行った。左冠動脈主幹部(LMT)病変や多枝病変が心肺停止の危険性が高いと思われていたが、1枝病変が最も多く42%であった。死亡原因は心不全、不整脈、心破裂の順に多く、 不整脈は右冠動脈(RCA)に、心破裂は左冠動脈前下行枝(LAD)に有意に多く認められました。

  • 主任研究者

    高橋毅

救急患者へのクリティカルパスの使用

  • 研究概要

    クリティカルパスとは、医療の質を確保しつつ効率的に医療を提供するために、誰がいつどのような医療やケアを提供するかを日程表にまとめたものである。 クリティカルパスを導入することにより、根拠に基づく医療の実施、業務の効率化、チーム医療の向上、インフォームドコンセントの充実、在院日数の短縮、 コストの削減の効果が得られ、入院における良質で効率的な医療を提供することができる。

  • 主任研究者

    高橋毅

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