その他の臨床研究

現在継続中の臨床研究

院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法の有効性の検討(第Ⅱ相試験:多施設介入研究))

研究概要 院外心停止患者は年間約10万人以上発生している。このうち、心原性は約6万人、目撃ありは約2万人と言われ、その2万人の1か月生存率は約8%、社会復帰率は約4%にすぎない。このように非常に予後が悪い原因は心停止後症候群である。心停止後症候群に対する標準的医療は呼吸循環の支持療法が主体である。近年、体温管理療法が導入され、一定の成果を上げており、保険収載されている。
また近年、水素ガスが虚血再還流障害に有効であることが報告されている。水素ガスはフリーラジカルスカベンジャーであり、分子量が小さくすぐれた拡散能を有するため、血流に依存せず細胞に到達する。慶應義塾大学では、ラット心停止モデルを用いた実験で水素ガス吸入と体温管理療法を組み合わせることで最大の脳保護効果を発揮することを報告している。また水素ガス吸入の人に対する実績はすでにあり、全制覇知られている。また慶應義塾大学病院では急性心筋梗塞患者、院外心停止後症候群患者に対して水素ガス吸入療法の臨床試験(安全性試験)を世界に先駆けて行い、安全性が証明されている。
本研究は、院外心停止症候群に対する水素ガス吸入療法の有効性を検証するための多施設共同前向き介入研究である。
主任研究者 鈴木昌(慶応義塾大学病院)
分担研究者 原田正公(救命救急・集中治療部)、藤本和輝(循環器内科)他
研究期間 2017年12月~約3年間

終了した臨床研究

敗血症性播種性血管内凝固症における予後予測因子としてのProtein C活性の検討

研究概要  さまざまな病気や怪我、大手術や重症感染症といった、いわゆる「重症」な状態になると、血液の流れを一定に保つ仕組みのバランスがくずれてしまい、体中に血の塊ができて血管が詰まったり、逆に異常な出血を起こしたりします。この状態を播種性血管内凝固症(DIC)といい、重篤な状態です。重症感染症にDICを合併すると死亡率は30~40%に上ると言われていますが、この病気についてはまだ不明な点が多いのが現状です。そこで、全国の国立病院機構の救命救急センターで共同研究を行い、重症感染症に伴うDICの予後予測因子について調査を行います。

(患者様へ)
 感染症が原因でDICを起こした患者様の血液検査データや原因疾患と、30日後の生存率やDICの離脱率などとの関連を調べます。本研究は観察研究です。血液検査は行いますが、通常診療の範囲内での採血であり、かつ保険診療内での検査になります。本研究の参加の有無で治療内容や予後に影響が出ることはありません。個人情報は匿名化を行い管理します。
主任研究者 櫻井聖大
分担研究者 七戸康夫(国立病院機構北海道医療センター 救命救急センター長)
山田康雄(国立病院機構仙台医療センター 救命救急センター長)
安田貢(国立病院機構水戸医療センター 救命救急センター長)
小池俊明(国立病院機構高崎総合医療センター 救命救急センター長)
古谷良輔(国立病院機構横浜医療センター 救命救急センター長)
西山慶(国立病院機構京都医療センター 救命救急センター長)
定光大海(国立病院機構大阪医療センター 救命救急センター長)
鈴木秀一(国立病院機構名古屋医療センター 救命救急センター長)
川崎貞男(国立病院機構南和歌山医療センター 救命救急センター長)
藤原紳祐(国立病院機構嬉野医療センター 救命救急センター長)
研究期間 2015年10月1日~2017年12月31日

心拍再開した院外心停止患者における頭部CTの灰白質と白質のCT値による神経学的予後に関する研究

研究概要  院外心停止は本邦では約10万人/年発生しており、1か月後の神経学的予後良好者は約2.5%と極めて低いのが現状です。心拍再開した院外心停止患者の神経学的予後予測に関しては血液検査、画像検査、脳波検査などが研究されていますが、その中でも頭部CT検査は院外心停止患者を受け入れているほとんどの施設で行うことができる検査であり、これで神経学的予後予測ができれば、ご家族の方への予後の説明をより根拠をもって行うことができます。そこで、国立病院機構の救命救急センターで多施設での観察研究を行い、臨床的に役に立つかどうかを検討します。

