表在性膀胱がんに対する新技術(光線力学診断)の導入!! | くまびょうニュース | 国立病院機構 熊本医療センター

表在性膀胱がんに対する新技術(光線力学診断)の導入!!

【274号(2020.4)】

表在性膀胱がんに対する新技術(光線力学診断)の導入!!

 表在性膀胱がんの治療は、主に内視鏡を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)が行われています。しかし従来の内視鏡では小さながんや平坦な病変は目視で確認することが難しく、後に再発と診断されることも少なくありません。つまり、再発と診断された症例の中には、手術時の見逃しが含まれる事があり(30 ~ 50%と報告!)、以前より問題視されてきました。

 手術前に5- アミノレブリン酸を内服し、特殊な光を発する蛍光内視鏡を用いることで、従来の内視鏡では確認することの難しかった小さながんや平坦な病変を赤色に発光させ、より確実にがんを診断し切除することを可能とする光線力学診断が、2017 年9 月膀胱がんに対して保険適応となりました。当院でも昨年、本診断技術を用いたTURBTを試行し、その有効性を確認しましたので、2020 年3 月より内視鏡システムの更新に併せ、この技術を導入する事としました。最近では、高須クリニック院長が本治療を受けたことをマスコミに取りあげられ話題となりました。

 5- アミノレブリン酸は天然のアミノ酸で、正常細胞では速やかに代謝されヘムに変換されますが、癌細胞では代謝される過程で中間産物であるプロトポルフィリンIX(PpIX) という物質として蓄積します。この中間産物は特殊な内視鏡で青色光を照射すると励起され、赤色に蛍光発色するという特徴があるため、正常細胞と癌細胞の区別がつきやすくなります。(図1,2)


図1. 小さな膀胱がんは同定がやや困難

図2. 光線力学診断で膀胱がんは赤く浮かび上がる

 光線力学診断を行う際には、手術の2 ~ 4 時間前に5- アミノレブリン酸を服用していただきます。服用後から術後2 日間ほどは光線過敏症を防ぐため、直射日光を避け、部屋を暗くし、テレビや携帯の使用を控えていただくなどの対応が必要となります。手術室への移動も遮光する必要があります。(図3)

図3.光線過敏症対策(病室および手術移動時)

 膀胱がんは高い再発率を認めるがんで、その半数近くが再発します。光線力学診断技術を用いた内視鏡手術の導入により、手術時の取り残しが減り再発率が低下する事が期待されます。当科は国内でも有数の膀胱がん症例があるため、今後その事実を検証していき学会等でも報告していく予定です。

泌尿器科 銘苅 晋吾