科学研究費関連研究

高齢者の救急・集中治療に対してフレイルが及ぼす影響:多施設共同研究

  • 事業

    日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(C)

  • 研究概要

    本研究の目的は、救急搬送されてくる高齢者における集中治療の意義を検討・再評価し、予後予測を行うための指標や予測因子を調査することである。わが国は世界を牽引する超高齢社会となり、救急・集中治療の現場において高齢者の意思の尊重やQOL(quality of life)の重要性が高まっている。本研究は多施設前向き観察研究で、救急室から直接ICU(集中治療室)入室となった65歳以上の高齢者を対象とし,高齢者脆弱性の指標である「フレイル」を含む患者背景、治療内容を収集する。6か月後には調査票を郵送することで予後とQOLを明らかにし、統計学的検討により予後とQOLに対するフレイルの影響を検証する。6か月生存を主要アウトカム、QOL等を副次アウトカムとする。高齢を根拠に必要な治療が省略されることがないように、また逆に高齢者にとって不利益な過剰治療を制限する根拠となる、客観的指標を探求する本研究の成果は、救急・集中治療の現場はもちろんのこと、地域包括ケアシステムでも高齢者の治療方針決定の一助となることが期待される。

  • 研究代表者

    内藤宏道(岡山大学 医歯薬学総合研究科 准教授)

  • 分担研究者

    原田正公

  • 研究期間

    2018〜2021年度

救急外来における頭部外傷症例の血中GFAP測定および臨床的有用性の検討

  • 事業

    日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(C)

  • 研究概要

    頭部外傷の診断を,血液検査でのバイオマーカー測定を用いてできるようになるか否かを検討する臨床研究である.重症頭部外傷症例ではこれまでも報告してきたため,より診断が困難と思われる軽症から中等症の頭部外傷を対象として検討を行った.救急外来を受診した際の血液検査を採取し,血清バイオマーカーとしてGFAP(glial fibrillary acidic protein)を測定,実際の頭部CTの結果と比較して精度を検討するものである.
    共同研究施設である熊本医療センター救急外来において,臨床研究はすでに倫理委員会の承認を得て開始しており,共同研究者とともに救急外来を受診した頭部外傷症例から血清を採取・保存を行った.今回の研究費を用いて,同検体のGFAP濃度の測定を行った.測定結果を,意識レベルの指標となる身体所見GCS(Glasgow coma scale)と比較検討した.GCSと比較して,GFAPの優位性を認めた.この結果はヨーロッパ集中治療医学会(Europian Society of Intrensive Care Medicine: ESICM2017)で発表報告を行った.
    さらに得られた検体からGFAPを他のバイオマーカーとも比較検討するため,追加で倫理委員会に測定の申請を行い承認を得た.さらに頭部外傷のバイオマーカーとして文献的に報告のあるpNF-H(phosphorylated neurofilament heavy subunit),H-FABP(heart-fatty acidic binding protein),NSE(neuron specific enolase),S100B(S100B protein)の測定を追加で施行した.追加測定で得られた結果をさらに検討し,ESICM2018や日本救急医学会総会でこれを発表予定である.

  • 研究代表者

    金子唯(熊本大学医学部附属病院 救急総合診療部 講師)

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2016〜2019年度

首都直下型地震・南海トラフ地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するための今後の災害医療のあり方に関する研究