(患者様へ)
 心拍再開した院外心停止患者について、病院前情報(目撃・市民によるCPRの有無、初期心電図波形)、病院到着後情報(心停止の原因、脳低温治療を行ったか)、心停止~頭部CT撮影までの各時刻、頭部CTのCT値、30・90日後の転帰を調査します。本研究は「観察研究」であり、情報を収集するのみです。本研究への参加の有無により治療内容や予後に影響があることは全くありません。データは個人情報は特定できない形(匿名化)で管理しますので、個人情報が漏えいすることはありません。本研究で得られた情報は、本研究および関連研究以外に使用することはありません。
主任研究者 原田正公
分担研究者 七戸康夫(国立病院機構北海道医療センター 救命救急センター長)
山田康雄(国立病院機構仙台医療センター 救命救急センター長)
安田貢(国立病院機構水戸医療センター 救命救急センター長)
小池俊明(国立病院機構高崎総合医療センター 救命救急センター長)
古谷良輔(国立病院機構横浜医療センター 救命救急センター長)
西山慶(国立病院機構京都医療センター 救命救急センター長)
定光大海(国立病院機構大阪医療センター 救命救急センター長)
加川隆登(国立病院機構浜田医療センター 救命救急センター長)
小林良三(国立病院機構九州医療センター 救命救急センター長)
研究期間 2015年11月1日~2018年3月31日

精神科救急に有用な評価尺度Japan Emergency Psychiatry Scale (JEPS)の開発

研究概要 精神科救急医療は現代化した救急医療の中で最近最も重要視されている分野のひとつである。しかしながらそれを受け止める側の整備体制は充分とはいえない。 当センターでは、救急隊員・救急医らが精神科救急患者の病態と重傷度を即時に把握できるような精神科バイタルサインともいえる簡易評価尺度を開発し臨床応用の研究を行っている。
主任研究者 橋本聡
備考 救急振興財団調査研究

超音波振動により血管内血栓を溶解する医療用ガイドワイヤの開発

研究概要 【特願2006-14691、特願2007-95779】
急性心筋梗塞、脳梗塞等の超急性期治療に、超音波を用いて血栓の溶解を行う先進治療法の開発研究である。 血栓溶解薬や複雑高価なデバイスを使用することなく、ガイドワイヤーより超音波を発振させることにより、血管局所に於いて血管内血栓を瞬時に溶解させ 再還流を果たす方法およびデバイスの開発を行っている。本研究は熊本大学工学部、企業と産学官連携で行なわれ、製品化後に臨床研究を行い実用化を目指している。
主任研究者 高橋毅
備考 熊本大学工学部共同研究

アテローム血栓性脳虚血への超選択的血栓溶解療法の適応

研究概要 超選択的血栓溶解療法は心原性脳塞栓にのみ効果があり、アテローム血栓性脳虚血には効果は無いであろうと言われていたが、 我々の成績ではむしろアテローム血栓性の方が心原性よりも良い成績であった。
主任研究者 高橋毅

超急性期内頸動脈閉塞へのPTAカテーテルによる経皮的血栓移動術

研究概要 内頸動脈の塞栓症は巨大な脳梗塞を起こし、死亡率が大変高いが、短時間(2時間以内)にできる有効な治療法は今までなかった。 塞栓自体も大きく血栓溶解しても溶けきれない。そこで我々は、新しい治療法として栓子を移動させる方法を開発した。内頸動脈内の血栓をバルーンで引き出し、 外頸動脈へ移動させる方法で、手技も簡単で5分ほどで終了し、血栓溶解剤を使用しないので安全で、瞬時に劇的な症状改善をみることができる。
主任研究者 高橋毅

院外心肺停止患者の病理学的原因検索

研究概要 救急外来に搬送される院外心肺停止患者は年間約120名ある。1/3の方は心拍再開し入院となるが、2/3の方は残念ながら救急外来で死亡される。 外来死亡された場合、死亡原因を究明するのが大変難しく、約半数の方が死亡原因がはっきりしない。ご家族の希望による病理学的検索では、 死亡原因不明の約半数の方が急性心筋梗塞であった。
主任研究者 高橋毅

急性心筋梗塞による院外心肺停止患者の病理学的検索

研究概要 急性心筋梗塞で心肺停止となり搬送され外来死亡された患者で、ご家族の希望により病理学的検索を行い、突然死する急性心筋梗塞の病態について検討を行った。 左冠動脈主幹部(LMT)病変や多枝病変が心肺停止の危険性が高いと思われていたが、1枝病変が最も多く42%であった。死亡原因は心不全、不整脈、心破裂の順に多く、 不整脈は右冠動脈(RCA)に、心破裂は左冠動脈前下行枝(LAD)に有意に多く認められました。
主任研究者 高橋毅

救急患者へのクリティカルパスの使用

研究概要 クリティカルパスとは、医療の質を確保しつつ効率的に医療を提供するために、誰がいつどのような医療やケアを提供するかを日程表にまとめたものである。 クリティカルパスを導入することにより、根拠に基づく医療の実施、業務の効率化、チーム医療の向上、インフォームドコンセントの充実、在院日数の短縮、 コストの削減の効果が得られ、入院における良質で効率的な医療を提供することができる。
主任研究者 高橋毅