【第209号】「痔(じ)」について、「便秘と食事の関係」 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第209号】「痔(じ)」について、「便秘と食事の関係」

くす通信

「痔(じ)」について、「便秘と食事の関係」

【「痔(じ)」について】

 痔は肛門周囲の静脈がうっ血、怒張し、腫れることによる静脈瘤および肛門周囲の支持組織が肛門外に滑脱することによって起こり、出産や度重なるいきみ、肛門が狭いことなどが原因で発症します。


 痔の症状により 痔核(脱肛)裂肛痔ろうなどがあり、それぞれ いぼ痔切れ痔穴痔を指します。このうち 痔核は患者さまの5~6割を占めており、肛門より中にできる内痔核と肛門より外にできる外痔核、両方が連なった内外痔核があります。


 外痔核は中で血が固まる血栓性外痔核という状態になると強い痛みを伴います。切開して血栓除去が必要です。また内痔核は肛門外に脱出して戻らなくなって嵌頓して痛みを伴ったり、出血したりします。時に輸血が必要なほど出血することもあり得ます。痔核が脱出して戻らなくなったり、出血を起こすと手術などの治療が必要となります。
一般に痔核にはⅠ度からⅣ度まであり、脱出すると手で戻さないといけないⅢ度から、戻せないⅣ度が手術治療の対象になります。脱出して戻らなくなるとうっ血して腫れあがり激しい痛みを伴います。症状が軽い場合はステロイド含有の抗炎症薬の肛門塗布あるいは座薬による注入で炎症を取り、症状を消退させることも可能です。
痔核手術の方法は痔の範囲、程度によって決まります。

  • 1~3か所程度のものは痔の静脈瘤を含めて粘膜を切除し、痔に流入している血管を結紮し、皮膚も一部切除する結紮切除術(ミリガン-モルガン法)が一般的です。
  • 全周に及ぶ場合は粘膜および粘膜下組織を全層に切除し、痔核への血流を遮断するPPHという方法を行うこともあります。
  • また切除などを行わず、硬化剤を注入する硬化療法を行っている施設もあります。

 裂肛については肛門が狭いことが原因であり、痔核や痔瘻などとしばしば合併します。括約筋切開などの肛門を広げる手術を合わせて行うことが必要です。


 痔ろうは直腸と肛門の境目の肛門陰窩というところから肛門括約筋の間を縫って肛門の周囲の皮膚へ向けて膿がでる瘻孔という道筋ができるもので、しばしば肛門周囲膿瘍の原因になります。肛門周囲に膿が出る硬結ができます。ひどくなると肛門周囲に複雑な瘻孔の道筋を作り、手術で根治するのも大変になります。まずは膿がたまっていれば切開排膿し、根治手術としては瘻孔を切開して開放する手術を行います。


 予防としては肛門周囲を清潔に保ち、排便コントロールを行い、長時間の立ち仕事や座り仕事を控えることが重要です。


(外科医長 井上 光弘)

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【「便秘と食事の関係」】

 痔でおしりがつらい・・・。
と悩まれている方。毎日の排便事情は、当事者であるご本人にとってきっと重大なことだと思います。そこで管理栄養士が便秘と食事の関係についてお話させていただきます。

1.朝ごはん は大事!
→ 食道 → 胃 → 十二指腸 → 小腸 → 大腸 → 肛門(排便)

 食べ物が口に入ることで、私たちの身体は、順次、消化・吸収をする仕組みになっています。食べ物は、12~24時間後に大腸の下行結腸(便が半固形になるところ)まで送られ、直腸に便がたまると「便意」が起こるきっかけとなります。下行結腸からS状結腸にたまった便は一気に直腸に送り込まれますがこの運動は、1日に数回しか起こらず特に起こりやすいのは、朝食後1時間といわれています。また、食べ物を口にすることが全てのきっかけになりますので、毎朝決まった時間に朝ごはんを食べる習慣は、快便リズムを作るために重要だといえます。


2.小食 は便秘の大敵!

 過度の食事制限がきっかけで便秘に・・・と言われる方は、決して少なくありません。食事量が減れば当然つくられる便の量も減るわけですから必然的に排泄しようとする働きもおこりにくくなることが考えられます。
自分は、毎日しっかり食べているのに体重が減っていくという方は、動いている割には食べている量が少ないのでは?と振り返ってみてはいかがでしょうか。確かに太りすぎは、決していいことではありませんが、太るということは、食べたものがきちんと消化されて吸収されているということでもあります。しっかり食べて、食べた分だけ活動することこそ、便秘解消だけでなく健康維持のために重要なことだといえます。

3.食事は、野菜から食べ始める方がよい?

 毎回の食事を野菜から食べ始めて、肉、魚の主菜を食べることで主食の食べ過ぎを防ぐという食べ方は、急な血糖上昇を抑え、肥満予防という観点から有効といわれています。便秘の方の場合、できるだけ消化のよい炭水化物や水分を多くとって少しでも鈍っている胃腸の負担を軽くして、はたらきを良くしていくことが重要になります。

4.便秘改善には、野菜(食物繊維)を積極的にとるべき?

 野菜に含まれる食物繊維は、消化酵素で消化されずに腸内細菌によって分解されます。便秘の方の場合、便秘ですでに腸内に便が滞っているところへ追加された食物繊維を分解しようと腸内細菌が頑張ります。その結果、ガスが発生してお腹はパンパンになってしまいます。 実は、食物繊維には次の2種類があります。
①不溶性食物繊維:水に溶けにくく便のボリュームを増やす
:サラダなどで食べる野菜に多く含まれる
②水溶性食物繊維:比較的に水に溶けやすく便をやわらかくする。
:こんぶ、わかめ、納豆、りんご、キウィ
などに多く含まれる 日頃から、こんぶなどの海藻類や果物など、いろんな食品をとりいれた食事が重要になります。


5.腸内環境改善のためにはヨーグルト)は必須?

 ヨーグルトや乳酸菌飲料を摂取したことで腸内環境が整う、すなわち善玉菌が増えたという研究報告も多数あります。それによって便通も改善することも多いでしょう。

 ※ヨーグルトに限らず乳製品を摂ることでお腹が緩くなる方もおられます。日本人には、乳糖を分解するラクターゼという酵素のはたらきが弱い方が遺伝的に多いことによります。

6.ヨーグルトの他に腸内環境に良いもの)は何?

 日本には、味噌、漬物の発酵食品があります。これは植物性の乳酸菌です。高血圧などの疾患で塩分制限が必要な方は、摂取量に注意しなければなりませんが乳製品でお腹がゆるくなる体質の方は、植物性の乳酸菌をうまく摂取し、腸内環境を整えることも一つの方法です。

(栄養管理室長 四元 有吏)


診療科の特色

<外科>

外科はスタッフ8名にて消化器領域(食道、胃、大腸などの消化管、肝臓、胆道、膵臓など)の、“がん” の手術、緊急手術を中心として呼吸器外科(肺、縦郭)、内分泌外科(乳腺、甲状腺)、ヘルニア、痔などの手術治療を主として診療を行っております。また“がん”の治療については他科とも連携を取りながら様々な新規抗がん剤治療を含む集学的治療を行っており、食道がん、肝胆膵がんなどの高難度外科手術を多数行っている他、胃がんや大腸がん、その他の領域の内視鏡外科手術も積極的に行っており多数の症例を扱っています。また様々な救急疾患における緊急手術においても24時間365日体制で受け入れを行っており、市内から県北全域、県南からの多数の症例を受け入れています。



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