【第92号】外来化学療法 外来化学療法と抗がん剤の副作用対策 化学療法と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第92号】外来化学療法 外来化学療法と抗がん剤の副作用対策 化学療法と食事

くす通信

外来化学療法、外来化学療法と抗がん剤の副作用対策、化学療法と食事

 【外来化学療法】

 日本で最も多い死亡原因の疾患はがんです。以前は不治の病でしたが、近年どの臓器においても治療成績が向上し、早期がんの多くは治るようになってきています。がん全体の5年生存率(治療開始後5年間生存する確率)は、過去30年で男性が29.5%から58.1%に、女性は50.5%から68.2%に改善されてきました。この理由の一つとして化学療法(抗がん剤治療)の進歩が挙げられます。治療効果の高い抗がん剤や治療法が増えたこともありますが、吐き気止めなど副作用を抑える薬剤が進歩し、治療完遂率が向上したこともこの改善に寄与しています。

 かつて化学療法は手術で治すことができない進行がんにだけ行っていました。最近になり、手術でがんが取り切れたと思われる患者様に化学療法を追加することで、その後再発しにくくなることがいくつかのがんで証明され、補助化学療法(手術+抗がん剤)という治療が進んできました。当科でも胃がん、大腸がん、乳がんを中心に、補助化学療法を積極的に行っています。最近の化学療法は、入院を必要とするほどの副作用は出ないものが多く、できる限り外来通院で行っています。外来で治療を行う最大のメリットは、患者様が日常生活を送りながら治療を受けることが出来るという点です。また入院に伴う費用の軽減にもなります。ただし抗がん剤治療というのは稀に重篤な副作用を起こす可能性があり、定期的な採血、診察を行うのはもちろんですが、緊急時の連絡システムを確立しています。なお今年度、外科における1ヶ月平均の入院化学療法は約10件、外来化学療法は約55件となっています。これらは点滴治療のデータですが、内服の抗がん剤治療は全て外来で行っておりますので、外科での抗がん剤治療はほとんど外科で行っていることになります。

 現在外来化学療法室に14ベットあり、専属の看護師と主治医の管理下に、クラッシック音楽を聴きながら落ち着いて治療が受けられる様になっています。(私も良く見に行きますが、眠られている方も多数いらっしゃいます。

(外科医師  吉田 直也)

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 【外科化学療法と抗がん剤の副作用対策】

 近年、がん化学療法では副作用を和らげる治療法(支持療法)の進歩により、以前より楽に治療を続けられるようになりました。そのため副作用をコントロールし、入院せずに普段の日常生活を送りながら外来で抗がん剤治療を受けられるようになってきています。

 抗がん剤の副作用の程度や内容は抗がん剤の種類によっても異なり、また個人差も大きく関係するためその現れかたは様々です。

 今回はその中でも発現頻度の高い副作用とその支持療法について説明します。

  1. 消化器症状(吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢など):
    抗がん剤投与後より24時間以内に出現する急性の悪心・嘔吐に対しては、5-HT3受容体拮抗薬とステロイドを併用することで高い予防効果が期待できます。
    しかし、抗がん剤投与前に起こる予測性嘔吐や、抗がん剤投与後に起きる持続性・遅発性の悪心・嘔吐に対する対策はまだ充分ではありません。
  2. 骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少):
    ほとんどの抗がん剤に認められる副作用です。その中でも白血球の一種の好中球が減少すると感染症(肺炎など)にかかりやすくなります。感染症に対しては抗菌薬が使用されます。また必要に応じて顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤という好中球を増やす作用をもつ薬が用いられます。

 予想される副作用についてあらかじめ必要な対策をたてておくと、症状の悪化を防ぐことができ、安心して治療を受けることができます。患者様が使用している抗がん剤の種類やその薬の副作用について医師、薬剤師に尋ねておき、適切な対応を心がけることが大切です。

(薬剤科長  冨澤 達)

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 【化学療法と食事】

 化学療法に用いられる抗がん剤には様々な副作用があります。副作用は抗がん剤の種類によっても異なりますが、個人差もかなりあるようです。

 食事に関することとしては、化学療法が開始になると嘔吐、食欲不振などが現れることがあります。このような時期は無理せずに食べられるものを、少量ずつゆっくり食べるとよいでしょう。食品のにおいで吐き気が起きる場合は、料理を冷やすことで食べやすくなることがあります。ゼラチンで冷やし固めた粥ゼリー・冷たいスープ類・卵豆腐や果物、フルーツゼリー・プリン・シャーベットなど口当たりよく飲み込みやすいものがあります。他にも散らし寿司や鮭ご飯、味付けご飯、麺類なども食欲がない場合にはお勧めです。

 治療が続くと、下痢や便秘の症状が現れることがあります。下痢が続く場合は消化のよい煮込みうどんや雑炊など少量を頻回に食べると良いでしょう。また、脂肪分の多い食べ物や乳製品、香辛料、を多く使用した料理や炭酸飲料などの刺激物も控えた方がよいでしょう。便秘の場合は水分を十分にとり、根菜や果物など繊維の多い食べ物をとることが大切です。

 口内炎が症状として現れる場合は、やわらかい食材を用いて煮物を中心にうす味で料理し、酸味や香辛料にも気をつけましょう。

 また、がんに効くといわれている健康食品の多くは有効性や安全性の確立がなされていないものが多いため摂取は控える方が良いでしょう。どうしても服用される場合は医師・管理栄養士に相談しましょう。

(管理栄養士 村上 智子)


診療科の特色

<外科>

 外科では消化器外科(食道、胃、小腸、大腸、肝、胆、膵)、呼吸器外科(肺、縦隔)、内分泌外科(乳腺、甲状腺、副腎)、一般外科(ヘルニア、痔など)の診療を行っています。当院は熊本で最も早く腹腔鏡手術を導入した病院です。昨年度の実績では、食道、胃、大腸、肝、胆、肺、縦隔、乳腺(良性腫瘍)に対して鏡視下手術を行っています。鏡視下手術はキズが小さくなることで手術後の痛みが軽くなる、歩行までの数日が減少する、回復が早くなる、早期退院が可能になるというメリットがあり、積極的に取り入れています。


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