【第93号】閉塞性動脈硬化症に対する治療 閉塞性動脈硬化症に使用される薬 閉塞性動脈硬化症と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第93号】閉塞性動脈硬化症に対する治療 閉塞性動脈硬化症に使用される薬 閉塞性動脈硬化症と食事

くす通信

閉塞性動脈硬化症に対する治療

閉塞性動脈硬化症に使用される薬、閉塞性動脈硬化症と食事

 【閉塞性動脈硬化症に対する治療】

 わが国では1970年代から、生活の欧米化にともない、糖尿病や高血圧、高脂血症患者、高齢者の急速な増加を背景に、末梢血管疾患のほとんどは閉塞性動脈硬化症となっています。

 閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化にともない、腹部大動脈以下の末梢血管の狭窄、閉塞が進行し、下肢の虚血が重症化する疾患であり、その約1/4が高度の下肢虚血となり、虚血性の痛みや、足趾の難治性の潰瘍を発症するといわれています。

 発症の危険因子は 糖尿病がもっとも重要で、喫煙や加齢、脂質代謝異常、足関節部血圧低下などです。重症例では治療を行わないと半年以内に40%は下肢切断となり、20%は 死亡するとされています。また虚血性心疾患や脳血管障害、腎機能障害など多臓器における動脈硬化性血栓症を併存しているため、1年以内の死亡率は20%と 高率となっています。さらに下肢切断を施行しても入院中の死亡率は高く、もともと高齢者が多いためその後の生命予後は不良で、しかも運動機能の回復はほと んど期待できないことから、早期の診断と治療、重症例には積極的な血行再建が重要となってきています。

 疾患の原因は前記のように全身の代謝疾患であるため、一つの診療科で診断から治療を行うことは不可能です。症状は足のしびれ、冷感、痛みや潰瘍などのため、診断は皮膚科、形成外科、整形外科、代謝内科、放射線科、さらに透析患者では腎臓内科で行われ、循環器科や心臓血管外科への直接の受診はむしろ少数です。

 治療は、 症状や血管の狭窄、閉塞状態によって異なりますが、軽症例では薬物治療や運動療法が行われ、重症例では放射線科や循環器科でカテーテル治療による血管拡張 術やステント挿入術が施行されています。さらに心臓血管外科では、下肢虚血に対するもっとも効果的な治療法である血管のバイパス手術を、大腿の動脈から足 首の血管まで行うことで下肢切断を最小限にとどめるような努力を行っています。このように多くの診療科が携わっている疾患ですが、当院の特徴として、循環器科では血管新生療法が高度先進医療として認可されており、治療法の選択枝が広がり下肢切断を回避できる確率が高くなっています。

(心臓血管外科医長  岡本 実)

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 【閉塞性動脈硬化症に使用される薬】

 閉塞性動脈硬化症に使用される薬は、血液をさらさらにして血管が詰まるのを防ぐ抗血小板薬や血管を拡げる血管拡張薬などを用います。足が冷たい、足がしびれる、長く歩けない、安静にしていても足が痛むなど病気の進行度や患者様の状態に応じて薬を使い分けます。

  1. 症状が軽度の場合(内服薬)
     血液を固まらせる血小板の作用を抑えて、血液が固まりやすくなるのを防ぐ抗血小板薬(シロスタゾール、チクロピジン)や、血管を拡げ、血液が固まるのを防ぐ血管拡張薬(プロスタグランディン製剤)などが用いられます。
  2. 症状が中度の場合(注射薬)
     内服薬で充分な効果が得られない場合は注射薬が用いられます。血管拡張薬(プロスタグランディン製剤)、できてしまった血栓を溶かす抗凝固薬(ヘパリンナトリウム)や血栓溶解薬(ウロキナーゼ)、血液凝固反応に関与するトロンビンの作用を抑える抗トロンビン薬(アルガトロバン)などがあります。

 足の痛みやしびれなどの症状がなくなっても、動脈硬化が静かに進んでいる場合もあり、薬の継続、中止については医師の指示を守ることが大切です。また、これらの薬剤を服用中は止血しにくい恐れがあるので、抜歯や手術の予定がある場合は必ず医師に相談しましょう。

(薬剤科長  冨澤 達)

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 【閉塞性動脈硬化症と食事】

 閉塞性動脈硬化症を防ぐためには、動脈硬化を進行させないことが重要です。動脈硬化を促進するものとしては高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などがありま す。これらの改善、予防のためには食事療法が不可欠となりますので、以下のポイントを確認しながら食生活の改善につなげていきましょう。

  1. 適正なエネルギー量を摂取するように努めましょう
    (暴飲暴食を避け、※標準体重を維持しましょう。)
    標準体重=(身長(m)×身長(m)×22)
  2. 食物繊維を摂りましょう
    (野菜、海藻、きのこ類はたっぷり、果物、芋類も食卓に。)
  3. 減塩を心がけましょう
    (塩蔵物、加工品に注意しましょう。高血圧のある方は1日塩分6g未満を目指しましょう。ラーメン1人前で7〜8gの塩分を摂ってしまいます。)
  4. コレステロールの多い食品に気をつけましょう
    (レバー、卵の黄身、生クリーム、うなぎなど)
  5. 1日3食、食べましょう
    (規則的な食事が体を良好に保ちます)

 ファーストフード(fast food)やインスタント食品を多く利用してしまうとこれらのポイントを守ることは難しくなってしまいます。旬の食材を用いて、バランスのとれた食事を心がけましょう。

(管理栄養士  藤崎 まなみ)


診療科の特色

<心臓血管外科>

 心臓血管外科では、
(1)虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)心臓弁膜症、不整脈などの心臓疾患
(2)真性大動脈瘤、急性大動脈瘤解離、腹部大動脈瘤などの大血管疾患
(3)閉塞性動脈硬化症などの末梢血管疾患
(4)下肢静脈瘤、静脈性うっ血性疾患に対する手術
(5)透析患者へのシャント手術
など多くの血管疾患に取り組んでいます。
 特に胸部大動脈瘤手術は、体に負担の少ない低侵襲治療を目的としてステント治療を積極的に導入しています。


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