  • 事業

    厚生労働省科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業

  • 研究概要

    本研究の目的は、南海トラフ地震、首都直下型地震等の大規模災害時に医療チームが効果的、効率的に活動するためにDMAT、災害医療コーディネーター、EMIS等の情報システムの研究を進め、マニュアルやガイドラインを策定し、災害医療全体の改善を図ることを目的とする。東日本大震災以降、様々な医療チームが整備されてきている。DMATに関しては、実災害、および様々な訓練等で、行政、緊急消防援助隊、自衛隊等との連携が行われているところであるが、大規模災害時におけるDPAT、JMAT、日本赤十字社救護班等の医療チームや各種の団体・学会などとの連携および訓練に関しては十分とはいえない状況がある。また、被災地に多く集まる医療チームの派遣調整を行うことを主目的とする災害医療コーディネーターの業務や指揮系統に関しての標準化は不十分である。これらのことから、大規模災害時におけるDMATと他の医療チーム等との連携システムの構築、消防・自衛隊等の他医療機関との連携に関する問題点の抽出、災害医療コーディネーターの市町村レベルでの活動の標準化、EMISの改善に係る提言等を行う。また、DMATと関係機関が有機的に連携するためのロジスティックスの強化が必要である。これらを通じて発生が切迫していると考えられる、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模災害に備える。平成28年熊本地震では東日本大震災以降構築してきた新しい災害医療体制の真価が問われた辞令であり、その活動の評価・検証結果も加味して研究する。また、平成30年度は、大きな災害が4度あった。6月の大阪府北部地震、7月の平成30年7月豪雨、8月の平成30年台風21号、9月の北海道胆振東部地震である。熊本地震の教訓のもとに制定された保健医療調整本部が試された災害であり、平成30年7月豪雨と北海道胆振東部地震の検証を追加した。

  • 研究代表者

    小井土雄一(国立病院機構災害医療センター)

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2016〜2018年度

自殺未遂者再企図防止事業

  • 事業

    厚生労働省自殺未遂者再企図防止事業

  • 研究代表者

    橋本聡

災害時における医療チームと関係機関との連携に関する研究

  • 事業

    厚生労働科学研究費補助金 健康安全・危機管理対策総合研究事業

  • 研究概要

    本研究班は、災害医療体制構築における課題に対して、対応のガイドライン、マニュアルなどを提示することを目的とする。日本の災害医療体制は、阪神・淡路大震災(以下、1.17)の教訓に基づき大きく進歩した。しかし、東日本大震災(以下、3.11)においては、1.17と医療ニーズが全く違ったこともあり、新たな課題が多く生まれた。3.11以降の災害医療の方向性は「災害における医療体制の充実強化について」(平成24年3月21日 厚生労働省医政局通知 医政発0321第2号)において、9項目の目標として提示されている。本研究班の目的は、これらの目標の具現化に貢献し、災害医療体制をより一層強化することである。

  • 研究代表者

    小井土雄一(国立病院機構災害医療センター)

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2013〜2015年度

自然災害による広域災害時における効果的な初動期医療の確保及び改善に関する研究

  • 事業

    厚生労働科学研究費補助金 健康安全・危機管理対策総合研究事業

  • 研究概要

    本研究班は急性期災害医療体制の研究を行い、様々な研究成果が政府の施策として活かされてきた。その主なものは、DMAT(災害派遣医療チーム)、広域医療搬送計画、EMIS(広域災害救急医療システム)、災害拠点病院である。今回の東日本大震災(以下、3.11)は、これまで築き上げてきたこの災害医療システムが、試される結果ともなった。3.11 では、DMATは 383 チーム、1,853 人の隊員が迅速に参集し被災地へ出動した。急性期の EMIS も機能し、DMAT の初動はほぼ計画通り実施されたと言ってよい。また、津波災害の特徴で救命医療を要する外傷患者の医療ニーズは少なかったが、本邦初の広域医療搬送が行われたことも意義があった。しかしながら、3.11を経験し、新たな課題も明らかになった。本研究の目的は、新たな課題を踏まえ更なる災害医療体制構築のための対応ガイドライン、マニュアル等を提示することである。

  • 研究代表者

    小井土雄一(国立病院機構災害医療センター)

