【第211号】加齢黄斑変性症、子どもの視力の発達と弱視 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第211号】加齢黄斑変性症、子どもの視力の発達と弱視

くす通信

加齢黄斑変性症、子どもの視力の発達と弱視

【加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)】

加齢黄斑変性症とは

 目の奥には網膜という物を見るための神経の膜があり、カメラのフィルムのような役割をしています。この網膜の中心部を黄斑部といい、細かい形や色を見分けるための大事な部分になります。この黄斑部に年齢の影響などで異常が起きて見え方が悪くなる病気が加齢黄斑変性症です。
黄斑部は小さいものをきちんと見たい時に使う部分なので、普段何気なく生活していても異常に気が付きにくく、病気の発見が遅れてしまうことが少なくありません。自覚症状としては「片方の目だけで見ると線(柱、道路の白線など)が歪んだり欠けたりして見える」「老眼鏡を変えたのに新聞の字が見えにくい」「左右の目で色が違って見える」などがあります。
この病気は年齢とともに増加する傾向にあります。およそ50歳以上の100人に1人程度といわれています。


検査

 視力検査、アムスラー検査(見え方の歪みを見る検査)、眼底検査、眼底造影検査、眼底三次元断層撮影といったものがあり、これらを組み合わせて診断を行います。

治療

 特別な薬を眼内に注射する事が基本であり、場合によってはレーザー治療や、光線力学療法(点滴とレーザー治療の組み合わせ療法)などを行います。ただし、いずれの治療も病気を落ち着かせる事が最大の目標であり、必ずしも視力が回復するわけではありません。ある程度病気が進行してからの治療だと、病気が落ち着いても視力低下や線の歪みなどの後遺症が残ることが珍しくありません。その為、加齢黄斑変性症は早期発見・早期治療が大切になってきます。

アムスラー検査
自分でできるチェック

 「格子模様を片目ずつで見比べる」ことが最も効果的で、例えば障子やたくさん並んだ四角いタイルが適していると思われます。
加齢黄斑変性症の予備軍となる条件もある程度分かっており、予備軍かどうかを調べるには眼底写真が必要です。職場や市町村の健康診断で眼底写真が選べるのであれば、50歳以上の方や、近視の強い方は受けておくことをお勧めします。


危険性を高めるもの

 加齢黄斑変性症の危険性を高めるものとしては喫煙があります。喫煙は万病の元であり、受動喫煙により身の回りの全ての人たちの健康の害にもなるため、ぜひ禁煙をお勧めします。


予防策

 サプリメント(ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛など)や緑黄色野菜は加齢黄斑変性症の発症を下げると考えられています(完全に抑えられる訳ではありません)。その他、肉中心の食事より、魚中心の食事のほうが良いといわれています。


(眼科医長  榮木 大輔)

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【子どもの視力の発達について】

子どもの視力の発達について

 生まれたばかりの赤ちゃんは明るさがわかる程度といわれています。生後1ヶ月で物の形がわかるようになり、その後3歳で視力が0.6~0.9、5歳くらいで1.0に達するといわれています。子どもの視力が発達するためには、毎日ものを見る必要があります。これは、目から受けた刺激を脳が正しく理解するのに必要だからです。


弱視とは

 子どもの視力は毎日ものを見ることによって発達しますが、この時期に何らかの邪魔が入って正常な視力の発達が止まってしまい、眼鏡をかけてもよく見えない状態を「弱視」と呼びます。裸眼視力がいくら悪くても眼鏡やコンタクトレンズをすれば1.0になる場合は弱視とはいいません。


弱視の種類と原因

1.形態覚遮断弱視(けいたいかくしゃだんじゃくし)
生まれつき眼瞼下垂や白内障、また眼帯の使用などのために網膜に光刺激が十分に入らない状態が続くと視力は発達しません。原因により手術が必要となることがあります。


2.斜視弱視(しゃしじゃくし)
ものを見ようとするときに片目は正面を向いていても、もう一方の目が違う方向を向いている状態を斜視といいます。視線がずれている方の目は使われないため視力は発達しません。

3.不同視弱視(ふどうしじゃくし)
どちらかの目の極端な遠視や乱視があると、屈折度数の大きい方の目にきちんとピントが合わずはっきりと見えないため視力が発達しにくくなります。

4.屈折異常弱視(くっせついじょうじゃくし)
両目に強い近視や遠視、乱視があると網膜にきちんとピントが合いません。生まれつきはっきりものが見えていない状態では視力が発達しにくくなります。

弱視の治療

1.眼鏡をかける
弱視治療の基本は眼鏡をかけることです。眼鏡で矯正して網膜にピントをきちんと合わせ、鮮明な像を脳に送り発達を促すことが治療の基本です。


2.アイパッチ
視力の良い方の目を眼帯(アイパッチ)で隠して、悪い方の目を無理に使わせることによって視力の発達を促す訓練です。

弱視治療は早期治療が大切です。3歳児健診で検査を受けることはとても重要ですが、家族の方が子どもの目を普段からよく見てあげることでより早期発見につながります。目を細める、テレビや絵本を近づいて見るなど、いかにも見えにくそうにしている場合には注意が必要です。片目がよく見える場合には気づきにくいので片目を隠して嫌がったりしないかチェックしてみましょう。少しでも気になる症状がある場合は眼科受診をお勧めします。


(視能訓練士 山﨑 香奈)


診療科の特色

<眼科>

 眼科は感覚器センターの一部門として、他の診療科と協力しながら診療を行っております。
外来診療は、眼科医3名、視能訓練士2名、看護師3~4名、医師事務補助者1名で行っています。視力、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査、視野検査といった基本的な検査はもちろん、疾患に応じた他の眼科精密検査も行います。また場合によっては血液検査やCT・MRIといった目以外の検査を組み合わせて行うこともあります。
入院診療に関しては、白内障手術の方が中心ですが、認知症や精神疾患等で個人病院では手術できない方を多く引き受けていることが当院の特徴です。その他、眼の外傷や入院での薬物治療が必要な方の入院を引き受けております。



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