いま、何が研究されているか<シリーズ136回> | くまびょうニュース | 国立病院機構 熊本医療センター

いま、何が研究されているか<シリーズ136回>

【272号(2020.2)】

いま、何が研究されているか<シリーズ136回>

コミュニケーションエラー場面の事例を用いた医療安全教育

髙木佳寿美、高松三穂子、石井美香、大野美穂


 看護学生にとって臨地実習は、実際に医療・看護を提供している現場において、生活していらしゃる患者さま・ご家族に直に接して学習する機会です。また、学校内での講義や校内演習とは異なり、実際に様々な看護場面に立ち会うことで、看護学生は衝撃を受けたり感動したりしています。さらに、新たな課題を発見し、看護の専門職業人としての感性をも豊かにしていきます。
 患者さまに提供する医療の質を保障し、看護学生に効果的に臨床実習をすすめることが私たち学校職員および実習指導者の重要な役割になります。そこで、実習指導者に対して医療事故を未然に防ぐ対策の一つとして学習会を実施しました。
 効果的な学習会とするために、具体的に事例を作り、これを映像化したものを用いました。ふだんの、何気ない看護師と看護学生の打合せや情報共有の場面でしたが、実はお互いの説明と理解度に違いが生じているというコミュニケーションエラーの場面を取り上げました。学習会前後に「患者さまを守るための情報伝達」「患者さまの安全を守るための適切な状況判断と対応の指導」「学生が自分(指導者)と同様に理解しているとは限らない可能性の理解」など5項目について評価をして頂き、その前後の理解度の差を分析しました。その結果、映像場面を見た後、指導者の経験年数よりも看護師経験年数がその差に影響していることがわかりました。(研究結果一部、図1、図2)

質問1 学生にわかりやすく、患者さまを守るための情報を伝達する必要性の理解


質問2 学生に患者さまの安全を守るための適切な状況判断の対応について指導する必要性の理解

 看護基礎教育では令和4年度にカリキュラムを見直すことが昨年10月に発表されました。このなかで強化するものの一つに、文章作成能力や読解力の向上と合わせてコミュニケーション能力があげられています。
 臨床の現場は複雑な状況であり、即時にその場で判断を迫られ、行動せらるを得ない状況に陥ることもあります。今回の事例を検討し、あらためて学生に対する伝えかたの工夫、伝わったことの確認などの重要性に気づきました。今後も引き続き、指導する側は、患者さまの状況と看護学生の能力を把握したうえで危険性を予測して適切な指導を行っていきたいと思います。