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2010〜2012年度

脳梗塞急性期におけるミノサイクリンの脳保護作用についての臨床研究に対するプロトコール作成研究

  • 事業

    厚生労働科学研究費補助金 医療技術実用化総合研究事業

  • 研究概要

    脳梗塞急性期にミノサイクリンを投与することにより、患者予後が改善されるかを調査するための研究計画書を作成する。
    ミノサイクリンは抗菌作用以外に、それ自体の持つ抗炎症作用、NMDA抑制によるミクログリアの活性化抑制、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP-2, MMP-9)抑制、 NOによるp38 MAP Kinase産生抑制、activated caspase-3産生抑制によるアポトーシスの阻止などの作用を有している。海外での研究では、脳梗塞急性期の患者に使用することで、 その予後を著明に改善している。そこで、ミノサイクリンに脳保護作用について日本人を対象に再評価を行い、少しでも早く現場で使用可能にする必要がある。

  • 研究代表者

    高橋毅

  • 分担研究者

    棚橋紀夫(埼玉医科大学国際医療センター神経内科)
    山脇健盛(広島大学大学院脳神経内科学)
    星野晴彦(慶應義塾大学神経内科)
    宮下光太郎(国立循環器病センター内科脳血管部門)
    平野照之(熊本大学大学院医学薬学研究部神経内科)

  • 研究期間

    2009年度

咽頭冷却による選択的脳冷却法の臨床応用を目的とした研究

  • 事業

    厚生労働科学研究費補助金 医療技術実用化総合研究事業(基礎研究成果の臨床応用推進研究事業)

  • 研究概要

    AEDの急速な普及にみられるように、心因性突然死に対する治療設備の充実や治療方法の開発に国民の関心は高く厚生労働行政の重要な課題である。心停止蘇生後の脳保護に脳低温療法が有効であることは無作為化比較試験(RCT)で報告され、多くの施設で施行されている。
    心停止蘇生後の神経細胞は「分」のオーダーでグルタミン酸により障害を受け、「時」のオーダーで炎症により障害を受け、「日」のオーダーでアポトーシスにより障害を受ける。現在の脳低温療法は、全身冷却に時間を要するため、「時」〜「日」のオーダーで治療効果を発揮している。現在の脳低温療法に加え、「分」のオーダーで脳温を低下させることができれば、脳低温療法の有効性をさらに高めることが可能である。組成と同時に脳を急速かつ選択的に冷却する方法の開発が求められている。
    咽頭の1cm外側に総頸動脈が存在し、更にその外側に内頸静脈や外頸静脈が存在します。咽頭を冷却すると、総頸動脈が冷却され脳温が選択的に低下します。本研究では、心停止蘇生時に咽頭冷却を施行します。 蘇生時に咽頭冷却を施行しなかった群を対象として、鼓膜温の変化をPrimary endpointとし、神経学的予後、生命予後をSecondary endpointとして咽頭冷却の有効性を検討する。

  • 研究代表者

    武田吉正(岡山大学医学部歯学部附属病院麻酔科蘇生科講師)

  • 分担研究者

    高橋毅

健康危機・大規模災害に対する初動期医療体制のあり方に関する研究

  • 事業

    厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康危機管理・テロリズム対策システム研究

  • 研究概要

    災害応急対策については、被災者への迅速かつ適切な救助活動、医療の提供ができるように、平時より防災体制等の確立に努める必要がある。 全国16カ所の国立病院機構救命救急センターによる災害救急ネットワークを構築することにより、急性期の災害医療チーム(DMAT)派遣、 亜急性期の国立病院機構よりの継続的な医療班の派遣が可能となる。

  • 研究代表者

    辺見弘(国立病院機構災害医療センター名誉院長)

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2007〜2009年度

ARB-Cを用いた急性期脳梗塞の降圧療法に関する研究
Japan ARB-C Trial for Acute Ischemic Stroke (JACTASK)

  • 事業

    厚生労働省循環器病研究事業

  • 研究概要

    脳卒中ことに脳梗塞急性期に、上昇した血圧を低下させるべきか否かについては長く論議の的となってきた。現時点での臨床現場では一般的に急性期の血圧高値を容認してきた。その論理的な根拠は、脳血流自動調節能の破綻によって、血圧を低下させると脳組織灌流が減少し梗塞病巣の拡大を生じ得るとの考えである。これにはしっかりとした理論的基礎があり、小規模なnimodipine(Ca拮抗薬)の試験によって支持された。すなわち、nimodipine静注による血圧の急速な低下は神経所見の増悪の危険を増すことが知られている(VENUSstudy)。一方、持続する血圧高値によって脳浮腫が促進されたり、梗塞内の出血性変化が助長されたりすることが懸念される。
    他の臨床研究によれば、特に意識障害を有する患者では急性期の血圧上昇は予後不良と関連することが示されている。International Stroke Trialでランダムに割り付けられた患者のデータにおいて、収縮期血圧が最も高い患者と最も低い患者で早期死亡(14日目)や長期的な予後(6か月後の死亡と要介護)の不良と関連しU字型をなす(収縮期血圧150mmHg前後が最良)ことが示唆されている。最近の報告でも脳梗塞急性期入院時の収縮期血圧高値が、6か月後の予後不良の指標であったとされている(GENICInvestigation)。
    これらの観察は基礎的な研究によって支持されている。すなわちSHRのMCA閉塞では正常血圧ラットより虚血範囲が有意に大きいことが示されている。また、動物実験において急性期に血圧を低下させると虚血領域が狭まることも知られている。さらにレニンアンギオテンシン系の抑制がおそらく脳虚血時の神経細胞保護をもたらすことが示されている。すなわち、ACE阻害薬はSHRにおいて虚血サイズを減少させ、ACE阻害薬とARBであるlosartanやcandesartanは実験的な虚血後の脳梗塞のサイズを縮小する。小規模な臨床研究からのデータでも、注意深く血圧を低下させることによって脳虚血後の予後を改善する可能性があることが指摘されている。
    最近発表されたACCESS(Acute Candesartan Cilexetil Therapy in Stroke Survivors)研究は342例の急性期脳梗塞患者におけるpilot研究(有効解析数は339例、カンデサルタン群173例、偽薬群166例)であるが、発症早期からのカンデサルタンによる治療が脳梗塞急性期の血圧高値の患者に有効性があることが示された。この研究において脳梗塞後12カ月間の死亡と非致死性血管イベントからなる複合エンドポイントの頻度は発症後1週間カンデサルタンを内服した患者が偽薬を内服した患者に比べて優位に低かった(Odds比0.48,95%CI0.25-0.90)。カンデサルタン内服患者での危険な有害事象や薬物副作用の増加の証拠はなかった。しかしながら、ACCESS研究は急性期脳卒中におけるARBに関した唯一の報告に過ぎず、対象患者はヨーロッパ系の人々であり、脳梗塞の病型も我が国とは異なる。それゆえ、我が国において脳卒中急性期におけるARB介入研究が必要である。なお、北欧諸国を中心として、急性期脳卒中(脳梗塞のみでなく脳出血を含む)を対象としカンデサルタンの早期からの内服が半年後の死亡および血管イベント発症の頻度を低下し得るか否かを検討することを目的とした大規模臨床試験が現在進行中である(SCAST: Scandinavian candesartan Acute Stroke Trial)。
    ここに示すJACTASKは、循環器病研究委託費18公-3「急性期脳梗塞の血圧動態と高圧療法に関する研究」における前向き臨床研究として計画された本邦における単純無作為オープン割付試験であり、血圧高値を示す急性期脳梗塞患者におけるARB-Cの脳心血管系のイベント発生の抑制と予後改善に関する証拠の有無を検討することが目的である。

  • 研究代表者

    宮下光太郎(国立循環器病センター内科脳血管部門医長)

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2006〜2008年度

超急性期脳虚血患者への超選択的血栓溶解療法

  • 事業

    厚生労働省循環器病研究委託事業

  • 研究概要

    当救命救急センターは国立循環器病センターの委託研究班として超急性期脳虚血患者への超選択的血栓溶解療法による治療と研究を行ってますが、 その適応は、発症後短時間内に限られている。一刻も早い治療が必要である。

  • 分担研究者

    高橋毅

  • 研究期間

    2006〜2008年度

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